「真剣10代しゃべり場 リターンズ!!」のまひろさんの涙
Eテレで「真剣10代しゃべり場」が復活した。
前回は2000〜2006年の放送。放送開始当初は毎週のように見ていた。
私は1980年生まれなので、20〜26歳のころだ。
固定メンバーで数か月話し合うので、自分と意見が似ている推しメンを見つけるのも面白さ。
「リターンズ!!」になって2回目のテーマは「もっと本音をぶつけ合おうよ」。
18歳の高校生まひろさんが提案。
元生徒会長だった彼女は「会議で意見を言わないくせに、決まってから後で文句を言う人たち」にイライラ。
「最初から本音をぶつけ合おう」と呼びかける。
最初はそのテーマに沿って話し合っていたが、後半は「もっと政治に関心に持とうよ」というテーマに変わっていった。
まひろさんはこちらをもっと訴えたかったのだろう。
残念ながらゲスト(野性爆弾くっきー!)ふくめ政治に関心のある人が彼女以外ほぼ0だったので(味方になる子はいたが、政治に関心があったかは覚束ない)、彼女の訴えに共感する子はいなかった。
収録の終わりにスタッフが「もう時間だけどまだ話したいことある?」と彼女に聞くと、まひろさんは力のない笑顔で「もう話しました」と答えた。
その後、誰もいなくなったスタジオで涙を拭っているまひろさんがいた。
その後ろ姿は高潔だった。
今まで関わった生徒会などで、「話しても意味がない」という状況を散々味わってきたはずの彼女。
にもかかわらず今回番組に出演して、みんなに熱く語りかけた。
虚しさに襲われながらも決して感情的になることなく、理性的な弁舌を続けた彼女。
若くして起業した男が「まひろちゃんが言ったことは決して無じゃない」と言っていたが、そんなことは彼女が一番わかっているだろうし、言葉を尽くして諦めずに説得を続けようとするその生き方こそが、彼女が訴えかける他人を大事にしあう社会のあり方だっただろう。
「(オリンピックの贈賄事件が)まひろちゃんに何の関係があるの?」って言ったのは「自分の趣味を一番にして、政治とかは皆が決めたことの三歩後ろをついていく」という信条の女の子。
最近こういう人(特に若者)が多いのだと思う。
選挙には行かない。そのかわり、政治に文句も言わない。政治デタッチメントのスタンス。
まひろさんが「無責任」と言っていたが、そう言いたくなる気持ちもわかる。
よく「自分の一票で何かが変わるわけじゃない」と言って選挙に行かない人がいるが、お前の一票で国が動いたら大変だよと私は思っている。
安倍さんも麻生さんも一般の市民も持ってるのは同じ一票だから民主主義の選挙は意義がある。
目に見える成果が得られないなら最初から行動したくないっていうのは現代の病ではないか?
「周りに本音を言いたくない」派の人たちにはそう思うようになった傷つき体験があったのだが、傷つく体験があると即コミュニケーションが内向きになるのもどうなんだろう。
無論よっぽどトラウマになるような出来事ならともかく、そういうふうには感じなかったが…。
「政治に興味ないけど、よくドライブするので走行税の議論が気になってる」という男子の発言は、自分に関係することでないと興味をもてないということの表れでもある。
おそらく正義感の強いまひろさんは宗教2世やLGBTQやホームレスや沖縄県民やいろんな生きづらさを抱えている人に共感できる感性を持っているだろう。
「(オリンピックの贈賄事件が)まひろちゃんに何の関係があるの?」と言った子にはそういう感性がない。
ごく親しい友達の悩みは聞いてあげるかもしれないが、世の中の人たちには興味がないのだ。
政治に関心がないというのは他人に関心がないことだと私は思っている。
新聞やテレビを見れば、犯罪や事故で突然家族を失った人が毎日のように出てくる。
裾野市の保育園で保育士3人が園児を虐待していた事件も非常に胸が痛む。
まひろさんはそういう一つ一つのニュースに共感して、怒ったり涙を流したりできる人なんだと思う。
だから最後にまひろさんが流した涙を見て思った。
この涙はニュースで日々取り上げられる大きな理不尽によって傷つけられた人たちの涙でもあっただろうと。
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