#112 優秀なストライカーが凡庸なマネジャーになるのはパスが出せないから?
前回の続きで、サッカーに例えてマネジャーについての私見を述べたいと思います。
前回はこちら。
今回もIwasakiさんの「なんたら長」についての記事に影響を受けました。
〇マネジャー(なんたら長)の前提
Iwasakiさんの意見はこちら。
私もその通りだと思います。
カバーと埋めがチームの安定運用には欠かせず、味方の徹底的な把握と良い場所にいることが良いパスを出すための条件だと理解しています。
そのため、この前提を使わせていただきます。
〇マネジャーに昇格する優秀なストライカー
ヒラの優秀なプレイヤーが昇格してマネジャーになるケースが非常に多いという実感があります。マネージャーとして育成し、マネージャーに昇格するというケースは私の周りにはありませんでした。
優秀なプレイヤーに対するリワードがマネジャーに昇格させることであるとして考えられていると認識しています。
(リワードの方法にも色々あるはず。というのは置いておきます。)
優秀なプレイヤーはチームを勝たせるプレイヤーです。
わかりやすいのはゴールを量産するストライカーでしょうか。
弊社のような受託のシステム開発事業では、新規の大型プロジェクト成功の立役者などが挙げられます。
プロジェクトの難しい技術課題を解決した、顧客との難しい交渉をまとめたなど、最後にゴールを決めた人です。
最後にゴールを決められる人は、やりきる胆力があるためリーダーには相応しいと思いますが、良い起点のパスが求められるマネジャーに向いているとは思いません。
〇マネジャーに昇格しにくい優秀なパサー
私の中では、仕事の全体感を把握し目的に合わせて良いカバーや良いパスが出せる人も優秀なプレイヤーです。
そのようなプレイヤーを仕事力がある人、普通のエンジニアなどと呼んでいます。
彼らには良いパサーとなる素養があると思いますが、ゴールゲッターと比べて目立たないのでマネジャーに昇格する機会は少ない印象です。
ゴールを決められる人がパスを出す仕事力を備えている場合は昇格できるが、仕事力が特別優れているだけでは不十分ということかと思います。
〇優秀なストライカーが凡庸なマネジャーになる理由
優秀なストライカーは得点能力に優れています。
しかし、個人の能力だけで得点することは難しいです。
世界最高峰のサッカープレイヤーであるリオネル・メッシでさえ、ワールドカップ優勝は非常に困難な道のりでした。
ストライカーが気持ちよく得点するには良いパスが必要です。
また、試合に勝つには失点を防ぐ必要もありますが、ストライカーは守備の貢献が薄い傾向があります。
カバーと埋めを理解・遂行でき、味方を徹底的に把握しちゃんと良い場所にいて、良いパスを出せるマネジャーや優秀なDF、MFがいて、はじめてストライカーは攻撃で真価を発揮することができます。
優秀なストライカーがマネジャーに昇格した時に、新たに率いるチームにはもう良いパスが出せるマネジャーはいません。
新たに率いるチームに優秀なDF、MFがいなければその部分をカバーして埋めなければいけません。
今まで点を取ること専念していたストライカーにマネジャーの役割が務まるでしょうか?
ほとんどの優秀なストライカーはリーダーに相応しい一方で、マネジャーの役割を担うのは難しいでしょう。それなのに、マネジャーの役割が与えられてしまう。
これが私が考える優秀なストライカーが凡庸なマネジャーになってしまう理由です。
〇ストライカーでも首を振れ
優秀なストライカータイプのリーダーがマネジャーを務める弊害については、「#109 マネージャーは良いパスを出せ!」の記事でも触れています。
凡庸なマネジャーにならないように、自分が良いパスを出せるようになるか、優秀なパサーを見つけてマネジャーの役割を任すことが必要でしょう。
マネジャーの責務はチームを勝たせることです。
自分がストライカーのままチームを勝たせたいのであっても、まずは首を振って状況を把握し、チームを勝たせるための布陣を整えなくてはなりません。
ということで、優秀なストライカーが凡庸なマネジャーになってしまう原因について考えました。
若いうちから仕事の全体感に目を向け、首を振る習慣を身に着けておくと、いざマネジャーになった時にも活路が見いだせると思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。