安定思考の理系院生がスーパードライ生ジョッキ缶を生み出し、転身してソーシャル・イントラプレナーになるまで(その⑤)
こんにちは。古原徹です。
だいぶ期間が空いてしまいました。年末年始に書き溜めようとしたのてすが、心も体も休める正月休暇になりました。
また週一回程度は更新できるように頑張ります。
今回からアサヒビール時代に実施した、森のタンブラーのテスト展開について書いていきます。
森のタンブラーのテスト展開
隅田川ブルーイングでのテスト販売の目的
イノベーション本部での提案会にて
『すぐにやれ』の言葉をいただけたので、さっそくスモールスケールでのテスト販売を行うことにしました。
テストリサーチで検証したいことはコンセプトの受容性なので、
プロダクトを必要以上に作り込まない、というのが原則です。
自分たちだけでこだわり過ぎず、まずはMVPで出してみる。
基本的に僕のスタンスはこれです。
MVP
Minimum Viable Product
検証したいことに必要な最低限の製品
テスト販売は、アサヒグループの直営飲食店だった
隅田川ブルーイングの1Fで、花見客に向けてのテイクアウト販売を行いました。
ビールとセットで販売し、
使い捨てカップではなく
『持ち帰ることができるリユースカップ』について、
受容性があるのか
お金を出してもらえるのか
を検証しました。
また、もう一つの目的として、
ネーミングの参考にする、という目的もありました。
研究所が主導で実店舗でのテスト販売を行うことは縦割り的には結構な越境行為なので、社内への共有会も行いました。
当時は、SDGsとかサステナビリティとか言っても
「なんじゃそりゃ」という感じだったので、
シンプルに、ゴミ削減のためのエコカップで、価格転嫁してお持ち帰りいただきます、と伝えたのですが、
反応は賛否両論(感覚的には賛が2割くらいでしたが)
「100円くらいだったら売れるかも」
「じゃまになるから持ち帰る人なんていない」
みたいなコメントをもらいました。
これ、全然ネガティブにとらえていないです。
満場一致で賛成されるアイデアはイノベーションではないので。
遠慮無しで色々言ってもらえたのは良かったです。
テスト販売の結果
2019年の3月、桜の花が咲いた頃。
パナソニックの本社と研究所の社員にも来てもらい、自分たちでビールの売り子をやりました。
飲食店の店頭にビールサーバーを置いて、タンブラーにビールを注いでセット販売しました。
お客さんの反応は上々で、ほぼ全ての人が喜んで持ち帰ってくれました。
また、この時のアンケート結果を経て、ネーミングについては大きく方針転換しました。
森のタンブラーの物的特徴として、
・植物繊維由来の凹凸で泡立ちが良い
・セルロースが熱分解されたカラメル香(ほのかに甘い香り)
があるのですが、当時はこの物的特徴を押し出したネーミングにしようとしていました。
例)香るカップ、うま泡カップ、など
ただお客さんの反応を見ていると、物的特徴ではなく、
ぱっと見で伝わるエコ感や、木質素材特有の温かみが評価されていました。
その結果、情緒的なコンセプトを体現した
森のタンブラー
という名称に決めました。
単純な名前ですが、今ではアサヒユウアスの象徴となるブランドです。
森タン、という可愛い略称も決め手でした。
このテスト販売が
「自分で開発したものを自分で販売して売上をたてる」
という初めての体験となりました。
大企業でこの経験をしている人はごくまれです。
お金をいただくことで生じる責任感や面白さみたいなものは、体験しないとわからないので、
新規事業に興味がある方は何でもいいから売上立ててみる、みたいな経験をしてみてもいいかもしれません。
とはいえ、何からやっていいものか‥
と悩んでいるのであれば、お気軽にお声がけください。
初回アドバイスは無料です。笑
今回はここまでとして、
次回は、つくばクラフトビアフェスト2019で実施した、
森のタンブラーを活用したプラごみ削減のテスト展開について紹介します。