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「雪」に不満あり 新国立劇場の「ラ・ボエーム」

新国立劇場オペラパレスで「ラ・ボエーム」を観た。

【ミミ】アレッサンドラ・マリアネッリ
【ロドルフォ】スティーヴン・コステロ
【マルチェッロ】須藤慎吾
【ムゼッタ】ヴァレンティーナ・マストランジェロ
【ショナール】駒田敏章
【コッリーネ】フランチェスコ・レオーネ
【べノア】鹿野由之
【アルチンドロ】晴雅彦
【パルピニョール】寺田宗永
【合唱指揮】三澤洋史
【合 唱】新国立劇場合唱団
【児童合唱】TOKYO FM少年合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【指揮】大野和士
【演出】粟國淳
【美術】パスクアーレ・グロッシ
【衣裳】アレッサンドロ・チャンマルーギ
【照明】笠原俊幸
【舞台監督】髙橋尚史

まず、最初に断っておきます。

初めてのプッチーニ😅

クラオタ生活四半世紀で😅

今年ゼッフィレッリの「アイーダ」を観て、オペラブームが再到来。
今まで観ずにいた主要演目を続けざまに初視聴している。

CDですら聴いたことのなかった「リゴレット」と「サロメ」を先日初鑑賞。

ミミのアレッサンドラ・マリアネッリはここ最近の新国立劇場の歌手では抜群によかった。

といっても第3幕までで、第4幕は瀕死のわりに声量あるし、演技より歌を取ったのかな?(この辺は演出の問題か)と思った。

「のど自慢」的な歌い方をせず、音楽に自然に溶け込んだ歌唱だった。

近くに「ブラヴィーさん」(ブラヴォー、ブラヴァー、ブラヴィーを器用に使い分ける美声の御仁)がいたのだが、上演中、ロドルフォにはブラヴォーなのにミミにはブラヴァーしない(他の客からも拍手だけ)。

「聴かせてやろう」という野心的な歌い方でないのが聴衆には地味に感じられたのかもしれないが、演劇ファンでもある私はこういう歌唱の方が好きなのだ。

ブラヴィーさん、終演後はミミとムゼッタともう一人(コッリーネだったか)にだけブラヴォーを飛ばしていた(ロドルフォや大野和士や粟國淳はスルー😅)。

気持ちはわからなくもない。
大野和士の指揮は理知的に整理されすぎており、むせかえるような色彩感や官能には乏しかった。
フランスのオペラ座の指揮者が振ったらもっとヴィヴィッドな音楽表現になるのかなと思った。
なんか日本人シェフが日本人の舌に合うように作ったフランス料理みたいな感じ。

舞台セットはまあまあいい感じだが(第2幕は「レ・ミゼラブル」で出てきそうな街並み。石畳みはカーペット感あったが……)、一番の不満は雪!

第3幕と第4幕(ミミが亡くなったあと)で降ってくるが、どう見ても雪に見えない!😭

よく言って蛍の群れ。

なんでああなった?😅

ライトが点滅してるだけに見えてしまう。

全然風情がないから、むしろない方がいい。

蜷川幸雄は大量の紙吹雪を扇風機を使って客席中にばら撒いたことがあったと思う。
そこまでしなくていいが、もうちょっとましな演出ない?😅

あと、ミミが亡くなったと同時に雪が降るのはオリジナル台本の設定?

危篤の恋人に会いに自転車で飛ばす男子高校生が急に土砂降りに襲われる映画を思い出したが……🤔

自然現象を人間の都合で使ったら安っぽい世界観になるだけですね😓

「リゴレット」は最後に出てくる公爵のアリアしか知らなかったが、「ラ・ボエーム」は聴いたことのあるアリアがいくつかあった。

歌のうまい女性が「私の名はミミ」の最後の部分、

Altro di me non le saprei narrare.
Sono la sua vicina
cha la vien fuori d'ora a importunare.

を余興で歌ったらウケるかも😅

メインキャストらの歌唱や演技もいいのだが、第2幕の合唱シーンが一番よかったかもしれない。

私はオペラの児童合唱に弱い。宮本亞門の「魔笛」でも童子役の少年合唱に泣かされたし、「大人に混じって芸術制作をしているプロ子供」という「プロフェッショナル仕事の流儀」的な視点で見て、リハーサルなどを想像しては勝手に感動しているのである😭

「ラ・ボエーム」のあらすじはWikipediaで予習したが、街中のシーンが出てくるのは予想外だったので驚いた(店内のシーンかと思っていた)。

集団の力というのは「アイーダ」で散々実感させられたが、「ラ・ボエーム」においても一人一人がいきいきと描かれており、団子的なマスの演技ではなかった。

数に圧倒されて細かいところまで味わえなかったので、第2幕だけ観直したいくらいだ。

合唱の精度も素晴らしく、このへんは長年新国立劇場に貢献している三澤洋史の手腕だろう。

「ラ・ボエーム」も「サロメ」同様、セリフのシーンでずっと音楽が流れているが、セリフにぴったり寄り添うような音楽で、プッチーニの魅力の一端を知った思いがした(「サロメ」は不協和音の連続に感じた😓)。

対照的な2つのカップルが出てくるところは映画「恋人たちの予感」を思い出す。

いろんな恋人のかたちが見せることで、恋や愛の描写が複層的になる。

ロドルフォとムゼッタは合わないだろうし、ミミとマルチェッロも合わないだろう。

恋も愛もお互い「その人でなければ!」ってものですからね🤔←ご無沙汰すぎていろいろ忘れつつある人……

私の感想としては歌手陣はA+(合唱シーンはS)、演出と指揮はB+って感じですかね。

ムゼッタ役のヴァレンティーナ・マストランジェロもよかったが、主演のアレッサンドラ・マリアネッリはぜひまた聴いてみたい。

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