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なぜリリースした?と思わせるオラフソンのゴルトベルク変奏曲
「鬼才」として名を馳せる、ヴィギングル・オラフソンのゴルトベルク変奏曲を聴いた。
今冬に来日が予定されており、日本でもこの曲を披露することになっている。
以前から一度生で聴きたいと思っていた。しかしサブスク先行配信のアリアのみ聴いて「?」という違和感を持ち、全曲配信になっていたので今朝すべて聴き通して思ったのは、
リサイタル行かなくていいかも……😅
だった。
ある箇所の決定的なセンスのない弾き方を聴いて、生で聴きたいとあまり思えなくなってしまったのだ😢
その箇所というのは、両端のアリアの最後の部分。
ソレソファ#ソが原曲のはずだが、ソレソソと一音抜いているのだ(音程が間違ってたら恥ずかしい😂)
妙に安っぽい音楽になってしまっている。
以前、ジャズピアニストの小曽根真が桂小米朝(いまの米團治)のインタビューに答えて、「モーツァルトは音符がシンプルだから変にいじれない。ジャズっぽくすることはできるんです。(弾いてみる)。元の方がいいでしょ?」(言意)と言っていた。
オラフソンの音符の処理を聴いて思い出したのは、そのとき小曽根さんがわざと安っぽく弾いたアレンジだった。
ここだけでセンスを疑ってしまう。チャップリンの「街の灯」の、戸田奈津子の「あなたのおかげですわ」級の白け具合だ。
全曲通して目新しい発見はなく、「鬼才」とはとても呼べない演奏。
「鬼才が真正面から向き合った演奏!」ということなのかもしれないが、昔のナイーブな音色だったころのシフを数段ダメにした感じというか。
私が聴いてて思ったのは、
なぜこのタイミングでこれをリリースしたのか?
だった。
満を持して、とはとても思えない。
新機軸はどこにあるのだろう?
しばらく前に聴いたゴルトベルクが菊池洋子とジャン・ロンドー。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/119802377/picture_pc_4fb037e9214e302780b8c15d1074a909.png?width=1200)
菊池洋子はまさに「満を持して」取り組んだようだ。
もともとシフの生演奏を聴いてこの曲の虜になったそうで、コロナ禍にじっくり曲と向き合い、チェンバロ奏者の曽根麻矢子にレッスンしてもらったりもしたようだ。
演奏はエモーションとパッションが溢れるような推進力で、曲に対する思いがこちらにぶつかってくるようだった。
真ん中あたりの1つの変奏で、疲労のせいかミスタッチが目立ち、何でここだけ?と思ったが、全曲通して水準の高い演奏だったと思う。
ジャン・ロンドーは21歳の若さでブルージュ国際古楽コンクールで優勝した天才チェンバリスト。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/119803052/picture_pc_5b12873fe47d85a8ea8080cdb4e3421f.png?width=1200)
オラフソンと聴き比べてほしい。才能の差が歴然としている。
ロンドーのゴルトベルクはCD2枚組。108分の長さである。
マーラーの交響曲第3番の長さだね😅
これを聴いたとき、泉のように湧きでるイマジネーションにノックアウトされた。
才能とはこういうものかと見せつけられた気がした。
といっても、自分の才を誇示する演奏ではない。
天才バッハと天才ロンドーの共演。
やはり天才だったグールド以来のスリリングさだ。
オラフソンとロンドーをぜひ聴き比べてほしい。私はロンドーに軍配を上げる。
このブログでは言葉を尽くして私の鑑賞眼?を提示しているが、今回はサンプルがあるから簡単だ。「オラフソンよりロンドー」。
オラフソンの方が好みという人とはたぶん感動のツボが違うので、私のコンサート記事を読まれてもおそらく感想が異なってるのではないだろうか。
ロンドーのゴルトベルクは今週末生で聴く予定。
いまから楽しみで仕方ない😁
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