皐月の近況

新しい職場で働き始めて早一ヶ月近くが経過した。
大型連休を挟んだ為、勤務日数がまだ多くはないが、社内での研修を受ける他、業界に関する書籍を買い込み、個人的な学習を通して、業務知識を少しずつ身に着けている状況である。初めて、九時五時の仕事に就いたが、以前のフレックス制での勤務に比べると、生活リズムが一定になった事で心身共に健康的な生活を送る事が出来るようになっている。前の会社では一時、不眠に苦しむ事があったのだが、思うに、勤務形態が体調に影響を及ぼしていたのではなかろうか。昨日、近所の居酒屋でこの一件について店の方と話したが、店の方も、時間が決まっていない仕事に就いていた頃、規則正しい生活が送れなくなっていたらしい。何にせよ、私の様な朝型人間にはフレックス制の恩恵は少ない。
資本主義国である日本において、転職も職種の変更も珍しい話ではなくなって久しいが、約十年前、古物商で働いていた男が、上京後にIT、監査、金融、ホテルと業界を転々としてゆく内、気が付くと、自分でも驚くほどの幅の広い知識と能力を習得し、日系企業での総合職の経験はないものの、ジェネラリストの様になりつつある。第二次世界大戦以降、高度経済成長の下で、長らく職人の様に一つの道を究める生き方が持て囃されてはいたが、私は、自身の専門外の仕事へも積極的に取り組み、様々な経験を重ねた方が、柔軟性が増し、応用力が身につく様に思う。
この頃は、夏が少しずつ近づいてきており、夕刻と言えど、外はすっかり明るくなっている。新たな環境での仕事の他、来月の梅仕事を目前に控え、私の胸は静かに躍っている。