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ちはるのファーストコンタクト(2017年1〜3月)

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ファーストコンタクトは相互理解への第一歩。このマガジンでは、私が考えていることの第一歩をできるだけそのままの形で公開していきたいと思います。話題は、アドラー心理学、教える技術、研…
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#インストラクショナルデザイン

【本】市川尚・根本淳子編著『インストラクショナルデザインの道具箱101』→インストラクショナルデザイン入門の1冊目として実用的

2017年3月9日 (木曜日はお勧めの本を紹介しています) 市川尚・根本淳子編著『インストラクショナルデザインの道具箱101』(北大路書房, 2016) ■要約インストラクショナルデザイン(ID)とは学びの「効果・効率・魅力」の向上を目指した技法とモデルの総称である。それを101個集めたこの本を眺めて、自分の現場に導入していけばあなたの教える技術は高まるだろう。 ■お勧めのポイントIDの技法とモデルを101個も集めたら、それをどのように分類、構造化して示すかというとこ

反転授業の設計と実践(Part 1)

2016年12月29日 反転授業の設計と実践  ……学習効果を高める授業設計の工夫……向後 皆さん、こんにちは。早稲田大学の向後です。よろしくお願いします。今日は反転授業のお話をしていきたいと思います。 ■反転授業とはどんな授業か 「反転授業」というのはどのようなことかという話ですが、今までは対面授業をやってから宿題を出すという形でした。皆さんも宿題を出されるかもしれません。しかし、大抵の学生は、宿題をやりません。それならば宿題はやめよう、と。  そうでなく、あらかじめ

【本】ユーリア・エンゲストローム『変革を生む研修のデザイン』:活動理論の実践的入門としてお勧め

2017年2月16日 (木曜日はお勧めの本を紹介しています) ■要約古典的なインストラクショナルデザインの限界について2つの批判をしてそれを拡張しようとする。(1) テキストは学習の対象ではなく道具に過ぎない。教室や研修所という文脈を超えた拡張的学習を目指す(ベイトソンの「学習の型」由来)。(2) 教育の目標は観察可能な行動リストではなく、態度、戦略、メンタルなどの認知的方向づけであるべきだ(ガルウェイの「インナーゲーム」由来)。 ■ポイントベイトソンの「学習の型」とい

反転授業の設計と実践(Part 5 完結)

2016年12月31日 ■質疑応答司会 それでは、向後先生、あと、ご参加いただいた先生方、ありがとうございました。これから10分ほど質疑応答があります。せっかくの機会ですし、このような、まさに発表、プレゼン、われわれが学生に促しているものを体験してみて、そこから活用できないかと考える機会ですので、先生のほうから、まずフロアのほうに、何かご質問など、何かあれば投げかけていただいても結構ですし、フリーでも結構かと思いますが、どちらがよろしいでしょうか。 向後 では、フリーでお

反転授業の設計と実践(Part 4)

2016年12月31日 ■グループワーク「グループワーク形式を使うとしたら」 ではここで、2回めのグループワークにいきたいと思います。「もし、皆さんが自分の授業の中でグループワークの形式を使うとしたら、どのようなものにしたいですか」ということを考えていただいて、先ほどと同じように、シェアしていきたいと思います。次は、ブルーのポストイットです。では、2分間で考えをまとめていただいて、書いてください。 向後 はい、どうもありがとうございました。それでは、またサイコロを振ってい

反転授業の設計と実践(Part 3)

2016年12月31日 ■グループワークの設計 以上のように、eラーニングは非常に可能性があります。そうすると、eラーニングに任せることができる部分がどんどん増えてくると思います。その一方で、では教室の中でどのようにするのかという話になってくると思います。  次はグループワークです。実習系の授業やパソコンの実習はもともとグループワークを使っていると思いますが、そうではない座学として設定されたような授業でも、グループワークを作っていくことを考えたいと思います。ポイントは、グ

反転授業の設計と実践(Part 2)

2016年12月30日 ■グループワーク「自分の授業ビデオを作るとしたら」 それでは、グループワークをやりましょう。皆さん方がもし自分の授業ビデオを作るとしたら、どのようなものにしたいですか、ということを考えていただいて、グループ・ディスカッションをしていきたいと思います。それでは最初に2分ぐらい考える時間を差し上げますので、考えていただいて、ポストイットにメモしておいてください。その後、1人1分で、グループ内で発表していきたいと思います。では、お願いします。 向後 はい

【動画あり】リサーチクエスチョンをどのように立てればいいかという話をしました。

日本教育工学会の研究会が、福井県の仁愛女子短期大学にて開かれました。 SIG-ID(インストラクショナルデザイン)からはワークショップを提供しました。私は最初の15分で「より良い実践研究のために」と題して、リサーチクエスチョンをどのように立てればいいかという話をしました。 そのときのビデオは下記のYoutubeから視聴できます。限定公開ですので、どうぞ。

ゲームに勝つことがレッスンのゴールなんだけれども、ゲームをいくらやっても、うまくならないんだよね。

12月に入って、テニススクールのレッスンに復帰した。8月から4ヶ月に渡って休会中だったので、久しぶりのレッスンだった。しかも、休会中にコーチも代わっていたという。 仲間でゲームをするのは先月から再開していたので、身体の動きについてはあまり心配していなかった。しかし、レッスンを受けると遊びのゲームとは違って、全身を使うという感じで、疲れる。 ゲームとレッスンの関係性についてこんなことを考えた。 ゲームはそれ自体が面白いし、ゲームに勝つことがレッスンのゴールなんだけれども、

もっと大事なことは、グループのメンバーがお互いに安心して議論できるということだ。

2016年11月29日 授業も後半戦に入ってきた。12月になると一気に終わりが近づいてくる。300人の授業も、みんながグループワークに慣れてきた。今日は3週間ごとのグループ替えだったのだが、「いいメンバーに巡り会えて良かったです」という感想を聞いたりすると、ああ良かったなと安堵する。 グループワークは、何をどのような段取りでやってもらうかという設計が圧倒的に大事だということは自明のことだ。しかし、もっと大事なことは、グループのメンバーがお互いに安心して議論できるということ