「0.5の男」っていいよね~ドラマ雑感
「まほろ駅前」の多田便利軒にいる行天春彦(松田龍平)が好きです。
「0.5の男」の主人公・雅治(マサハル)は、行天と歩き方や飄々とした動きこそ似ているものの、引きずっているいるものや、内面的な味付けがかなり異なります=演じている龍平さんはすごい!
乱暴に言うと「0.5の男」は、「引きこもりのゲーム廃人おじさん」がリアルの世界でつながりを取り戻す話。笑えるシーンが織り込まれつつ、引きこもりになってしまったおじさんとその家族、そしてそこに関わる人々とのつながりの中で新しい自分を見つける物語です。
第1話では、朝日を浴びながら運動する父親から「お前も一緒にやるか」と言われる雅治。「いや、オレ、朝日浴びると溶けちゃうから」と答えるシーン。
母とのコミュニケーション手段の付箋メモに「家をちょっと二世帯にします」と書かれていると、雅治は「えぇっ‥‥」と引きながら驚きます。
甥っ子の蓮(レン)くんが扉の向こうから「まっくろくろすけでておいでー」と声をかけ、仕方なさそうな態度ながらも「わさわさわさわさわ」と言いながら扉を開ける雅治。と、扉の前に立つ姪っ子の恵麻(エマ)ちゃんと顔を合わせ、面と向かって「えっ・きもっ」と言われ、雅治は「すみません」と謝る場面も。
そんな雅治はゲームの世界ではカリスマ的存在のQ太郎として、「2.5世帯とか。まじ、しねばいいのに」「タワマン住んでやる・これは復讐だよ。0.5による復讐だ」といった会話を繰り広げます。
その雅治の持つ超初期のSony Ericssonのスマホ(SO-01Bではないかと思われます)には、産まれたばかりの恵麻と雅治が贈ったぬいぐるみの写真が保存されています。恵麻はその写真をアイコンとして使用してゲームの世界でQ太郎に出会うことになります。
こんな細かいところまで説明セリフではなく、文字情報やテンポの良い転換、2.5世帯住宅を一発で表現する構図(セット)などは「拍手!」してしまいました。
住宅会社のカワムラさん、コンビニの店員ホセさん、甥っ子の蓮くんの担任のヒトミ先生、恵麻のクラスメイトのスガワラさんたち、元上司のキシダさん、ゲーマーのオフ会、隣家との関係──雅治を取り巻く人々の日常が描かれていきます。
最終話までの恵麻ちゃんと雅治(師匠・Q太郎)の距離感やメッセージでのやり取り、雅治の部屋の色(温度感)や明るさの変化、ヒトミ先生との間合いと会話の変化が、ストーリーの展開だけでなく、色合いや画面の明るさなどでも丁寧に表現されているのではないでしょうか。
大きな事件が描かれるわけではありません──といっても、日常の中でさりげなく描かれるつながりや心の変化がとても繊細で、見るのが楽(らく)なドラマ。スピード感やどんでん返し、派手なアクション、無理な恋愛話など、「ドラマだよね」と思わせる要素がないため、地上波のテレビドラマには向かないかもしれませんが、心穏やかに見ることができる作品です。
WOWOWのドラマですが、今はAmazon Primeでも視聴できます。
◆ドラマを見て、他の人にも見てほしいなと書きたくなりました。第1話の会話で紹介になってしまった。よかったら見てください。そしてここで「スキ(♡) 」を押してください。