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セッション定番曲その117:Pride and Joy by Stevie Ray Vaughan & Double Trouble

ブルース(ロック)セッション定番曲。ロックからブルースに入った人には最適な曲だと思います。豪快に弾き、歌いましょう。
(歌詞は最下段に掲載)

和訳したものはあちこちのWebサイトに掲載されているので、ここではポイントだけ説明します。


ポイント1:Stevie Ray Vaughanによるブルース(ロック)リバイバル

1980年代半ばにブルース(ロック)リバイバル・ブームが起きたのですが、その中心にいたのがStevie Ray Vaughan(SRV)。Double Troubleというリズムセクションとのシンプルなトリオ編成でブルースギターをぶちかまして、熱狂的な人気を得ました。

1980年代といえば電子楽器による明るいポップス全盛時代、みんなピコピコ、ポコポコやっていました。そこに「真っ当なブルース(ギター)」で勝負するSRVが登場。1970年代初頭のブルース(ロック)とは違う、ハードロックやファンクを経由してまたルーツに立ち戻ったような音でした。ポピュラー音楽で10年違うとリスナーも世代交代しているので、新鮮に聴こえたのかもしれませんね。

その後1990年代に入ってGary MooreやPaul Rodgersなどのベテランもブルース(ロック)に回帰した作品をヒットさせました。21世紀の今でもブルース(ロック)がジャンルとして生き残っていて、フェスなどで盛り上がりをみせているのはこの時期のリバイバルが大きかったと思います。

ポイント2:Stevie Ray Vaughanのシャッフル

ギター抜きのトラック。

「シャッフル」はブルースの基本的なリズムパターンですが、そのフィーリング、跳ね方については様々バリュエーションがあって、実際に演奏する際には解釈の違いで衝突することもあります。

この曲ではいわゆる「テキサス・シャッフル」というバックビート深めのリズムになっています(この言葉も定義が曖昧ではありますが)。どっしりとした推進力。ベースのランニングも特徴的です。Double Troubleのリズム隊が注目を浴びることはあまりありませんでしたが、彼らのリズムがSRVの土台で背骨になっていたことは間違いありません。たまにSRVが他のバンドにゲストで加わることもありましたが、その際のリズムの軽さに違和感はありました。

この曲をやる時にはいったん愚直にこのリズムを忠実に再現してみるのが良いと思います。

ポイント3:Stevie Ray Vaughanのギター(サウンド)

一発でそれと分かる太い音。1弦は.013 という太め(以下 .015、.019、.028、.038、.058 だったそう)で、半音下げチューニング。それを自由自在にベンディングし、速いフレーズもミス無く弾き、ミュートも上手い。フレーズを完璧にコピーしても、あの音色の再現は難しいですね。(彼のギターを触らせてもらった同業者は、どうやってアレを弾きこなしているのか首を捻ったようです)

スローブルースでも遠慮なく速いオブリやソロをぶちこんで、ロック感覚満載のプレーです。SRVにはギターインスト曲もありますが、柔かいタッチの太い音で奏でていて、存在感がとてもあります。

SRV自身は「黒人ギタリスト」以外からの影響を否定していたようですが、絶対にハードロックも聴いていたと思います。ブルースフレーズを弾いていても、枠からはみ出すようなノイズ成分多めの音をうまくコントロールして使っています。

ブルース(ロック)ギタリストというとエキセントリックな演奏で、出来の波が激しいというイメージもありますが、ビッグネームのギタリスト達は実は丁寧で安定した演奏の人も多いです。SRVのギターの音色も非常に安定しています。激しいステージアクションの中でも破綻の無い演奏をしていました。

ポイント4:Stevie Ray Vaughanの歌声

ギター(楽器)を弾きながら歌う人特有のノリ、演奏との一体感。歌そのものは上手い訳ではなく、テキサスのギタリストらしい「がなり声」ですが、ちゃんと抜けの良い声。Jimi Hendrixはもっとこもったような声で歌が聴き取れないこともありましたが、SRVはギターと同じくらい存在感のある歌声でした。

楽器をやる人なら絶対に歌った方がいいと私は思っています。声には感情がストレートに乗るので、それが演奏にも良い影響が必ずあります。

なお、この曲の歌詞についてはあまり深い解釈はないので省略します。


ポイント5:Stevie Ray Vaughanの名曲、名演

Cold Shot

キーボードも加わったライブ録音。重めのシャッフル。このタイトな演奏がSRVの特徴、見かけの豪快さに反して音色もフレーズも丁寧にコントロールしています。

Texas Flood

もちろんスローブルースも絶品

Scuttle Buttin

このスピード感!


Voodoo Child (Slight Return)

SRVはJimi Hendrixの魂の継承者でもありました。


ポイント6:カバー

Jimmie Vaughan, John Mayer, Doyle Bramhall & Gary Clark Jr.

兄貴のJimmie Vaughanを含むオールスターによるライブ録音


Corey Heuvel によるアコースティックカバー

この人、歌うまいですね。

Paul Davidsによる(正しい)リフの解説


ポイント7:おまけ David Bowie "Let's Dance"

1983年の大ヒット曲。いま観るとダルいMVですね・・・。
この曲の最終盤に少しだけ聴けるギターソロが「Albett Kingか!?」と話題になりました。すぐにフェードアウトしてしまうのが残念。

Long Version


◾️歌詞


Well, you've heard about lovin' givin' sight to the blind
My baby's lovin' cause the sun to shine

[Chorus]
She my sweet little thing
She my pride and joy
She my sweet little baby
I'm her little lover boy

Yeah, I love my baby, My heart and soul
Love like ours won't never grow old

[Chorus]

Yeah, I love my lady, She's long and lean
You mess with her, You'll see a man get mean

[Chorus]

Well, I love my baby, Like the finest wine
Stick with her until the end of time

[Chorus]

Yeah, I love my baby, My heart and soul
Love like ours won't never grow old

[Chorus]





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