『日常の偏見』に振り回されるな!自分の頭で感じ、考え、答えを出す 「情報を正しく選択するための認知バイアス事典」【読書記録】
■1. 本の詳細情報
●タイトル:情報を正しく選択するための認知バイアス事典
●著者:山崎紗紀子(第1部:論理学的アプローチ)
宮代こずゑ(第2部:認知科学的アプローチ)
菊池由希子(第3部:社会心理学的アプローチ)
高橋昌一郎(監修)
情報文化研究所
●初版:2021年4月26日
●出版社:フォレスト出版
●カバーデザイン:山之口正和(OKIKATA)
●イラスト、図版作成:富永三紗子
●ページ数:264ページ(ソフトカバー版)
■2. 本の概要
普段生活する中で、私達は無意識のうちに
『偏見(バイアス)』を掛けて物事を見ている。
そのバイアスによって、
自分の意識、意思、意見ではなく、
固定化された偏った考えをしてしまう。
そうしたバイアスを認知バイアスと言います。
●そうした認知的なバイアスはなぜ生まれるのか?
●バイアスにはどんな種類があるのか?
●バイアスを掛けず、自らの頭で考えるためにはどうしたらよいのか?
そうした、私達の日常に潜んでいる認知バイアスを
様々な事例と科学的エビデンスを使って解説しているのが本書。
全3部に渡って60項目もの
認知バイアスを紹介しています。
■3. 本書を読むと『得られるもの』
■ 得られるもの(1)過去の経験に対する『納得感』
本書では、
60項目に及ぶ各認知バイアスについて
具体的な事例を上げながら紹介しています。
例えば…
『ギャンブラーの誤謬』
という認知バイアスがあります。
これは、
『一つの答えが出続けた場合、
その次こそは、違う答えが出るのではないか?』
という思い込みをしてしまうという認知バイアスです。
カジノのルーレットをイメージしてみてください。
もしも、5回連続で赤が出ていたとします。
その結果を見てから、ルーレットに賭ける場合、
『5回も連続で赤が出たんだ。
次こそは、黒が出るだろう!』
と思ってしまいがちです。
しかし、
赤が出るのか黒が出るのか
という確率は
常に50%:50%です。
この確率が変わることはありません。
確かに連続でどちらか一方が出る確率は
どんどん少なくなっていきます。
しかし、
賭ける瞬間の一回一回は
過去の結果に影響を受けません。
したがって、確率は常に50%:50%なわけです。
このように
過去に連続していた
という結果を知っているだけで
『もう次こそは、違う結果になるだろう』
と勝手に思い込んでしまった、
なんて経験は、あるのではないでしょうか?
本書の良いところは、
上記で取り上げた例のように
日常に潜んでいる
『あ〜、確かにこうやって考えちゃうよね〜!』
『なるほど。あのとき、あんな感情になったのは、コレが理由だったんだ。』
などなど、
みなさんが一度は経験したことがあるでしょう
あるあるな体験や気持ちが
認知バイアスを原因としている
ということを認識できます。
今まで何の気無しに感じてきたことの原因がわかるというのは
勉強をしていて楽しいと感じる要素の一つであると思います。
本書を読むと
以上のような『納得感』を得ることがデキます。
■ 得られるもの(2)コミュニケーションを円滑にするための『冷静さ』
認知バイアスというのは、
すべての人が無意識的に使ってしまうフィルターのようなものです。
したがって、
『自分意外にも
すべての人が認知バイアスというフィルターを持っている』
と知れば、
『なぜこの人はこのように考えたんだろう?』
『なんでこの人は自分の気持ちをわかってくれないんだろう?』
『なんで自分の気持ちをうまく伝えることができなんだろう?』
といった
コミュニケーションの中で感じる
心のモヤモヤを感じなくてもよくなります。
なぜなら、
認知バイアスが働くことで
同じ事象に対する考えたや捉え方は
人それぞれバラバラになるからです。
認知バイアスとは
いわば
『過去の経験から生まれる勝手な偏見』
です。
もちろん人それぞれ過去の経験は違います。
だからこそ、
人それぞれ伝わり方が違うのです。
そうとわかれば、
他人とのコミュニケーションの中で感じる
モヤモヤや苛立ちなんてものを考えるのではなく
『どうやったらうまく伝わるのかな?』
という
コミュニケーションの目的に立ち返ることができます。
こうした
『会話の目的に立ち返る姿勢=冷静さ』
を気づかせてくれるのが
本書の魅力です。
■ 得られるもの(3)『良い疑い』を考えるようになる
認知バイアスのままに物事を捉えてしまうと
詐欺やボッタクリに遭いやすくなったり、
会話の中でモヤモヤとしてしまう
なんてことが起きます。
もちろんそんなことは経験したくなんてないでしょう。
本書でも明確にかかれていますが、
そうした嫌な気持ちを少しでも減らすためには
『正しい知識を身につけること』
が最も重要です。
本書では、
数多くの科学的なエビデンスを引用し、
実験から裏付けされた事実のみを掲載しています。
こうした
科学的なエビデンスは、
『多くの人に対して再現性がある』
ということです。
迷信的でなく、
誰かが言っていた根拠なき噂話でもなく、
科学的に実証された結果を知ることが
正しい知識を身につけ、
心のモヤモヤを減らす第一歩です。
そして、
正しい知識があれば、
日常の中で目にした事柄について
『都合が良すぎるのではないか?』
『本当にこの人が言っていることは正しいのか?』
という風に、
『良い疑い』を持つことができます。
この『良い疑い』は
決してネガティブな経験を予防するだけに
効果を発揮するものではありません。
仕事やプライベートの中でも
『もっと別の選択をした方が効率的なのではないか?』
『そんなに偏らなくても、もっと別の楽しい方法はあるのではないか?』
という風に
生活をより楽しくするためのキッカケを得られます。
『良い疑い』を様々な場面で使用して、
自分の人生をより充実した楽しいものにデキます。
大げさではなく、本気でそう思います。
●まとめ この一冊で、日常の中にある『言葉にならないモヤモヤ』を説明できるようになる
日常の生活と一言に言っても
様々なことが起こります。
●環境の変化
●コミュニケーションの壁
●感情の起伏
そうした変化に対して
人間は無意識的にフィルターを掛けてしまう。
それが認知バイアスです。
その認知バイアスの存在を知り、
正しい知識を身につけることで
生活の嫌なストレスは減っていきます。
人は
『言葉にならない』
という状態をストレスに感じてしまうもの。
そんなモヤモヤした感情は
この本を読めば
解消されていくことでしょう。
という感想を書き終えたところで
筆を擱きます。
ではまた!:D