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英語が苦手だった僕が、TOEICのパンフレットをつくった話

訪日外国人数が過去最多を記録しそうな2024年。街中でも、飲食店でも、英語が聞こえてくるシーンが増えたように感じます。

そんな中、弊社が制作した『TOEIC®︎ Magazine for Students』が、今年の春から全国の大学で配布されています。ご存じ、あの英語テスト「TOEIC」の大学生向けパンフレット。併せてムービーと特設サイトも手掛けたので、今回はそのお話をしたいと思います。

全国の大学で配布中の『TOEIC®︎ Magazine for Students』。
WEB版は大学に行かなくても見られるので、皆さんぜひご覧ください。
https://www.iibc-global.org/toeic/special/campus.html

制作は英語堪能な編集者・翻訳者を含むクリエイティブチームで行い、さらにTOEICさんによる丁寧なチェックも入っているため、パンフレットの英語品質に関してはもちろんご安心いただきたいのですが…

■英語と無縁の36歳。HELLO, NEW FUTURE.

僕自身はというと、学生時代に授業の一環で受けたTOEICのスコアは決して高くなく、おそらく200点台だったように記憶しています。「自分は英語が苦手。英語とは無縁の人生を送っていく」と覚悟を決めていました。実際にそれから15年以上、「日本語」という国内に閉じたスキルを武器に、ライター・編集の仕事をしてきたわけです。

そんな中で、ある日突然、弊社の公式ホームページ経由でTOEICさんから「パンフレットを制作したいのでコンペに参加できませんか」とのご連絡をいただきました。(正確にはTOEIC®︎ Testsを運営する一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会さん。)

■「英語が苦手な僕だから、つくれるものがあるかもしれない。」

「英語で打ち合わせしなきゃいけなかったらどうしよう…」などと身構えながら、恐る恐るTOEICさんのオフィスにうかがうことに。そんな僕に、担当チームの方々はこのような話をしてくださりました。

「TOEICは学校で受けさせられたり、企業が採用基準に設定していたりもするため、“カタい”という印象があると思うんです。採点して数字で評価するシステムなので、“ドライ”、“無機質”な印象もあるのかもしれません」

心の中で共感する僕。しかし。

「でも私たちの根本にあるのは、英語学習のサポートを通して皆さんに夢に近づいてほしい、未来の可能性を広げたい…そういう“応援”の気持ちなんです。英語が得意な方はもちろんですが、苦手意識がある方にも、ぜひTOEICを受けていただきたい。現在地を知ることで、未来に向けて良い一歩を踏み出してもらえたら嬉しいんです」

今回のパンフレットでは、その想いを伝えると共に、学生さんたちに英語学習の魅力を改めて感じてほしいとのことでした。このオリエンを聞いて、僕は「自分のように英語への苦手意識がある人間だからこそ、同じような気持ちの学生の心にも届くようなパンフレットができるかもしれない」と感じ、コンペに参加することを決めました。

■こだわり満載のパンフレットができました!

結果として今回、コンペを経て無事受注することができました。英語が苦手な僕が代表を務めるチームだからこそ、多くの大学生に寄り添い、TOEICさんの目的を果たす制作物ができたと感じるので、ここでそのこだわりポイントをご紹介したいと思います。

【こだわり①】現役大学生のリアルな声を重視

完成したパンフレットの表紙。
学生メンバーの意見を多数取り入れ、これまでのTOEICのイメージを変える印象的なデザインに。

最近の弊社の強みの1つは、「Z世代」と呼ばれる(この言葉も少し古くなりつつありますが)大学生や新社会人のメンバーが、パートナーとして多数在籍していること。メディア、文章、デザイン、動画、ファッション、カルチャーなどなど編集業務を行う上でのキーワードになる領域に対し、常に高いレベルでアンテナを張ってトレンドを収集している若手メンバーが、弊社の制作物を新時代にフィットする姿に導いてくれます。

今回も、企画・デザイン・キャスティング・記事に至るまで、ターゲットである(英語が苦手な人も含めた)現役大学生の意見を各所に散りばめながら、パンフレットを制作しました。

もちろん、フレッシュな意見や感性を取り入れるための土台となるクリエイション品質は、経験豊富な編集者がディレクションすることで保証。今回でいえば、人気メディア『新R25』副編集長・天野俊吉さんにディレクションしていただきました。

オフィシャルな情報も、楽しく頭に入ってくる形に編集。

【こだわり②】ブランドの想いを言語化

背景のグラデーションは、英語がさまざまなボーダーを溶かし、未来の選択肢を増やすことを表現しています。

こちらは、実際に配布されているパンフレットを開いた1ページ目。ブランドからのメッセージが言葉で丁寧に記載されています。

「TOEIC®︎ Testsは、なりたい未来に効く。」というコピーは以前からTOEICさんが掲げられていたものですが、続くボディコピーを制作し、背景にある想いを丁寧に言語化しました。(プレゼンの段階で、実際に掲載されたボディーコピーの8〜9割が完成した状態で提案しており、クライアントチームから「こういうことがずっと言いたかった」とおっしゃっていただけました。)

生活者は、商品だけでなく企業やブランドの姿勢を見て、共感し、ファンになることで消費行動をとる時代。大学生たちからも「ブランドの素敵な想いがあるならぜひ教えてほしい」という声が多数でした。

