夢か現か現か夢か
アイルランドから帰国して半年経過しました。
さすがに、半年ともなるとほぼすべて日本での生活が現実であり、微かに繋がっているアイルランドにいる友人たちの生活も、この世とあの世を隔てるくらい、もはや別世界だと感じつつあります。
アイルランドでの生活が始まった頃は、朝、目覚める度に、海外生活をしていることが、夢なのではないかとさえ思い、感激のあまり泣けることもありました(が、その後のパンデミックとロックダウンで、それが悪夢に変わり、今度は、悔しさのあまり泣くはめに。)。
ところで、先日、お笑い芸人の光浦靖子さんが、カナダ留学に行かれていることを知りました。
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2021/07/22/kiji/20210722s00041000393000c.html
彼女の気持ちは、同世代で同じ独身ということもあり、非常によくわかります。残念ながら、私は、彼女のようなホストファミリーには恵まれませんでしたが(笑)、ほぼ似たようなような感じで留学生活をスタートしました。
私の場合、日々いろんな壁にぶち当たりながらも、自分なりに留学生活を楽しもうとしていたときはまだよかったのですが、留学生活2か月後に始まったパンデミックとロックダウンにより、その後の目論見のほとんどが狂ってしまい(まったくヨーロッパ旅行ができなかったのが大誤算)、その落胆とフラストレーションがずっとぬぐい切れなかった1年余りでした。
当時、既に留学中だったり、留学、ワーホリや海外での就業を目指していた方々はみなそれぞれに何らかの苦渋の決断をされておられたと思います。
私は混乱しながらも、帰国せずに留学生活を全うさせることを決断しました。というのも、語学学校がリファウンドしない方針だったからです。
かくして、覚悟の上、臨んだものの、その後も、予想外に次ぐ予想外の展開に巻き込まれたり、決断を迫られたり、これでもかというくらい自分の弱さを突き続けられ、自業自得のことも含め、諦めたり、諦められなかったりで、常にもがき続けていたような感じでした。
ヨーロッパでも一番長く厳しいロックダウンを行っていたアイルランドでの生活は、やはり精神に堪ていました。それでもせっかく海外にいるのだからできることをやって楽しもうとしていましたが、振り返ると、その必死さみたいなものは、いつも哀愁を帯びていました。それは今振り返っても変わりません。
一方で、パンデミックやロックダウンは抜きにしても、心身にしみ込んだ日本的な呪縛から解き放たれるためには、現地でもまれることは必要悪だったと、今ならポジティブな捉え方もできますが、それでもやはり消化できない、なんとも言えない後味の悪さも残っているのです。
おかげで、私のアイルランドでの生活すべてが、何やらアイルランドの気候のように、あの切ないかもめの鳴き声とともに常にくすんだ悲しみをまとった景色の中に置き去りになっているような気がしています。
いずれにしても、煮詰まったアイルランド生活を、冷静に振り返って見ることは、帰国の目的のひとつでもあったので、徐々にそれができていることには間違いありません。すべてよしとしましょう!
私にはもはや別世界となったアイルランド。
しかし、誰かにとっては、ずっと目指していた夢を叶えるすばらしい場所であり、その夢をできるだけ長く見続けていたい人たちの夢物語が今も続いている…。いや、彼らにとっては、それは夢などではなく、現実としてその夢が叶っている限り、ずっと夢のような現実の場所であり続けるのでしょう。
Good luck in everything!