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ちはるのファーストコンタクト(2019年)

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2019年に書かれた(書かれる)「ちはるのファーストコンタクト」のすべての記事が読めます。300本以上あります。月額購読するよりも割安になっています。
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2019年10月の記事一覧

【本】アンドレアス・シュライヒャー『教育のワールドクラス』:PISAとPIAACのエビデンスからの教育政策への示唆

木曜日はお勧めの本を紹介しています。 今回は、アンドレアス・シュライヒャー『教育のワールドクラス』(明石書店, 2019)を取り上げます。 ■要約教育政策に科学研究の厳密さを導入したらどうかという考えからスタートしたPISA(OECD生徒の学習到達度調査)は、その調査結果から次のような9つの問いに答えを出している。 (1) 貧しい子どもは成績が悪い。これは運命なのか。→否。社会集団の良し悪しがそのまま学校の成績や日常生活に結びつくことはない。 (2) 移民は学校システ

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【教える技術】教えることの科学的側面とアート的側面

火曜日は「教える技術/学ぶ技術」のトピックで書いています。 いろいろなところで「教える技術」あるいは「インストラクショナルデザイン」のテーマで講演したりワークショップを開いたりしています。そのときに最初に言うことは、教えるということには科学的な側面とアート的な側面の両方があるということです。 科学的な側面というのは、こういうふうに教えればかなりうまく教えられるという原理や理論がある程度わかっているということです。その理論を支えるものは、行動分析学や認知心理学といった学問領

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【研究】論文「インストラクショナルデザイン研究の方法論」の要点

水曜日は「研究すること」のトピックで書いています。 向後千春への依頼論文「インストラクショナルデザイン研究の方法論」が『日本教育工学会論文誌』に載りました。J-STAGEでも公開されましたので、全文読むことができます。ぜひお読みください。その要点を以下に解説しました。 向後 千春(印刷中)インストラクショナルデザイン研究の方法論『日本教育工学会論文誌』(J-STAGE早期公開) この論文では,教育工学研究とその中心部分にあるインストラクショナルデザイン研究の特徴を次の3

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【アドラー実践】05 認知理論・認知療法の早すぎた先駆者だったアドラー

月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています。 早稲田大学エクステンションセンター中野校で、10月3日(木)から「アドラー心理学実践講座(全8回)」が始まりました。これに合わせてしばらくの間、アドラー心理学実践講座の内容で書いています。 人間の見方についてのアドラー心理学の理論的枠組である「5つの基本前提」を紹介しています。前回までに目的論、全体論、社会統合論を説明しました。今回は、4番目の仮想論 (Fictionalism) です。 仮想論は、以前は認知論 (Cog

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【Q&A】依存の先に/素敵だと思う人/好きなことを仕事にしたのか

日曜日は皆様からの質問やテーマをいただいて「お題拝借」で書いています。質問やメッセージは「マシュマロ」からお送りください。匿名で送ることができます。 今回は、質問が3つ届いております。 [Q1] 家族や友人に、この世から消えたい…と思い詰めた様子で打ち明けられることがあります。その時はびっくりして話を聞いたり、一緒にいたりしてあげるのですが、毎回非常に消耗します。不健全な関係だと思うので、自分の対応の仕方を変えたいと思っています。先方は、そう言うことで私をコントロールでき

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【経験と感じ】第36回日本アドラー心理学会総会に参加してきました。

土曜日は最近の出来事の経験とその感じを書いています。 第36回日本アドラー心理学会総会(幕張国際研修センター)に参加してきました。日本アドラー心理学会の総会に参加するのは久しぶりのことです。 ブログを遡ってみたら、前回参加したのは4年前の2015年の名古屋での総会でした。その前は、さらに4年前の2011年総社の総会でした。もしかして、4年ごとに参加しているのではあるまいかという疑念が湧いてきました。オリンピックか。 いずれにしても、今回は「何か発表しませんか」というお声

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【教える技術】大学院ゼミのコース設計:伝えるべきことを伝える

火曜日は「教える技術/学ぶ技術」のトピックで書いています。 大学のゼミという場は、教育工学者にとってはチャレンジしがいのある研究テーマだと思います。それは、まずゼミの中でどんなことがどんな方法で教えられているのかということがほとんど表に出てこないからです。 カリキュラムにのっとって開講されている科目は「コースワーク」と呼ばれるのに対して、ゼミで指導を受けながら研究を進めていくのが「ゼミ=研究ゼミ」です。ゼミは少人数で、しばしば個別指導になるために、教員のやり方のバリエーシ