【こだわり③】意外性のあるキャスティング

巻頭インタビューが、ラッパーのSkaaiさん。

巻頭特集で人物インタビューを行うことは、クライアントからのご要望で決まっていました。「英語」に関する経験をお持ちの方であることはもちろんですが、多くの学生たちの興味をグッと引くような、意外性のあるキャスティングを実現させたいと思いました。僕の中には「英語に苦手意識がある大学生でも手に取るようなものを」という使命感がありましたから。

モデルさん、芸人さんなど様々な候補を探している中で、学生メンバーのひとりから、ラッパー・Skaaiさんの名前が挙がりました。正直、僕はそのとき初めてSkaaiさんを知ったのですが、調べるとABEMA TVの人気ラップ番組で多くの視聴者を感動させた、英語と日本語の両方を使ったリリックが持ち味のラッパーさん。(ネット番組やYouTubeの人気者を追うのはアラフォーにはなかなか難しく、キャスティングでもいつも若い方々に助けてもらっています。)

こうして「TOEICのパンフレットの巻頭にラッパーが出演」というインパクトのあるキャスティングが実現しました。(Skaaiさんご本人も「声が掛かって仲間たちと一緒に驚いた」とおっしゃっていました。)

他にも、さまざまな夢を持つ現役大学生を集め、「英語でしたいこと」を聞くコーナーも。これも学生メンバーの人脈なくしては実現しなかったページです。

【こだわり④】インタビュー記事で日英併記を採用

グローバルクリエイティブエージェンシー「monopo」CEOの佐々木芳幸さんにもご出演いただき、英語を学ぶことで手に入れた楽しい人生について語っていただきました。

これは弊社にとっても新しい取り組みだったのですが、一部のコンテンツで、日本語だけでなく、英語への翻訳文も掲載する形を取り入れました。TOEICのパンフレットを手に取ってもらった大学生(普段は英語への興味が強いわけではないかもしれない)が、自然と英文に触れる機会をつくれたら、と考えたのです。また、キャンパス内にいる留学生とパンフレット内のコンテンツを一緒に楽しむことができるようにすれば、グローバルなコミュニケーションのきっかけにもなるかもしれない、という狙いもあります。

【こだわり⑤】ムービー・特設サイトもセットで制作

弊社の強みは、「紙×デジタル」を掛け合わせる形で、オフラインとオンラインが連動する全体設計をできる部分にもあります。今回も、当初はパンフレットの依頼でしたが、最終的にはムービー・特設サイトまでトータルで制作させていただきました。

ムービーはTOEICさんのYouTubeアカウントで歴代2位の再生回数(現在70万回以上)となっています。

WEBサイトも力作。パンフレットとはまた異なる、デジタルで映えるデザインとなっています。

■後日談も。My future will never end.

こんな形で、TOEICの皆さま、制作チームの皆さまに多大なご協力をいただきながらパンフレットは完成し、無事全国の大学で配布されています。

自分の目標を書き込み、未来に向けた計画を立てられるページ。僕もこれをやっていれば…

僕と同じように英語への苦手意識を持っている学生、僕と違って英語力向上に取り組んでいる学生、誰が読んでも「英語を勉強するって、ワクワクすることだな」と思えるパンフレットになっているので、ぜひ多くの方に届くと嬉しいです。

以上、学生時代にTOEIC200点台だった僕が、15年の時を経てTOEICのパンフレットをつくった結果、これまでの集大成となる制作物が完成した話でした…

と終わりたいのですが、後日談が

今回のTOEICのパンフレット制作を通して、僕の中でも「英語をできるようになりたいな」「会社としても世界に出ていきたいな」という想いが強くなっていきました。すると不思議なことに、その気配を察したのか、英語が得意な仲間が急速で集まってきました。

■弊社にグローバルチームが誕生!

結果…この夏には弊社からグローバルチームが立ち上がりました。

外国語大学に在籍中のエディター、TOEIC900点クラスの大学生たち、ドイツやデンマークへの留学経験者、中国からの留学生インフルエンサー…などなど、個性豊かで優秀なメンバーが集まっています。

街を歩くと、ユニクロの『LIFEWEAR MAGAZINE』や、BLUE BOTTLE COFFEEの『Small Talk』など、日英併記の素敵なパンフレットやタブロイドを発見することもありますが、まだまだレア。これだけ訪日外国人が増えている日本であれば、紙媒体にせよ、WEBやSNSでの発信にせよ、もっと多くの企業コミュニケーションがバイリンガルになっていいのにな…と思っています。

すでにいくつかお仕事のご依頼もいただいていますが、今後、バイリンガルコンテンツの制作を増やしていくぞ!と意気込んでいるので、僕たちと同じように世界に目を向けた企業・ブランドの方々からのご連絡をお待ちしております!(お問い合わせは公式サイトからお気軽に。

以上、学生時代にTOEIC200点台だった僕が、15年の時を経てTOEICのパンフレットをつくった結果、これまでの集大成となる制作物が完成し、グローバルチームまで結成できた話でした!

★TOEIC®︎ Magazine for Students制作チーム★
Creative Direction:黄孟志(かくしごと代表)
Editing & Writing:天野俊吉(ビジネスメディア『新R25』副編集長)
Generation Z:守屋あゆ佳(ティーンメディア『Steenz』エディター)/中村結(学生雑誌『RunMagazine』編集長)
Translation:王馨怡
Illustration:nanamy
Photo:藤村全輝/三浦えり
Movie:Unknownknowns
Editorial Design:木村ちひろ
Web Design:Standby

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