見出し画像

適度な距離感、ちょうどよさ

地球は、太陽との距離が絶妙だ。

ハビタブルゾーンと言われる領域に位置しており、水が液体として存在できる温度で保たれている。
水が液体で存在できることは、生命の存続にとって不可欠な条件であり、地球がこのゾーンにあることで我々の生命は維持されている。

太陽系の他の惑星に目を向けてみる。

まず、太陽に近い側のお隣の惑星は金星。
地球から太陽の距離を1とした場合、金星から太陽の距離はおよそ0.7。
直径は地球の0.95倍、重さは地球の0.82倍と、大きさ・重さともに地球によく似ている。
が、太陽からの距離が近すぎるため、表面温度は460度にのぼり、液体の水は存在できない。

反対側のお隣、つまり太陽から遠い方の惑星は火星。
地球から太陽の距離を1とした場合、火星から太陽の距離はおよそ1.5。
直径は地球の0.53倍、重さは地球の約0.1倍と、地球よりもはるかに小柄な星だ。
こちらは太陽からの距離が遠すぎて、寒冷な気候に支配されている。
火星の平均気温はマイナス63度で、長い歴史の中で液体の水が存在した痕跡があると言われているものの、現在は液体の水は確認されていない。

地球の生命は水の存在を前提としているため、我々にとって「ちょうどいい」環境であることは当たり前の話ではある。
しかし、改めてお隣の惑星の環境を見てみると、いかに地球が恵まれた環境にあるかがよくわかる。
まさに奇跡の星だ。太陽と適度な距離にあることで、生命にとって住みやすい環境が整えられている。

こんなスケールの大きい話を日常に置き換えられるかはわからないが、この「ちょうどよさ」は、普段の生活においても非常に大事な考え方だ。

例えば、ストレス。
ストレスが少なすぎると無気力になり、逆に強すぎると心身に悪影響を及ぼす。
適度にストレスがある状態が、ちょうどいいとされる。

外からのストレスを自分でコントロールすることは難しい。
が、その受け止め方を自分なりに調整し、負担がかかりすぎないよう努力することが大切だ。

食事も同様。
食べなければ命を失い、食べすぎれば健康を害する。
バランスの取れた食事を心がけることで、心身の健康が保たれる。

人間関係もまた、適度な距離感が重要だ。
誰かと過度に依存しすぎた関係は、ストレスを生みやすく、裏切りがあれば大きなダメージとなる。
一方、孤立して他人と全く関わらない生活もまた、孤独感が強まり、精神的に不安定になりやすい。
お互いを尊重しつつ、適切な距離感を持つ関係こそ、安定した心の健康を保つカギになってくる。

こうした考えは、古くからの哲学の世界にも登場する。
「中庸」という言葉がある。
超過や不足を避け、適度な状態を維持することが倫理的な徳であるとされる。
この概念は西洋哲学ではアリストテレスが、東洋哲学では儒教において説かれている。
どちらの哲学にも共通しているのは、極端を避け、調和を保つことの重要性だ。

日常生活の中で自分を見失うことがある。
そのような時こそ、この「ちょうどよさ」を意識し、自分自身を適度なバランスで保つことが必要だと思う。
地球が絶妙な距離を保ちながら生命を維持するように、さまざまな物事において「中庸」を大切にしていきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?