#143 『0→1』の価値は1。『1→10』の価値は9。でも『0→1』が評価されやすいわけ
こんにちは。ITベンチャーエンジニアのこへいです。
新規事業を立ち上げるなど、新しく生み出し仕事を『0→1』。その事業を初期から成長させることを『1→10』、さらに事業を拡大することを『10→100』とそれぞれのフェーズを表したりします。
私の職場では『0→1』が圧倒的に評価される花形の仕事です。
以前に、『0→1』の価値は1。『1→10』の価値は9で価値の大きさは明らかだよね。という話を聞き、全くその通りだと思いました。
ではなぜ評価の逆転が起きるのかについて考えます。
※受託のシステム開発を行う私の職場の話がベースになります。
◯受託のシステム開発の売上構造
『0→1』『1→10』の仕事内容について、受託開発の売上構成から整理します。
私の職場では商品販売プラットフォームの提供をしており、売上は2つの要素で構成されます。
①開発費
②利用料、運用保守費
①の開発費の中でも新規顧客への導入や既存顧客のシステムリプレースなどが一からシステムを構築するため、『0→1』に該当します。
システム導入済の顧客からの要望に合わせて新しい機能を開発することは『1→10』に該当します。
②の費用をいただき、運用保守の対応をすることも『1→10』に該当します。
新規顧客を獲得し初期導入の開発で①の売上が立ち、開発プロジェクトが完了すると②の売上が立ちます。
つまり、①があって始めて②が得られる構造です。
◯0→1プロジェクトの方が盛り上がる
①を生み出す開発プロジェクトは盛り上がります。
商品販売プラットフォームというシステムの特性上、顧客の事業の根幹を担うため受注までの営業活動には様々な困難があり、やっと受注できた案件をこれから開発していくぞ!!という気持ちになります。
期限のある開発プロジェクトは短距離走的な勢いを持って対応するため、チームが一丸となりやすいです。
エンジニアとしても新しい機能をガンガン開発していくのは非常に楽しいです。
社内でもワイワイガヤガヤと賑わっていることが多く、盛り上がりが社内に伝わっていきます。
また、売上的にも年度単位で見たときには①の開発費の方が②の運用保守費よりも大きいです。
継続的に安定した売上をあげる②が安定した経営のベースになりますが、売上拡大につながる①の売上の方が重要視されます。
当然案件の規模が大きい程、案件の重要度は上がり関係者も増えるため、社内で話題になる機会も増え、注目されることになります。
0→1プロジェクトの方が売上面でも盛り上がるために評価されやすい状況になります。
ただし、初期開発時に全ての機能を完璧に作り終えることは難しく、運用フェーズに入ってから対応していくことが多いため、①の売上に対する作業の一部は②で対応することもあるのです。
◯トップの興味度合い
弊社の営業トップは案件を獲得するために生まれてきたような方で、めちゃくちゃ仕事を取ってきてくれます。
いつでも顧客からの受注獲得のために全力投球です。
トップの興味関心が新規案件獲得に偏るため、全社会議でも取り上げられるのは①に偏ります。
②の運用を安定的に回すことや、より低コストに運用できるような工夫や改善はあまり注目されません。興味がないのでw
関係者が盛り上がって注目を浴び、トップが話題にあげることでも注目を浴びるため、社内での認知度が高まり評価されやすくなるという構造があります。
受託開発という特性上、『0→1』の方が短期的な売上が大きく、組織内での注目度が大きくなるため、『1→10』よりも評価を得やすい状況になります。
ただ、それだけ注目されるほどにリソースは投下されるため、受託開発における①②は『0→1』『1→10』というよりは『0→5』『5→10』くらいでフェーズ毎で生み出す価値の総量は同じくらいかもしれません。
ということで、システムの受託開発における『0→1』『1→10』の盛り上がりや営業トップの注目度から見た評価されやすさについて考えてみました。
明日は、それぞれのフェーズの対応の特性から見た注目のされやすさや、対応難易度の違いについて掘り下げてみます。
最後までお読みいただきありがとうございます。