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【アドラー実践】04 社会に埋め込まれている私たち:グループダイナミクス

月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています。 早稲田大学エクステンションセンター中野校で、10月3日(木)から「アドラー心理学実践講座(全8回)」が始まりました。これに合わせてしばらくの間、アドラー心理学実践講座の内容で書いています。 人間の見方についてのアドラー心理学の理論的枠組である「5つの基本前提」を紹介しています。前回までに目的論と全体論を説明しました。今回は、3番目の社会統合論です。 社会統合論 (Social Embeddedness) は、人は一人では

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【Q&A】100万円貸してと言われたら/意味のない研究はあるのか/人間の性格は遺伝と環境だけで決まるか

日曜日は皆様からの質問やテーマをいただいて「お題拝借」で書いています。質問やメッセージは「マシュマロ」からお送りください。匿名で送ることができます。 今回は、質問が3つ届いております。 [Q1] 家族、心からの親友を無条件で信じる信頼するというのはわかるのですが、それ以外の人間関係、仕事での関係者ご近所さん、これから二度と会うことがないような通行人に対する心構えはどうすれば良いのでしょうか。そのような人々に突然「100万円貸して!」と言われたらアドレリアンはどう行動するで

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【思うこと】わざわざ各駅停車の新幹線に乗る理由とマインドワンダリング

金曜日は「思うこと/したいこと」のトピックでYoutubeしています。今回は、Youtubeロケがないので文章を書いています。 名古屋あたりまでの出張では、各駅停車の新幹線のグリーン席を取ります。JR東海の企画切符でぷらっとこだまというのがあって、割安でグリーン車に乗ることができます。大阪あたりまでですと、飛行機か新幹線にするかは半々くらいです。 時間がかかるこだまをわざわざ使うのは、まさに時間がかかるからという点にあります。乗っている間に本を読んだり、いろいろな考えをま

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【研究】『教育心理学年報』は読むべき一冊。その理由。

水曜日は「研究すること」のトピックで書いています。 学会に入会していると論文誌が定期的に送られてきます。論文誌が手元に届くと、その目次で論文のタイトルを一覧して、面白そうだなと思う論文を拾って読むというのが普通だと思います。そしてその論文誌は本棚に収まります。論文誌を隅から隅まで読むという人は研究者であっても少ないでしょう。 でも、教育心理学会が発行している『教育心理学年報』は隅から隅まで読んで損のないジャーナルだと思います。『教育心理学年報』は論文誌である『教育心理学研

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【アドラー実践】03 目的論と全体論は古くて新しい考え方

月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています。 早稲田大学エクステンションセンター中野校で、10月3日(木)から「アドラー心理学実践講座(全8回)」が始まりました。これに合わせてしばらくの間、アドラー心理学実践講座の内容で書いていきます。 前回は、人間の見方についてのアドラー心理学の理論的枠組である「5つの基本前提」を紹介しました。その1つ目の目的論は、主体的な意思を持った人間の思考や行動は、何かが原因でそうするというよりは、何かを目指してそうしていると考えた方が理解し

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【Q&A】防災におけるインストラクショナルデザイン

日曜日は皆様からの質問やテーマをいただいて「お題拝借」で書いています。質問やメッセージは「マシュマロ」からお送りください。匿名で送ることができます。 今回は、質問が1つ届いております。 [Q] 地球温暖化の影響で、日本では、過去に経験したことのない、自然災害が多発しています。被害にあった市民からは、「もっと早く行動していれば良かった」との声があります。  避難遅れ、対策遅れは、気象庁、自治体、マスコミによる、一般市民への危機状態の説明が稚拙さにあると思います。「ただちに避

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【経験と感じ】中野エクステンションセンターでのアドラー実践講座が始まりました

土曜日は最近の出来事の経験とその感じを書いています。 エクステンションセンター中野校でのアドラー心理学実践講座が始まりました。11月21までの全8回に渡ってアドラー心理学をワークを中心にして学んでいきます。初回は37人の方に参加していただきました。社会人がほとんどです。リピーターの方もいますし、今回が初めての参加という方も過半数を超えました。どうぞよろしくお願いします。 初回は、アドラー心理学の全体像と21世紀にアドラー心理学を学ぶことの意味についてお話ししました。また、

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