物価が上がる!なんで!?私たちの生活が!みたいな話について
最近、物価の上昇を嘆く声をよく耳にします。毎日の買い物や食事の出費が増えていると、誰しも不安を感じるものです。私もコンビニに行くたび、アイスの金額をみて購入を迷うようになってきました。
しかし、「物価はそのままで、賃金だけを上げてほしい」という希望は、現実的には難しいことを知っておく必要があります。中学校の時に学んだ「インフレ(インフレーション)」という概念を覚えていますでしょうか。
まず、インフレとは物価が全般的に上昇する現象です。物価が上がることで、実質的なお金の価値が下がるため、一定のインフレは経済の成長に欠かせないものです。もし物価が全く上がらなければ、経済が停滞し、企業の利益が減少し、その結果賃金の上昇も見込めなくなります。賃金が上がるためには、企業が儲かり、物価が上昇する必要があるのです。
例えば、街角のパン屋さんを例に考えてみましょう。
小麦粉やバターなどの材料費が上がったときに、パンの価格を据え置いたまま賃金を上げることができるでしょうか? 材料費が上がっても商品価格が変わらない場合、企業はコストの上昇分をカバーできず、従業員の賃金を上げる余裕がなくなります。結果として、経営の苦境に陥り、雇用が守れないかもしれません。
当然賃金が上がることは基本的に、少なくとも私たちのような消費者にとっては良いことです。
賃金が上がると、人々の消費意欲が高まり、需要が増加します。例えば、賃金アップで家計に余裕が生まれ、外食や買い物を楽しむ機会が増えたとします。そうすると、外食産業や小売業の需要が高まり、商品やサービスの価格が上昇するのです。これは「需要と供給」の原則に基づく自然な現象です。
逆に、物価を上げずに賃金を上げようとするなら、企業は収益を上げられなくなり、雇用削減や事業縮小といった負のスパイラルに陥るリスクが高まります。
「物価が上がる」というと、ネガティブな印象を持つ方も多いかもしれません。しかし、インフレは必ずしも悪いものではありません。経済が成長している証拠でもあり、適度なインフレは私たちの生活水準を向上させる力でもあります。
実際、私たちはインフレと共存してきた歴史があります。例えば、戦後の高度経済成長期には、物価が上がり続けましたが、それに伴い賃金も上昇し、人々の生活は豊かになりました。インフレを悪者にするのではなく、その恩恵を理解し、上手に付き合うことが重要です。
日本は長年物価向上を抑えようとする傾向にありました。
値段を上げるときには「本当にこれ以上無理です」という形で報告したり、サイレント値上げと言うことを行ったりしてきました。
ただ、そろそろ限界が来ています。
日本だけ物価上昇を抑えても、経済は世界規模で回っています。
また、先に上げた通り、物価上昇と賃金上昇は切っても切れない関係にあります。
正社員の給料にはまだ跳ねているイメージはありませんが、最低賃金で見ると、この20年で随分上がりました。
2004年は710円だった最低賃金も2024年は1,163円です。1.5倍程度には挙がっているので、100円の缶コーヒーが150円になるのも基本的には自然なことかと思います。
物価上昇を単に嘆くだけでなく、インフレの本質を理解し、その中でどのように立ち回るかを考えることが、これからの生活の質を高める鍵となります。
賃金が上がるためには、物価も同時に上がるという経済の仕組みを踏まえ、SNSで騒ぐだけではなく、自分の生活をより良くするための行動を起こしたほうが幸せになれるかと思います。