ゼミ研究発表会を公開制にすることの意味
2022年1月24日(月)
1月22日(土)にeスクールゼミ生と大学院生(修士課程と博士課程)の研究発表会をZoomで開きました。最大で32人の参加者がありました。
こうした研究発表会は春学期と秋学期の最後に公開制で開いています。誰でも聞くことのできる公開制で実施しているのはいくつかのメリットがあるからです。
1つ目のメリットは、ゼミ生自身が自分の研究をとらえなおす機会になることです。毎学期ごとに区切りをつけることで、自分のここまでの努力が可視化されます。さらに、研究の全体像の中で自分がどの位置にいるのかという道のりを感じることができます。その意味で、研究の途中であっても発表することには大きな意味があると思っています。
私の「レッスン/ゲームモデル」でいえば、研究発表会は「ゲーム」に相当します。現時点の自分の実力というか成果をみんなに見てもらう機会となります。そこで、いろいろな反応をもらって、「よくできた」とか「まだまだだ」などの感触を得るわけです。それが「ゲーム」の意味です。その感触を持ち帰って、また「レッスン」に励むわけですね。
2つ目のメリットは、参加者からの生のフィードバックを受けられることです。フィードバックの価値について、私はこんなふうに書いていました。
研究発表会を公開で開くのは、参加者からの上質のフィードバックがもらえるからです。上質なフィードバックというのは多様な視点からのフィードバックということです。教員や教育コーチからのフィードバックは、どうしても合格/不合格や正/誤といった観点や指導の観点でなされることが多いのです。
しかし、現実社会からのフィードバックは、面白さ、有用さ、ユニークさ、実現可能性、シンプルさ、リアルさ、などなど多様な観点からやってきます。そしてそれこそが研究の意味を与えてくれるものなのです。研究の意味は評価点からは与えられません。だから、自分の研究を聞いてもらって、多様な視点からコメントや質問をもらうことが、逆に自分の研究の意味や価値を確認することになるのです。
〜研究発表会は自分の研究に意味を与える場(2018年7月22日)
このフィードバックを気軽にできるように「コメントシート」を使っています。これは発表者自身がGoogle Formで作っているものです。参加者は、チャット欄で提示されるGoogle Formに跳んで、そこでコメントを入力することができます。
対面用の紙バージョンのコメントシートは次の記事で紹介しています。オンライン用のGoogle Formによるコメントシートも内容は同じですので、参照してください。
〜発表を聞いたらコメントシートに書くというシステムを参加者全員が共有しているということが文化なのです。(2017年1月24日)
最後に、今年度博士号を取得予定の2人に「博士までの道のり」みたいな話をしてくださいと私からリクエストしました。この話はとてもよかったです。苦労話が中心でしたけれども、それをどう乗り越えていったかという聴くに値する話でした。これから博士号を目指している後進にとっても、刺激にもなり、参考になる話でした。
発表した皆さん、お疲れ様でした。また参加してくださった皆さん、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。
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