重荷を背負った男女に、心が揺さぶられた一冊。凪良ゆうさんの『汝、星のごとく』
凪良ゆうさんの『汝、星のごとく』を
読みました。
前作『流浪の月』もそうですが、凪良さんの本は魔術がかかっているのか、1度読みだすと2日で読みきってしまいます。
『汝、星のごとく』にも強烈な魔術が
もれなくかかっていました。
あおまかな あらすじですが、主役の男女
青埜 櫂(あおのかい)と 井上暁海(いのうえあきみ)は、幼少期から不安定な親たちに振り回され、それでも突き放すこともできずに葛藤する様が描かれていきます。
仕事はしているのだけれど 男性にすぐ寄っていき、その面で自立ができていない櫂の母親。同じ島内に愛人をつくって家を出た夫にいつまでも執着する、暁海の母親。
櫂と暁海は、そんな不安定さからくる家庭に
目を向けたくなく、お互いを必要とし、高校生の時から深く愛しあうようになります。
櫂は、手掛けていた漫画の原作者として成功が見え、高校を卒業とともに島をはなれ、都会で華を開かせます。
暁海は、櫂と一緒に島を離れたかったおもいを胸にしまいつつ、精神が崩壊しつつある母と共に島で生きようと決意します。
この作品では、櫂の視点、暁海の視点と項目でいったりきたりします。
同じ時を過ごしていても、双方の視点では
すれ違いが起こっています。
なぜか最後
パーフェクト感にほろりとさせられます。
私の中でのキーマンは
完全に、北原先生です。
櫂が最期のほうで「暁海は瀬戸内の海みたいや」と言っていましたが、北原先生こそ
『櫂や暁海、はたまた島全体』を包み込む力のある深海のような気がします。
(深海という表現をしたのは、包容力 + 謎の多い部分があるという意味合いです)
作中で、ヤングケアラーという語句が出てきたのですが、凪良ゆうさんはきっとそこに夕星をあてたかったのかな、と思いました。
ここまでお読みいただきまして ありがとうございました。