#262 生き残るためにどんどん良くなる〜ウルトラマラソンランナーからの学び〜
こんにちは。ITベンチャーエンジニアのこへいです。有料記事ですが全文読めます。
友人がウルトラマラソンに参加にしました。
話を聞いただけでぶっ飛んだ競技内容で、頭がついていけない程に過酷なレースを終えた友人は人間として更に大きくなっていました。
その友人の話で印象深かった「生き残るためにどんどん良くなる」という言葉について振り返ります。
北海道縦断遠足ジャーニーラン TRANS・YEZO
友人が参加したのは北海道を南北に縦断する超長距離のウルトラマラソンイベント、TRANS・YEZO(トランス・エゾ)です。
トランス・エゾは、宗谷岬から襟裳岬までの往復1100kmを14日間で走破するジャーニーランです。toえりも(宗谷岬~襟裳岬までの約545km)コースとtoそうや(襟裳岬~宗谷岬までの約555km)コースをそれぞれ7日間で走破するレースで、友人はtoそうやに参加しました。
その過酷さは並外れています。1日平均80kmを走り続け、天候の変化や地形の難しさに直面します。参加者は全ての荷物を背負って走り、地図を頼りに複雑なルートを辿らなければなりません。スマホの使用は禁止のため、google mapを頼ることは出来ません。
毎日走る中で最も大切なのは、設定された制限時間までにゴールにたどり着くことです。時間内に走ってゴールするのが無理と判断したら、自分で交通機関を使って時間内にゴールしなくてはいけません。北海道ですので、数十kmの間、公共交通機関も自動販売機すらもないゾーンもあります。
スタートは遅くて朝5時、早い日は朝3時。睡眠時間も削られ、満足な食事もとれない過酷な条件の中で何とかゴールまで自力で辿り着かなければいけないサバイバルです。もはや、マラソンとは全く別の競技です。
生き残るためにどんどん良くするしかない
話しを聞けば聞くほど、理解が追い付かない壮絶なトランス・エゾ。
今年のテーマは「どんどん良くなる」だそうです。なんだその子供みたいなテーマは、と突っ込みたくなりますよね。
友人はトランス・エゾを走る中で、このテーマの意味がだんだんと分かってきたと言います。
あまりに過酷なレースで初心者は洗礼として足がパンパンに腫れます。レース後には靴が履けないくらいに腫れ上がってしまったそうです。先輩ランナーの皆さんからは「あぁ、それ始めはみんな腫れるものだから気にしなくていいよ!」と言われ、恐れおののいたそうです 笑
限界を超えた足は、走っていても歩いていても止まっていてもずっと痛い。それでも朝起きたら走ってゴールまでたどり着かなればいけない。初日はまだ元気な状態でしたが、2日目以降は未知の領域。疲労と痛みを抱えながら昨日と同じやり方では、絶対にゴール出来ない。昨日より少しでも良くしないと生き残れない。
その不安と限界ギリギリの状況で、ゴールにたどり着く方法を模索したそうです。
腕と足が糸で繋がっているイメージを作り、腕を大きく振り動かない足を引っ張る、腕で走る走法を試したり。先輩ランナーの走り方を教わり、なるべくコンビニ休憩を少なくするために前日に行動食を多めに用意したり。地図に細かく目標時間を書き入れてペースの目安にしたり。ノウハウを取り入れたり、少しずつ少しずつ改善を積み重ねることで、友人は7日間のうち5日はゴールまでたどり着くことが出来たそうです。
ひたすらに自分と向き合う先にどんどん良くなる
なぜ、何もない所をこんなツライ思いをして走ってるのだろうと、何度も心が折れかけたそうです。
それでも、一緒に走る先輩方、サポートしてくれるボランティアの方、ウルトラマラソンに誘ってくれた友人達の喜ぶ顔を思い、一心にゴールを目指したと。
スマホを見ることもなく、走る以外にやることがないため、ひたすらに自分と向き合う時間です。ただ前に進む方法を考え続ける。
毎日スタートしてから1,2時間は自分の体と対話しながら、どこが痛いか、どう走れば痛みを忘れられるかを探り、今日はどんなペースで走るかを決めるそうです。
そうやって7日間、自分と向き合う中で少しずつ良くなる方法が見えてくる、ということを言っていました。先輩からの教えなどを、試行錯誤しながら実践することで良い状態を探し、自分の走るスタイルを作り上げていったのだと。
向き合うことに没頭した高校サッカー部の合宿
これだけの困難を乗り越えた経験は強いメンタル・タフネスに繋がります。
メンタルタフネスを構築する5つのキーワードは①規律、②反復学習、③失敗経験、④チームワーク、⑤目標意識と言いますが、体育会系出身者は、苦しいトレーニングの中で自分と向き合い困難を乗り越えた経験によってもメンタル・タフネスが鍛えられています。
苦しい状況の中で、生き残ることを考え続けた経験が私にもあります。高校サッカー部の夏合宿です。
超ウルトラマラソンとは比べ物にならないですが、起床後に急勾配の山道7kmのランニング、午前中は走り込み、午後は練習、夜中に筋トレと走り込みが続く日々を経験しました。苦しい中で、ひたすらに自分の体と対話して「まだ大丈夫だ」と限界を探りながら、少しずつ限界を超えていく作業を重ね、合宿を終えた後には自分のプレーレベルが向上していました。
以前に、やり続けることでうまくいくというnoteを書きましたが、「どんどん良くなる」にも共通点があります。
もう無理だと諦めたくなる状況でも、逃げずに自分と向き合うことに没頭する時間を積み上げることで、困難の解像度が上がり、分解され、改善点が見え、少しずつでも改善を重ねることで、だんだん良くなり、困難を乗り越えることが出来る。自分と向き合う時間の積み重ねの先にある「ゾーンに入る」という状態とも似ていますね。
ということで、トランス・エゾを走破した友人の話から、「だんだん良くなる」というコンセプトについて考えました。
私はウルトラマラソンへの参加は考えていませんが、自分と向き合う時間の大切さを感じ、毎朝のランニングを始めました。
みなさんもぜひ、自分と向き合う時間を作られてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ちなみに、友人がトランス・エゾについて1時間半の講演した動画がありますので、ご興味のある方は探してみて下さい。
友人が恥ずかしがり屋のため、リンクは有料ゾーンに置かせていただきます。ご購入いただけましたら、友人への差し入れに使わせていただきます。
よろしくお願いします。
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