1. アドラー心理学の実践とは
今回のポイント
・アドラー心理学は、19世紀末に成立した「科学としての心理学」の最初期にできた
・アドラーは、自分の心理学を「一人の人間の人生を全体的にとらえようとする学問」とした
・アドラー心理学は実践を目指す心理学として現代の心理学の中ではユニークである
1.1 アドラー心理学は”実践”の科学
この講座の1回目はこんな問いかけで始めたいと思います。
「心理学は何を目指しているのでしょうか。どんな役に立つのでしょうか」という問いです。
もちろんこの問いに対する公式な回答というのは探してみればあるでしょう。たとえば「人間の心と行動のしくみを明らかにして、どのようにすれば幸せに生きていけるのかということに寄与する」というような回答です。これ以外にもさまざまなバリエーションがありますので、ひとつの正解というようなものはありません。
私の関心はそこではなくて、ふつうの人たちが心理学についてどのように感じているのかを知りたいのです。アドラー心理学の講座を受けにくるような人は、まず心理学という領域に関心を持っているでしょう。そういう人たちが心理学という学問にどのようなイメージを抱いているのかを知りたいと思いました。
そうするとその中でアドラー心理学はどのように位置づけられるのかがわかるかもしれません。もちろん「アドラー心理学は科学としての心理学ではない」という主張も成り立ちます。基本前提として全体論や目的論を採るということからして伝統的な科学の枠組をかなりはみだしています。21世紀の科学は全体論や目的論を扱わざるをえないとは思いますけれども、やはりそれを全面に打ち出しているアドラー心理学はかなり変わっているといわざるをえないでしょう。
いろいろな心理学を学ぶことで、自分の生き方に役立つことはそれこそたくさんあると思います。しかし、その中でもアドラー心理学はそうした側面が大きいのです。それが多くの人を魅了している理由であると考えています。
この講座では、日常的なさまざまな出来事やトラブルや悩み事などを取り上げて、それをアドラー心理学の視点で考えていくことを通じて、アドラー心理学を実践的に学んでいきます。
1.2 [ワーク] 心理学とはいったい何か
さて、ここで簡単なワークをやってみましょう。「心理学とはいったい何か」というお題のワークです。
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