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ちはるのファーストコンタクト

ファーストコンタクトは相互理解への第一歩。このマガジンでは、私が考えていることの第一歩をできるだけそのままの形で公開していきたいと思います。話題は、アドラー心理学、教える技術、研…
毎週月曜と金曜にブログを書いています。それ以外の曜日では、過去記事の切り抜き、質問受け付け、本の紹…
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記事一覧

【研究】eラーニングと対面授業の良いところを組み合わせる

2024年11月22日(金) eラーニングによる学習は個別に実施でき、自由度が高いことが利点です。しかし途中離脱の割合が高いという欠点があります。その一方で、対面による教室授業は、小グループを編成すれば、実習やワークショップによる活動を行うことができます。しかし、100人以上の大規模な教室授業がレクチャー中心になる場合は私語が多くなるなどの欠点もあります。 eラーニングによる授業と対面による教室授業のそれぞれの良いところを組み合わせようというのが、ブレンド型授業です。つま

【本】加藤秀俊『独学のすすめ』:レジャー、しごと、専門

2024年11月21日(木) 2022年10月19日(水) 加藤秀俊『独学のすすめ』(ちくま文庫, 1975, 2009)を読みました。初版は1975年に出ていて、確かそのころに一度読んでいたはずです。それが文庫になって2009年に出版されました。 生涯学習の時代にはいり、「独学」が、いま見直されていますので、この本も多くの人に読まれるといいと思います。50年前の本とは思えないほど、みずみずしくて、その見通しの鋭さに感心し、インスピレーションを刺激します。 何箇所か引

【質問】アドラーさえおさえればいいか

2024年11月20日(水) 質問人間性心理学やポジティブ心理学を生活に活かそうと思ったときに、マズローもロジャーズもポジティブ心理学もアドラーの影響を大いに受けているのだから、アドラーさえおさえれば、そんなに手をつけなくて良いと言う友人がいるのですが、実際のところどうなのでしょうか? 回答マズローとロジャーズはアメリカの大学でアドラーの教えを受け、そこから大いにインスピレーションを得たと言っています。ですので、二人ともアドラーから大きな影響を受けたことは事実でしょう。と

【アドラー教科書】(31) ライフスタイルはどのように形成されるか

2024年11月12日(火) 第1部 自己のしくみとその動き第3章 ライフスタイルの形成3.3 ライフスタイルはどのように形成されるか ライフスタイルはだいたい6歳から10歳までにその基本的な「動き」が形成されると考えられています。しかし、それ以降であっても、思春期であったり、人生上の重大な出来事が起きたときにはライフスタイルが大きく変わることがあります。 なぜ6歳から10歳までに基本的なライフスタイルが形成されるかというと、そのくらいまでにひととおりの共同体での過ごし

【ブログ】最後のゼミ合宿でベトナム・ダナンへ行く

2024年11月18日(月) 【ダナン1日目】最後のゼミ合宿でベトナム・ダナンへ行く2024年11月5日(火) 最後のゼミ合宿でベトナム・ダナンへ行く。4泊5日で、帰りは機中泊で戻ってくる。4年生ゼミは9人中7人が参加。昨年度から「海外に行きたい」というゼミ生の強い要望で実現した。 飛行機はベトナム航空の成田・ダナン直行便で往復7万円台だった。すごく安いわけではないが、直行便が少ないのでこれにした。機材は3+3席のエアバスでほぼ満席だった。古い機材なので、各席にモニター

【雑談】個人のルーチンのアンラーニング

2024年11月17日(日) eスクールの「生涯学習と成人教育学」の収録の第5, 6回目。隔週で2回分を収録している。学生参加は学籍番号の下一桁で割り振ってある。学期中に最低一回参加すればよいのだが、ここまで皆勤賞という人もいて、素晴らしい! この収録方式は今回が初めてで、かつ最後ということになるけれども、ライブ感があるのでいい、という評価をもらっている。もっと早くからやるべきだったな。 人間は一度安定したやり方を確立してしまうと、なかなかイノベーションが起こらないもの

