警察官の仕事は基本を徹底的に身体で覚えて初めて応用ができる
20代の警察官は若手と呼ばれる。若手の間は、上司や先輩から指示や指摘を受けた場合、ひとまず「はい」と返事をして従うべきだ。
それがどんなに理不尽で間違っているとわかっていても。仕事を教えてもらっている段階では、全ての指示を一旦素直に受け入れること。
指示されたことに対して、「でも…」と続けてはいけない。
ベテランの先輩がやっているように基本を省略して応用をしてはいけない。応用は基本を徹底的に体に叩き込んで始めてできること肝に銘じておこう。
上司の指示はとりあえず一旦受け入れてやってみる
既に一人前の警察官として、その係の中心として仕事をしているなら、上司からの指示に対しても意見を言うことができるが、まだ見習いの段階であれば、全ての指示に対して「了解」と答えて、とりあえずやってみよう。
新しい仕事を学ぶためには、素直な姿勢で取り組むことが必須。
素直さが成長を加速する。教える側も部下が素直に指示したことを実践して学んでいく姿を見るとやりがいを感じてさらに教えたい気持ちになる。
しかし、指示されたことに対して嫌な顔をする部下は嫌われる。
明らかにおかしいことを指示されたとしても、とりあえずそれをやってみること。
案の定、失敗したとしても、無駄ではない。それが成長につながる。
失敗を経験することで、絶対に忘れない基本を身につけることができる。
基本を覚えるのは仕事だけでなく雑用や気遣いも同じ
基本を覚えるのは、仕事内容だけではない。掃除やお茶くみなどの雑用と上司への気遣いも同様に重要だ。
仕事を教えてもらう立場であれば、最初にやることは雑用。掃除、お茶くみやコピーなどは一見、容易で誰がやっても同じだと思うが、それは間違いだ。
雑用ほど人の性格や熱意が現れるものはない。そして、有能な上司ほど雑用など仕事以外の部分を見ている。
雑用ができなければ仕事を教えてもらう資格はない。
言い換えれば、雑用ができない人は警察の中でキャリアアップは望めない。
ほとんどの上司・先輩は同じように雑用で認められた後に仕事を教えてもらい現在のポジションにいる。
雑用の大切さを理解した上で指示を出している。だから、雑用を頑張っている部下を気にかけてくれて、特に仕事を教えたいという気持ちになる。
逆に雑用を適当にする人には厳しい。怒られているならまだ期待されているので良いが、無視されるようになったら既に見放されている。
応用は基本を完璧にしてから
基本を完璧にこなせるようになると、ようやく応用を取り入れることができる。
基本が大事な理由はシンプル。自分が教える立場になった時に、部下に対して的確な指摘をするため。
最悪なのは、自分が基本を知らないために、部下に最初から応用を教えてしまうこと。
そうすると部下は基本を無視した小手先だけの仕事をしてしまう。これを続けていくと必ず大きな失敗が生まれる。
現場での体験談
僕の経験談を話すと、新任配置で交番に配置された時、不器用な僕ができることは雑用だけだった。
だから雑用だけは完璧にこなしていた。そうすることで、先輩や上司から仕事を教えてもらえるようになった。基本を覚えて忠実に繰り返していた。
交番日誌の記載方法だったり、装備品の装着方法だったり、拳銃の保管要領など、応用ではなく基本を教えてもらった。
時間だけかかって面倒だと思うこともあったが、言われた通りにやっていた。
刑事課でも、手書きでの書類作成や取り調べ時の手錠の外し方など、基本的なことを最初にしっかりと教えてもらい身体で覚えていった。
基本を覚えて初めて応用することの利点がわかる。応用することが必ずしも効率化にならないと感じる場合もあるし、やっぱり基本を守るべきだと思うこともある。
つまり基本を覚えることが一番大事。応用だけを覚えても一人前にはなれない。
応用を先に教えられると逆に不幸だ。正しいと思ってやった仕事が基本に従っていないことになる。
まずは、雑用をしっかりとこなして、周りから認められた上で基本をしっかりとマスターしよう。その後に、満を持して応用に挑戦しよう。そうやって人は一人前になっていく。