作家として父として
こんにちは、昨日八犬伝を見てきましたので感想を書きます。
時代物は三匹が斬る以来の鑑賞でしたが本作も面白く見られました。
父として作家としての葛藤
本作は役所さん演じる馬琴の八犬伝制作の葛藤が見られた作品でした
馬琴は父親として息子に医者になって欲しいと思います
それだけではなく身体の弱い息子に八犬伝執筆の手伝いまでさせてしまうのです
でもそれは厳しく息子に当たったわけではなくただ息子に立派な医者としてなって欲しかったんだと思いました
だからこそ母であるお百に「お前の父親はダメ人間だ!」と言われても息子は
必死にそれを否定していました。
確かに息子と父親の間には愛情があったのです、でも馬琴が作家として物語を描くうちにおざなりになってしまいました。
そこが八犬伝「実」の世界の悲しいところでしたね
これはvivantのノゴーンベキと憂助の関係性を思い出してしまいました。
役所さんが厳しい父親としてそして物語を紡ぐ作家として生きる馬琴を演じた事でより実感を持って伝わりました。
だからこそ息子が亡くなり自身も失明した時、お路が八犬伝の代筆する事を名乗り上げたシーンでグッとしました
義理の娘であるお路に馬琴は漢字の書き方を教えながら物語を執筆し完成させました。お路と馬琴の様子を見た北斎は「俺が描かなくても絵になるな」と言い残しました。
お路が馬琴の物語を文にする事で馬琴は自身の執筆する物語を「実」の世界だと信じる事が出来ました。
悪友、北斎
北斎は馬琴とは真逆の性格の絵師です。だからこそ描いた絵が馬琴が物語を描く上で強烈なインスピレーションを得ていました。でも北斎は毎回描いた絵を自らの手でビリビリにしているんですよね。それは馬琴が自分の絵よりも素晴らしい物語をきっと作ると信用している部分もあると思うんですよね
物語が続くにつれて馬琴自ら北斎の絵をぐしゃぐしゃにする事で北斎の絵への依存をなくしていき最終的には城を描いた絵を見て「八犬士の集合だ」と言うんですよね。目が見えなくなったのもあると思いますが馬琴が自身のもうを自分で作れる様になった描写でもあると思いました。
あとこんな4コマ漫画を描きました、拙作ですが見て頂ければ嬉しいです
こんな悪友コンビの馬琴と北斎の描写がほんのりブロマンスを感じました…
虚の世界も八犬伝の物語を教科書の情報ぐらいしか知らない私でも大筋がわかる様にVFXを使いながら美しく表現しており「これで八犬伝知っている」と言い切れるぐらいの知識ができたと思います。
山田風太郎の執筆した原作を読みたくなる作品でした…
八犬伝を全く知らない、名前しか聞いたことのない人こそ楽しめる作品です!