#180 ピンホールマーケティングを実践しない新規事業の失敗談 〜マーケティングとは接近戦〜
こんにちは。ITベンチャーエンジニアのこへいです。
私は社内の相棒と一緒にゲリラ的にサービスを立ち上げ、事業化を目指しています。(いましたの方が適切かもしれません。。)
エンジニア2人で開発したサービスは、ありがたいことに顧客を得ることができ、毎月売上を立てています。
しかし事業としてどのように拡大していけばよいのか光明が見えない状況です。
今回は、このサービスの立ち上げ時のアクションをピンホールマーケティングと比較して考察します。
◯ピンホールマーケティングとは
マーケティングというと、広告によるプロモーションや商品開発のための市場調査を連想する方が多いと思います。
しかし、マーケティングとは、企業活動において商品やサービスが自然と売れるような仕組みを構築することです。
これには市場調査や商品開発をはじめ、営業、宣伝、販売や販促に至るまで、全てのプロセスが含まれます。
ビジネスは良い商品作り、顧客に知ってもらえれば買ってもらえるという程に単純ではないため、顧客だけでなく事業に必要なステイクホルダーとのコミュニケーションを効果的に進め協力的な関係値を作っていくことが、事業の成功には欠かせません。
そして、大手企業のように潤沢なリソースがない私のような弱者は、弱者の戦い方を選択しなければすぐにリソースが尽きてゲームオーバーとなります。
その弱者の戦い方というのが木下斉さんの提唱されている「ピンホールマーケティング」です。
ピンホールとは針の穴という意味で、大手が狙わないような非常に狭いセグメントに絞り込んでマーケティングすることを指します。
何百万人の顧客がいる市場に目を向けるのでなく、100人で十分なので、その100人は事業立ち上げメンバーが営業可能な人でなければ意味がありません。
久松農園の久松さんも新規就農者に対して、「市場調査してどの野菜が売れそうかを考えることに意味はない。それよりも自分の友人・知人に片っ端から連絡して、来年野菜セットを届けるからと今2500円払ってくれる人を100人見つけてこい。」と、野菜が届かなくても君の夢を応援してお金を払ってくれる人が何人いるかで成功が決まると伝えていました。
私は久松農園さんのファンで野菜を購入させていただいています。
商品を作る前の先回り営業はそれほどに重要ということです。
そして、絞りに絞ったセグメントに対して、どれだけ尖った企画にできるか、自分の優位性を発揮できるかが事業の拡大に大きく影響します。
◯ピンホールマーケティングと逆行する戦い方の末路
さて、私が立ち上げたサービスの話です。
ピンホールマーケットのセグメントの絞り込み、先回り営業と逆行する進め方をしていました。
自分達が欲しいものを作ったためにセグメント設定が出来ていなかった
本題とはずれるので詳細は省きますが、私たちが作ったサービスは旅行先で観光地を効率的に回るためのモデルコースを個々人の旅行条件に合わせて自動で組み立てて提案するというものです。
元々旅行好きの私と相棒は毎年二人で旅行に出かけており、その度に旅行の計画の煩雑さを解消したいと話しており、自分達で作ってしまうことにしました。
短い期間で、ひとつの拠点で、交通機関が充実した観光地などに滞在する場合は、旅行の計画にそこまで困ることはないのですが、4~5泊以上で周遊型の旅行をする際には旅程を考えるのがものすごく大変になります。
これを解消したいという思いで、自分たちの空き時間で少しずつサービスの開発を進めました。
二人ともエンジニアのため開発にかかるコストは純粋に時間だけです。自分たちが使いたいサービスを実装するのはとても楽しかったのです。
自分たちが欲しいものを他の人にも使っても って喜んでもらえたら最高だなという思いで開発を進めていました。
自分の知人・友人にもサービスを紹介しましたが、「自分たちが欲しいもの」という気持ちが先行し「いいじゃん!面白そうしゃん!」と言ってもらえるような見せ方をしてしまい、否定的に意見を避けていたためユーザー獲得の動きができていませんでした。
その流れでの中で、営業活動が進まない中、社内のアドバイスもあり、本業のBtoBの受託開発の既存顧客にターゲットに切り替える動きが生まれていきました。
先回りしない営業で顧客は見つけられず
このサービスは元々私の会社内の新規事業化を目指していました。
BtoBの方が社内の顧客リストを当たってい区という既存アセットが使えるので、合理的と考えました。また、数打てば顧客が見つかるだろうと安易に期待していました。
しかし、メールアドレスと電話番号のリストを元に営業を開始しますが、返信をくれたり話を聞いてくれる顧客はほとんどいませんでした。
まぁそれは想定内ですが、話を聞いてもらっても商談が進まないのにはガックリしました。
メールアドレスと電話番号を知っているだけの企業の担当者というのは赤の他人も同然であり、その担当者自身が社内の説得をしてでも解決したい業務上の課題に当てはまらなければ商談が進むはずもありませんでした。。。
◯直接営業と接近戦による顧客獲得
直接営業できる顧客リスト、セグメントの絞り込み、尖った企画がない中で棚ぼたが起きました。
顧客との商談中に私たちが作っているモデルコースのようなものを探しているという話を聞きつけた営業の方が私たちを紹介してくれたのです。
そのチャンスにしがみつき、私たちのサービスを紹介させていただく機会をいただきました。
そこからは接近戦・一騎打ちに持ち込み、サービスのコンセプトや特徴をその顧客のニーズにすり合わせ、提案・プレゼンを繰り返し、プロトタイプを爆速で作ってどんどん話を進めることでサービスを導入いただくことが出来ました。
本当に幸運でした。
弱者の戦略において、マーケティングとは広く浅く認知を作るような事には意味はなく、直接営業しステークホルダーとの協力的な関係を作ることなのだと身に沁みました。
ということで、今回はピンホールマーケティングを実践しなかった私の新規事業の顛末についてシェアさせていただきました。
ピンホールマーケティングは頭で理解したつもりでもまだまだ実践は難しいです。
セグメントの絞り込み、尖った企画、自分の優位性を考えていきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。