もう、何が何だか_右園死児報告
読んだ本のことも書こうかな。
読み終えるまでめちゃくちゃ時間をかけるタイプなので
読む本のストックは溜まる一方
映画のように観た当時の生活を振り返ることは出来ないからダラダラとした長文にはならないと思いますのでご安心を。
<読んだ本(あくまでも私の所感)>
題名:右園死児報告
著者:真島文吉
読みやすさ:★★★★★ 終盤から★★☆☆☆
面白さ:★★★★☆
手に取ったきっかけはX(旧Twitter)の誰かの投稿から。
この前に読んでいたのがアンソロジーの短編集で超大御所作家の短編がどうしても読み進められず(言葉づかいや漢字選びが合わない)
気を取り直して「なんだか面白そう」な本を読もうと読み始める。
右園死児(うぞのしにこ)っていう、何が何だかわからないモノに対する報告書とかが続く。
片側一ページに報告書のタイトルと報告者の名前だけでもう片方に報告が書かれているのでめちゃくちゃ読みやすい。さっさかページが進む。
「訳わかんない」って活字になると魅力度がUPすると思うんですよね。
何が何だか分かんないものに怯えて戦ったり殺されたり
映画でもそんなお話ってクローバーフィールドとかミストとか沢山ある。
イットフォローズやライト/オフは大好きで、特にライト/オフは息子妊娠中で逆子が治らなくて困っていた時に鑑賞したら治ったのでありがたい作品でもある。
でも映画になるとどうしても視覚的に納得が欲しくなって気持ちが尻窄みになるかも。
大きな謎がちょっと解決してくると急に興醒めしたりね。
結局予告鑑賞時が一番興奮してたりしますからね。謎のままの方がいい時もある。
報告書にも番号がついているので、過去の報告書に戻って重要になりそうな所は読み深めることもできた。
報告書の内容が徐々にディープになっていき、この訳わからない右園死児というものに対しての「なんじゃこりゃ」感と「これどうやって終わらせるんだ?」感が読むスピードを早める。
途中、出張で新幹線で1時間弱の場所へ行くことがあったのだけど
わざわざ早起きをして在来線の各駅停車で行った。この本をじっくり読みたくて。
報告書なので堅苦しい言葉や、現実世界にはない言葉も出てくるのだけど
これなんですかね、エヴァとかにハマった人は好きそう。
何が何だかわからないけど使う言葉が面白い!センスが良い!みたいな。
何が何だかわからないけど読む人の心を引き込むセンスがあるんだなこれを書いている人は。
昔なのか、現代なのか、スチームパンクのような、サイバーパンクなのか、報告書が進み現代に近づくたびに世界観が複雑になっていってまたそれも面白くて。
ただ、後半は勢いがすごくて何が何だか今どうなってるのか理解が追いついていかない。
ただ、置いてけぼりにはしていない配慮は感じるのだけれど。
そこもエヴァっぽいところがある。
最後は、急に何もなかったかのような爽やかで澄んだ空気感ある文章で
こうなるしかないかー、とちょっと思ったりもした。
尻窄みではないけれど、あまりにも爽やかなエンディングで読み終わった後、予想外な爽やかな余韻で。あ、エヴァもそうだったなあ。
なんて、後半はエヴァにハマって考察本まで読んで、シンエヴァ号泣しながら見つつも「やっぱ分かんねえなあ」って思ってた自分が蘇った。
なんか分かんないってやっぱ魅力なんだ。