見出し画像

タイムスリップして、大昔の人に会いにいった件

僕が小学校6年生の時に、あるものを見てものすごく衝撃を受けたのを覚えている。歴史の社会科資料集に掲載されていた、写真に胸を打たれたのだ。それは、京都の六波羅蜜寺というところにある空也上人の写真である。なんとも言えない引き込まれ方をした。なんだか怖いというか、斬新というか、生きていそうというか。なんか口から出てるし、というか。

画像1

小学生の時からものすごく心に刻まれた、この写真。この空也さん。とにかく会いに行こうと思った。20年の時を経て、ようやく会うことができたのである。

六波羅蜜寺は京都市東山区に位置する。平安時代に創建された。改修が施されており、現在は朱塗りでとても綺麗。お寺へのお参りだけだったら、無料。空也さんに会いたければお寺の奥にある、宝物館へ行く必要がある。そこへ行くには大人600円必要。僕は、空也さんに会いに来た。600円払って奥の宝物館へ。

チケットを渡して、宝物館へと入る。広さは、小学校の教室2部屋分くらい。天井が高く、全体的に薄暗い部屋となっている。とても静か。外の音などは一切聞こえないようになっている。湿度を一定に保つための機械があって、その音だけが静かに聞こえる。右から回るように指示を受ける。

ガラス越しに、様々な像が鎮座している。薬師如来、四天王像、閻魔様。ものすごく歴史を感じる。そして、平安時代、鎌倉時代などその像が造られた時代が記されている。何千年もの時を経てきたものが、今僕の目の前にあるということに感動した。当時生きていた人たちが拝んでいたものが目の前にある。当時の人たちに触れるそんな感じがした。

X線で像の中を写したという、図があった。像の中には巻物などが入れられているのだそう。確かに巻物だ。よく漫画とかで見るやつ。おそらく製作に携わった人たちの名前などが書いてあるのだろうと。すごくロマンを感じたし、まさにその時代の人がより身近になった。いらんこととか、イタズラで書いちゃった人とかおるのかなあとか、思ったりした。(笑)

順番に見回した。中には本当に生き生きした像がある。

画像2

運慶像。そう、あの奈良の東大寺にある金剛力士像を作った人。この運慶像はすごかった。目線がちょうど鑑賞に来た人に合うくらいの高さに展示されている。こんな人、今でも身近にいますよね。(笑)じっと目を合わせて見ていたのだが、なんだか運慶さんが呼吸をされているような感じがしてきた。肩が上下に動いている感じ。そしてなんだか喋りかけられている感じがする。「あの、金剛力士像作ったの、わし。すごいじゃろ。」って(笑)

さあ、いよいよ、空也さん。しかも、今までガラス越しだったのが、ガラスケースになる。空也さんの右隣にはあの有名な平清盛さんや空海さんもおられる。こちらもすごかったけど今回は割愛。

堂々たる出立ちで、おられました。像の大きさは、小学1年生くらいの大きさ。空也さん!!やっとお会いできました。あの時からずっとお会いしたかったです。空也さん。やっぱり口からなんか出てる!!服装がオシャレ。鹿の角がついた杖。奈良にもゆかりがあるそう。有名人にお会いしたといのような感覚。ものすごく興奮した。何度も何度も拝んだ。

口から出ているのは、南無阿弥陀仏。それが一時ずつ仏の形になって出てきている。南無阿弥陀仏の名号を唱えながら道路、橋、寺院などを作る、社会事業も行われたそう。

こうやって、像として空也さんが作られるときでさえ、南無阿弥陀仏を表現したものを施されている。よっぽど、南無阿弥陀仏という言葉が、代名詞みたいになっていたのだと思う。本当にたくさんの人々を救ってこられたのだと思う。当時貴族など、位の高い人々だけでなく、庶民もしっかり助けてこられた。今の時代こそ、そんな身分はないけれど、当時身分の差がはっきりしていた中で、分け隔てなく人助けをされたことが、本当にすごいと思う。改めて何度も拝んだし、たくさんの人が拝んでいた。

表情を見ていてなんだか思った。本当に優しい人だったんだなと。自分の私利私欲にまみれず、人のために。自分に厳しく。研究を怠らない。空也さんの生き方は、現代の私達にもたくさんのことを教えてくれる。

実際に足を運んで、歴史的なものに触れることは、当時の人に触れることができる。いい機会になる。間近で見て、五感で感じ、何か感じるものを実感する。当時の人が見ていたものと同じものを同じ近さで見る。これはすごくいい体験になる。

時代を超えて、拝まれる空也さん。お会いできて光栄でした。これからもタイムスリップして、色んな人にお会いしたいと思う。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!!

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集