全ての感想は4つに分類できる!?
国語のあるあるとして、
「新しい物語読んだら、いきなり感想書かされる」
というのがあります。
国語にとどまらず、
学校は子どもたちにとって感想文地獄です。
「中学生になって」という、入学式後の決意を含めた感想。「校外学習を終えて」という、課外授業の感想。「体育大会を終えて」「講演を聞いて」「合唱コンクールを終えて」…「道徳の授業を終えて」というのもありますね。
振り返り、残すことで、学びを形にする、
という意味を持っているので、
しっかり取り組めば価値ある活動ですが、
時間割によっては、
今日一日中感想書いてる…、
と疲れてしまうこともありますね。
かくいう私も初発の感想は書いてもらいます。
ただし「感想を書きなさい」とはしません。
「感想を4つに分類して書きましょう」としています。
作品を読んだ後の感想は、
A「気に入ったところ」
B「気に入らないところ」
C「不思議なこと」
D「気づいたこと」
の4つに分類されます。
後の授業でこれが活きてきます。
A「気に入ったところ」
登場人物の言動、話の導入・展開・結末、
筆者の文体、題名などについて、
自分が気に入ったところと、
その理由を書くのは、
「気に入ったところ」に分類されます。
B「気に入らないところ」
登場人物の言動、話の導入・展開・結末、
筆者の文体、題名などについて、
自分が気に入らないところと、
その理由を書くのは、
「気に入ったところ」に分類されます。
C「不思議なこと」
未知の単語・熟語、理解できない登場人物の言動、
理解できない結末などについて、
自分が不思議に思ったことを書くのは、
「不思議なこと」に分類されます。
理解できない不快さから、
B「気に入らないところ」として、
書かれることもよくあります。
D「気づいたこと」
C「不思議なこと」から一歩進んで、
こうかもしれないと、
自分なりの答えを書くのは、
「気づいたこと」に分類されます。
この整理をして、感想を書くと、
作品に対する自分の評価(AB)
作品に対する自分の理解(CD)
が、自分の中でも明確になります。
これを主軸に授業を展開するのが、
クリティカル・リーディングという手法です。
クリティカル(批判的に)
リーディング(読むこと)
ということで、
主にB「気に入らないところ」を活かして授業をし、
一般的な、
教科書の作品は素晴らしいという押し付けを避け、
生徒の自発的な活動を促すことができる、
他者との感性の違いを受け止めつつ議論をする練習をすることができる、
などの利点があります。
クリティカル・リーディングをするときには、
一旦全員の感想文を集めて、
議題を明確にしておくなどの下拵えが要るのですが、
それをメインにしない場合でも、
この感想の書き方は有効です。
ポイントは、
B「気に入らないところ」と、
C「不思議なこと」です。
作者は、
読者が喜んでくれるものを書けばいいのに、
わかっていながら「気に入らないところ」を書いている。
読者がわかりやすいように書けばいいのに、
わかっていながら「不思議なこと」を書いている。
という視点を教師が持ちながら、
生徒たちに話し合わせるのです。
すると、
その言動、場面、展開の意図が見えてきます。
教師から一方的に教えられるより、
話し合いの中で気づくことで、
自分の意見が重要であることが実感できます。
国語的な学びの深まりという観点だけではなく、
4つの分類は、感想を書くときにも生きてきます。
出来事に対して自分の
A「気に入ったところ」B「気に入らないところ」
C「不思議なこと」D「気づいたこと」
が何なのかを意識することで、
話の組み立てを変え、
伝えたいことが伝わる感想になるのです。
例えば、体育大会の感想で、
A「体育大会をみんなとできて良かった」
B「優勝できなくて悔しかった」
C「なんでこんなにアツくなれたのだろう」
というところまで、頭の中にある時に、
B→C→Aとすれば、
D「みんなと頑張ってきて負けたくないと思えたからだ」
という気づきをかけるかもしれません。
あるいは、
A→Bと並べたときに、
C「優勝したクラスと自分たちは何が違ったのか」
という疑問が浮かぶかもしれません。
そこで、
D「来年は今年の反省を生かして頑張る」
という、気づき、積み重ねが出てくるかもしれません。
分類することで、組み合わせから、
新たな気づき、感想が生まれるというわけです。
色々な活用ができる、
感想の分類を役立てていただければ幸いです。
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