【研究】社会人学生に対する導入教育として必要なこと

2024年11月15日(金) 早稲田大学人間科学部通信教育課程(通称eスクール, 2003年開設)は社会人学生が大半を占めています。社会人が大学で学習を始めるとき(あるいは再開するとき)重要なのは、大学での学び方をまず習得する必要があることです。現在の多くの大学では、大学での学び方を学ぶために初年次教育(あるいは導入教育)として必修科目を設定しています。 eスクールでは、しかし、当初の間は初年次教育にあたる科目が設定されていませんでした。そこで、まず初年次教育にあたる「ス

【本】吉川徹『日本の分断』:非大卒というガラスの床に支えられた日本社会

2024年11月14日(木) 今回は、吉川徹(きっかわ とおる)『日本の分断~切り離される非大卒若者(レッグス)たち』(2018, 光文社新書)を紹介します。 日本の社会は分断が進みつつあり、それは逆戻りしない。何による分断かというと、「大卒」か、そうでない「非大卒」かという学歴の溝だ。この本では、現役世代を、若年/壮年、男性/女性、大卒/非大卒という2x2x2の8つのセグメントにわけ、それぞれのセグメントの性質を大規模データに基づいて分析している(これを方法論的個人主義

【質問】宮沢賢治の造語はエスペラントの影響を受けているか

2024年11月13日(水) 質問宮沢賢治の造語はエスペラントの影響を受けていると聞いたことがあります。先生は何かご存知ですか?

【アドラー教科書】(30) ライフスタイルとは「動き」である

2024年11月12日(火) 第1部 自己のしくみとその動き第3章 ライフスタイルの形成3.2 ライフスタイルとは「動き」である 私たちが他の人たちを理解しようとするときにまず注目するのはその人の性格ではないでしょうか。初めて会った人と話をしたり、行動を共にしたりする時間が増えていくにつれて、最初のうちは相手のことが全くわからなかったのに、徐々に相手の行動様式がわかってきます。外向的だったり、引っ込み思案だったり、好奇心旺盛だったり、几帳面だったり、努力家だったり、楽しみ

【ブログ】UR部屋/2025年度の日程/アドラーゼミB面の第2回

2024年11月11日(月) 【UR】UR部屋に家具が入った2024年10月29日(火) UR部屋に家具が入った。研究室からの移動にはヤマトホームコンビニエンスのらくらく家財宅急便というのを使った。家具の大きさによって運賃が決まる。今回はテーブルひとつと棚ふたつで5万円弱かかった。単身引越しパックの方が良かったか、家具を買い直した方が良かったか、という選択肢はあったが、まあこれでよしとする。

【雑談】水曜日は働かず、白秋ゼミ

2024年11月10日(日) 白秋ゼミについて考えている。2025年もアドラーゼミとエクステンションのアドラー心理学ゼミナールで月2回は土曜日が埋まることになるので、その上土曜日を使うのは避けたい。ということで水曜日にしようかと思った。宇野常寛の『水曜日は働かない』(ホーム社, 2022)で言っているように、水曜日を休みにするとすべての曜日が休日に隣接する。 白秋ゼミに来る人は基本的に暇人を想定しているので、水曜日でいいんじゃないかと思えるようになった。暇人なのに「成長と

【研究】「大福帳」と「質問書」の授業での利用とその比較

2024年11月8日(金) 前回は、教員と学生の相互作用を促進するためのツールとして「質問書方式」を紹介しました。この目的のためには「大福帳」というツールも効果を発揮します。大福帳については下記の記事で紹介していますのでご参照ください。 実際に大福帳を100人超のクラスで使用して、最後の授業評価によってその効果を調べたのが次の研究です。 向後千春(2002)心理学授業における「大福帳」カードの利用と効果, 日本教育心理学会第44回総会発表論文集, p. 340

【本】オリバー・バークマン『限りある時間の使い方』:時間を所有物ではなく自分そのものとして生きる

2024年11月7日(木) 2022年10月5日(水) この本は、時間管理スキルの本ではなくて、むしろ哲学、心理学、人生論として書かれた本です。ちょっと懐かしいスピリチュアリティーもコーティングされています。