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セッション定番曲その186:Donna Lee

ジャズセッションの人気曲。インストが定番ですが、実は歌っている(スキャット)人も沢山います。バード作となっていますが、実はマイルスがアイディアを出したようです。


ポイント1:Karrin Allyson

1997年録音、Karrin Allysonによるヴァーカリーズ。歌詞は無く、テーマもスキャットです。こういう「口三味」みたいなのって意味あるのかと思う人もいるかと思いますが・・・。後半は「Donna Lee」の元ネタである「Indiana」も挟んでいます。


ポイント2:Charlie Parker

1955年録音。Charlie Parker, Miles Davis, Bud Powellらによる演奏。当時のBebopはロックで例えると「プログレ」。いかに高速に複雑に、しかも破綻なく演奏するかの技の競い合いで、そこに爽快感があります。ジャズが「ダンス伴奏音楽」から脱して「純音楽」へと移行しようとして発生したもの。

ただ、この機械的なリフを核としながらいかに「音楽的」に奏でるかが大事ですね。ただ指が速く正確に動く競争になってしまっては元も子もないので。


ポイント3:Jaco Pastorius

Word of Mouth Sextetによる1982年ライブ録音。Don Alias, Randy Brecker, Bob Mintzer, Peter Erskineというヤバめのメンバーでの演奏。ジャズを「おじさんがカーディガン着てパイプを咥えて聴く音楽」から「フェスで拳を振り上げて踊りながら感じる音楽」に脱皮させたのがこの時代。
アコースティックベースでは難しかった連続的な速弾きをフレットレスのエレキベースで演奏してみせて、伴奏楽器からフロント楽器への可能性を示した功績は大きいですね。

ポイント4:(Back Home Again in) Indiana

1917年に書かれた古い曲。これ自体がジャズスタンダード曲ですが、このコード進行を元にして「Donna Lee」や「Ice Freezes Red」「Ju-Ju (by Lennie Tristano)」などが作られたと言われています。「contrafact(替え歌)」と呼ばれます。

後述のように「Donna Lee」を演奏/歌唱する際にこの元ネタの「Indiana」を挿入することもあります。


ポイント5:演奏のバリュエーション

Clifford Brown、1955年録音?
Bebop時代最高のトランペット奏者Clifford Brownの演奏。高速で複雑で破綻がなく音楽的な演奏のお手本。


Eric Dolphy、1963年ライブ録音
Phil Woods, Benny Golson, Don Ellis, Jim Hallなどが参加したカーネギーホールでの演奏。


Bireli Lagrene、1992年録音


Anthony Braxton
、1987年録音
終始、変な音でテーマを奏でています。


ポイント6:歌唱のバリュエーション

単にボーカルテクニックを聴かせるだけでなく、いかに遊ぶか、自分のものにしているかが分かる歌唱はいいですね。

Tierney Sutton、2000年録音
「Indiana」から始めて「Donna Lee」へ入っていきます。4小節交換でのスキャットとサックスのやり取りがいいですね。


Carline Ray
1925年生まれの大ベテランシンガーによる歌唱。テンポを落としてベースとのデュオでテーマをスキャットしています。


Pascal Pahl、2019年録音
すごく音楽的に豊かなスキャットで好感が持てます。


Carmen Souza、2012年録音
楽しいアレンジでの演奏と歌唱。彼女はポルトガル人のシンガーで、意味のある歌詞を歌っている気もしますが、聞き取れません。

https://lyricstranslate.com/en/donna-lee-donna-lee.html


Bobby McFerrin、1984年ライブ録音
無伴奏での自由自在なスキャット。


Deborah Brown、2015年録音
ビッグバンドをバックに、オリジナルの歌詞を付けて歌っています。


西村知恵、2020年録音
女性ジャズシンガーには珍しいちょっと塩辛い声でいいですね。


ポイント7:黒田先生の「ミュージシャンは演奏中何考えてるの」シリーズ

裏側が覗けて面白いですね。



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