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DX読書日記#4 『変革とパラドックスの組織論』 山岡徹

はじめに

前回DX読書日記#3では、オライリー & タッシュマン著「両利きの経営」を取り上げました。
その中で、「両利き」の内容理解のために併せて読んでいた、九州共立大学の石坂先生の論文も紹介させていただきました。

当時(つい最近のことですが)、関連書籍も探していたのですが、取り寄せていた本が届き、確認したところ、「両利き」についても解説されていました(!)ので、取り急ぎ、ご紹介させていただきます。

横浜国立大学の山岡徹先生の「変革とパラドックスの組織論」(2015年)という本です。

本書の概要

本書は、一般向けではく、いわゆる専門書となりますが、大変分かりやすく書かれています。

「両利き組織」について第7章で解説していますが、他の章も関連した内容となっています。

目次
はしがき
序章 組織変革とパラドックス
第1章 組織における内部統合と変革
第2章 組織における共通目的の体系化
第3章 組織変革としての「共通目的の再定義」
第4章 外部環境の不確実性と組織設計
第5章 組織変革におけるリーダーシップと学習
第6章 組織学習のパラドックス
第7章 組織能力のパラドックスと両利き組織
第8章 変革プロセス推進の阻害要因
第9章 変革モメンタムと動態的な組織均衡
第10章 組織における矛盾の創造的マネジメント

「変革とパラドックスの組織論」から抜粋

この第7章の内容だけでも要約してみようと試みてはみたのですが、論理展開がとても密で、抜粋すらも難しく、、今回は一旦断念しました。。

内容の構成だけですが、以下はご参考です。

第7章 組織能力のパラドックスと両利き組織

Ⅰ 能力構築のパラドックス

1 組織における能力構築の必要性
(1) 組織能力の概念
(2) 新たな能力構築の必要性と限界

2 組織における探索と活用のパラドックス
(1) 探索と活用の概念
(2) 探索と活用の両立の必要性と困難性
(3) 活用型組織の特徴
 ①「強み」の統一的な定義
 ②特定領域に対する集中的な資源投入
 ③経営効率性と緊密な部門間調整の重視
 ④統一性と目標必達を奨励する組織文化
(4) 探索型組織の特徴
 ①豊かなスラック資源の存在
 ②組織における多様性や創発性の重視
 ③自発性と緩やかな部門間調整
 ④分類型の資源投入
 ⑤不確実性を許容する組織文化
(5) なぜ両立が困難なのか?
 ①両立の必要性
 ②探索と活用のトレードオフ関係
 ③組織マネジメントの相違

3 「能力の罠」の概念
(1) 活用の自己強化ループ
 ①活用的活動の取り組みやすさ
 ②既知の凡庸さを選択する組織の自滅的性質
 ③探索的活動に付随するリスクの大きさ
(2) 探索の自己強化ループ

4 「能力の罠」を促進する認知的要因
(1) 外部環境と経営資源に対する認識
 ①環境変化の過小評価と内部資源の過大評価
 ②既存資源が組織の認識枠組みに及ぼす影響の持続性
(2) 戦略的課題に対する経営幹部チームの認識形成
 ①チームメンバーの職務経歴の多様性
 ②チームメンバー間の社会的な相互作用
(3) 認識上のゆがみをもたらす各種の罠
 ①熟知の罠
 ②成熟の罠
 ③近接性の罠
(4) 一貫性へのコミットがもたらす問題認識の歪み

Ⅱ 「両利き」組織の概念

1 「両利き」組織モデルの考え方
(1) イノベーションと「両利き」組織の概念
(2) 目の前の経営課題と将来の経営課題
 ①コンティンジェンシー理論の基本的な視座
 ②「現時点」の外部環境への最適な対応
 ③「現時点」と「将来」における環境適応の必要性
(3) 経営における矛盾と最適化への注目
 ①コンティンジェンシー理論における最適化状態の重視
 ②両利きモデルにおける矛盾統合プロセスの重視

2 「両利き」能力の類型化
(1) 「構造的な両利き」の概念
 ①トレードオフ問題に対する構造的な対処
 ②分離された部門間における相互調整
(2) 「文脈的な両利き」の概念
 ①文脈的両利きとは
 ②文脈的両利きと構造的両利きとの相違点
 ③組織コンテクストの概念
 ④Ghoshal & Bartlett(1994)による組織コンテクストの定義
 ⑤組織コンテクスト間の対立とバランス
(3) 両アプローチの意義と限界
 ①文脈的両利きモデルの意義と限界
 ②構造的両利モデルの意義と限界
 ③構造的アプローチか、文脈的アプローチか
(4) 両利きの組織能力をいかに発揮するのか
 ①同時両利き(simultaneous ambidexterity)の概念
 ②順序両利き(sequential ambidexterity)の概念
 ③同時両利きか、順序両利きか

「変革とパラドックスの組織論」から抜粋

なお、「両利き経営」の実現方法の分類の仕方については、石坂論文(2014)とは若干異なりますが、内容としては同様のようです。

「両利き経営」の実現方法の分類

石坂論文(2014)
①時間的双面性
②構造的双面性
③コンテクスト的双面性

本書
①文脈的両利きモデル
②構造的両利きモデル
 ②-1 同時両利き
 ②-2 順序両利き

おわりに

以上、簡単ですが、本書のご紹介です。
組織論の本は、一時期、結構読んでいたのですが、こんなにいい本があったんですね!
「両利きの経営」や組織論に興味のある方には、お奨めできる一冊です!


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