6. 個人の主体性
今回のポイント
・アドラー心理学の基本前提の5つ目は「個人の主体性(主体論)」
・人生で取り組まなければならない課題を「ライフタスク」と呼ぶ
・ライフタスクには、仕事のタスク、交友のタスク、愛のタスクがある
・これらのタスクを果たそうとしている状態が勇気のある状態である
・それができないと思うとき言い訳を考え、自己欺瞞をする
今回は、5つの基本前提の最後の5つ目として、個人の主体性について取り上げます。
6.1 個人の主体性:人生の宿題=ライフタスク
私たちは人間として生まれてくると、"先生から与えられた宿題のように"、人生で取り組まなければならない課題を与えられます。それは避けることができません。アドラーはこれを「ライフタスク (Life Tasks) 人生の課題」と名付けました。
ライフタスクには次の3つがあります。
(1) 交友のタスク (The Social Task)
私たちは他者に囲まれ、他者と関係を持って生きています。したがって他者のことを考慮に入れずに生きることはできません。どのような人たちとつきあうか、その中で何を受け入れ、何を拒否するのかというタスクが交友のタスクです。
(2) 仕事のタスク (The Work Task)
地球という有限の環境の中で私たちは生きていかなければなりません。それを可能にするのは、他の人たちの仕事に頼ることです。そして自分はその代わりに何かを他の人に提供します。これが仕事のタスクです。
(3) 愛のタスク (The Love Task)
すべての人は、男性あるいは女性のどちらかのメンバーとして生まれてきます。したがってこの2つの性の協力という課題に挑戦することになります。そこに人類の未来がかかっているのです。
この3つのライフタスクを見るとわかるように、ライフタスクの中心は対人関係をどうするかという問題です。
私たちは人生を通じてさまざまな困難と挑戦に直面します。たとえば、受験、就活、結婚、家族を持つこと、子育て、離婚、転職、介護、退職、病気、相続、などです。しかし、これらのことはライフイベントとしていずれ自分の人生に起こってくることです。そしてなんとかしてそれを乗り越えていくのです。そのイベント自体について悩むことはありません。誰にでもやってくることだからです。
しかし、そこに対人関係が入ってくると複雑になります。たとえば就活であれば、自分の好きな企業を自分の意思で選べば良いわけですが、親が介入してくるとややこしくなります。また、結婚の場合も、自分と相手との合意さえあれば問題ないはずですが、両方の親や親戚がそこに介入してくるとややこしいものになります。
このように対人関係が絡んでくるライフタスクこそが私たちが乗り越えていくべき課題だということがわかります。
6.2 勇気と怖れ、そして自己欺瞞
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アドラー心理学はじめの一歩/アドラー心理学を実践する
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