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『エッセイ』シリウスを見ながら考えた、星空から火星移住まで
毎週水曜日はエッセイもしくは雑文の日。今回は星の話です。
星について書く。
階段の踊り場に(と言っても別に段が変わるわけではなく、部屋への出入り口がやや広く取られているだけなのだが)、小さな東向きの窓があって、そこから夜空を眺めることがある。と言うより、窓の半分は隣家の屋根が占めているので、空しか見えないと言ったほうが正しい。東を向いているので、時期には満月が拝めるし、冬になるとオリオン座が綺麗に見える。UFOなど飛んでないかと目を凝らしてみることもあるけれど、今だかつてお目にかかったことはない。
そんな夜空で今一番よく瞬いているのが、おおいぬ座のシリウス、和名で大星とか青星とか言われる星だ。シリウスは惑星や月を除くと全天で一番明るい星で、ただ明るいというだけでなく青や黄色に瞬いているのですぐそれとわかる。中国ではこれを狼の眼になぞらえて、「天狼星」と呼ばれているとのこと。(ちなみに「天狼星」というタイトルで曲を作ったのはチンペイさん(谷村新司)だとおもっていたけれど、彼が作ったのは「天狼」で、それとは別にさだまさしさんに「天狼星に」というタイトルの歌がありました。ややこしや。)
エジプトで、シリウスが夜明け前に東の空に昇るとナイル川が氾濫する、という話があるというのを知ったのは、もしかしたらこちらだったかも。(違ってたらごめんなさい)
何にしてもつい見惚れてしまう星なのに違いはない。
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夏の星空にはあまり関心はないけれど、冬の星空が好きなのはシリウスを始めとしてわかりやすいからだ。小学校の頃、授業で星座を探しましょう、とか言われて北斗七星とかカシオペアがわかりやすいから、と教わったけれど、それとはっきり見つけることができなかった。それに比べるとオリオン座の三つ星なんて、当時住んでいた、海と低い山しかなかったところでは、嫌でも眼に入ったものだった。もちろん、北極星を起点にすればすぐに見つかったのだろうけれど、子どもの眼にはその北極星にしてからが、どれやらさっぱりわからなかった。つくづく古代の人は優れていたのだなと感心させられる。
今の場所に住むようになった当座はまだ周りにほとんど家がなくて、すぐ脇を高速道路が走っているとは言え、天の川も綺麗に見えていた。いつ頃から見えなくなってしまったのかはわからないが、最近は本当に、星の数が少なくなった。宇宙が膨張しているということをこんな詩にうたったけれど、
もちろん、数十年くらいで数が減るほど激しく膨張したわけではないだろう。クルマの量が増えたのか街灯が増えたのか、たぶん両方のせいだとおもう。野辺山高原に行ったって星空を気にしたこともないのだから何をか言わんやだけれど、それでも減ってゆくのはやはり少し寂しい。
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星のことを書いたからといって、占星術には全く興味はない。自分が魚座で、地に足が付いていないのはそのせいかなぁ、と、ぼんやりおもったりするくらいだ。以前にも書いたことがあるけれど、前にテレビの占いの番組か何かで、全く当たらないと揶揄された占星術師が、近頃は増えすぎた人工衛星のせいで正しいことがわからなくなってしまった、と言っていたのを見て思わず笑ってしまった。でも冗談ではなく、スペースデブリ(宇宙ゴミ)が大きな問題になりつつあるとも聞く。いつの間にこんなに? と驚くほど人工衛星が地球の周りを回っていて、他の星から見たらゴミの島みたいに見えるんじゃないか、というくらいだ。やがてはそれらが邪魔をして、星座なんて見えなくなってしまう、なんてことも・・・ま、ないとはおもうけれど。
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人口が増えすぎて他の天体に移住する、というのもSFによくあるテーマだ。古いマンガばかりで恐縮だけれど、竹宮恵子さんの「エデン2185」とか、ちょっと趣旨は違うけれど佐々木淳子さんの「ブレーメン5」とか。
火星移住の話なんて、結構現実味を帯びてきている。壮大な話でいいとはおもうけれど、その前にこの星のことを何とかすべきでは、とおもう。核の脅威から逃れるために外に出てゆく、なんて、考えるだに恐ろしい。
それにしても、火星を始め、太陽系の星々をまるで自分のもののように考えている状況は、本当にそれでいいのだろうか? 真夜中の冬の夜空を眺めながら、ふとそんなことさえ考えてしまうのだ。
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