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まるでウクライナがロシアに武力侵略したかのような塩原俊彦さんのウクライナ記事

ロシアのウクライナ武力侵略の経緯をまったく考えていない塩原俊彦さん

 ウクライナがロシアに武力侵略しているかのようなウクライナについて詳しいらしい塩原俊彦さんの記事を読みましたが、正直理解に苦しみました。

ロシアの大規模侵攻がはじまって以来初めて、ウクライナ国民の52%が戦争終結に向けた交渉をできるだけ早く開始することに賛成していることが、米ギャラップ社の世論調査でわたった。
今年8月と10月に実施したウクライナに関する最新の調査では、ウクライナ人の平均52%が、自国が一刻も早く戦争終結に向けて交渉することを望んでいることがわかったというのである。
他方で、 ウクライナ人の10人に4人近く(38%)が、自国は勝利するまで戦い続けるべきだと考えている(図1を参照)。
この厭戦(えんせん)気分は、脱走兵の増加によっても示されている。12月1日付のFT(フィナンシャルタイムズ)は、「ウクライナ検察当局は今年1月から10月にかけて、持ち場を放棄した罪で兵士らに対して6万件の事件を起訴した。これは2022年と2023年に起訴された件数の合計のほぼ2倍にあたる」と報じている。有罪判決が下されれば、最大12年の実刑判決を受けることになる。
他方で、ウクライナは徴兵にも苦労している。そこで、「ウクラインスカヤ・プラウダ」の報道によると、つぎのような恐ろしい事件が起きている。
7月10日午後、国境警備隊(SBGS)は地域採用センター(TCC)に、海外逃亡を図っているとされる市民を発見したと通報した。SBGSからの通報を受け、地元TCCの隊長と少佐が駆けつけた。彼らはすぐに、データを明確にするために被留置者をTCCに招き入れたが、召喚状は引き渡さなかった。その男は彼らの車に乗ることを拒否した。警官たちはこの行為を快く思わず、彼を地面に投げ倒し、バスに押し込んだ。
これは、まさに違法行為である。その証拠に、「地方裁判所は職権濫用の罪でTCCの職員2人にそれぞれ1万7000フリヴニャ(約410ドル)の罰金を科した」、と記事は伝えている。記事は、「2024年上半期に、市民から、TCCによる権利侵害について1190件の訴えが寄せられたとの報告」があり、「これは198件であった2023年の同時期の6倍である」と報じている。いまでは、この職権濫用は、「バス化」(TCC将校が街頭で男性を拘束し、軍隊に送り込むこと)と呼ばれるまでになっている。
ただし、「バス化」という用語は、「ロシア側がプロパガンダのために積極的に広めているものだ」という見方もある。それでも、ウクライナにおいて、動員がうまく進んでいないのは事実であり、そのために、米国は、ウクライナ政府に対して、緊急に法律を見直し、動員徴兵の年齢を25歳から18歳に引き下げるよう求めている。
今年春に採択された現行法により、動員徴兵年齢は27歳から25歳に引き下げられた。 兵役に適していると判断された18~25歳の男性は動員されないが、強制兵役には召集される。
こうした現状にもかかわらず、ゼレンスキーはウクライナ戦争の継続で躍起になっている。その方法は、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)への即時加盟によって戦闘終結をめざすものだ。それはNATO加盟国がウクライナ戦争に巻き込まれるリスクを伴うから、その実現可能性はない。つまり、戦争終結をもともと考えていないのだ。
なぜか。理由は簡単だ。自分の権力維持のためである。まず、ゼレンスキーの大統領任期が今年5月20日に切れていることを思い出す必要がある。国会議員の任期も同年7月に過ぎている。
ウクライナ憲法第83条では、「戒厳令または非常事態が発令されている間にウクライナ最高会議(議会)の任期が満了した場合、その権限は、戒厳令または非常事態が解除された後に選出されたウクライナ最高会議の最初の会合の初日まで延長される」と明確に規定されている。
だが、憲法には、戒厳令が発令されている間に大統領の権限が失効した場合の明確な規定がない。これが最大の問題であり、だからこそ、憲法裁判所に判断を仰ぐべきだとの意見が国内にもある。しかし、権力の喪失を恐れるゼレンスキーはずっと無視してきたのである。
第108条には、「ウクライナ大統領は、新たに選出されたウクライナ大統領が就任するまで、その権限を行使する」とあるだけだ。他方で、憲法第112条によると、大統領の権限が早期に終了した場合は、ウクライナ最高会議議長が国家元首の職務を代行する。
つまり、本当は国会議長が大統領代行に就くべきだとの憲法解釈が可能なのである。だからこそ、ゼレンスキーは憲法裁判所の判断を仰がないまま、大統領の座に居座っているのだ。
こんな不適切な状態が認められてきたのは、米政府の支持があればこそだが、トランプ新政権になれば、法的根拠があるとは言い難いゼレンスキーを大統領として扱うかどうかも再検討されるだろう。
だからこそ、ゼレンスキーは戦争を継続し、戒厳令を出しつづけることで、ともかくも「大統領職」にとどまろうとしている。しかし、「ストラナー・ウクライナ」の報道によると、「ウォロディミル・ゼレンスキーのチームに反対するサークルの活動が急激に増大している」。
その一例が2023年9月から公判前勾留されている「オリガルヒ」(寡頭資本家)のイーホル・コロモイスキー(下の写真)によるゼレンスキーへの非難である。彼は自分の所有するUNIAN通信社とのインタビューで、大統領府が軍を使ってウクルナフタとウクルタトナフタ(ともに石油会社)の支配権を強奪し、会社の株式を返還する能力を制限するために獄中に置かれたと主張した。
議会野党(ペトロ・ポロシェンコ元大統領とユーリア・ティモシェンコ元首相の政党)も活動を活発化させている。ティモシェンコはほぼ毎日、国内情勢について何らかのコメントを発表し、それがメディアやテレグラム・チャンネルで広く流布されている。ポロシェンコの仲間もゼレンスキーを激しく批判しつづけており、同時に、戦争を一刻も早く止める必要性を一貫して訴えつづけている。
そう、政治家の多くは選挙が近いことにうすうす気づいているのだ。だからこそ、ゼレンスキーは米政府による動員年齢引き下げに反対している(国民は喜ぶだろう)。
一方、10月25日、ウクライナ国民全員に1000フリヴニャ(約24ドル)を配布するプログラムの開始を発表した。彼は、このような「寛大さ」について、非常に困難になるかもしれない冬への備えのためと説明したが、戦時下においてカネをばら撒く(といっても「ウクライナのキャッシュバック」カードに振り込まれる)のは別の目的、すなわち選挙が近づいているためではないかとの憶測が生まれている。
ただし、12月3日付の「ストラナー・ウクライナ」の記事は、「ほとんどの世論調査では、現職大統領が大統領選に出馬すれば、ヴァレリー・ザルジニー元ウクライナ国軍トップに敗れるだろうとしている」と報じている。
さらに、「政界の非公式な議論では、(ポロシェンコを含む)野党勢力のかなり多くのリストが、選挙でザルジニーを支持する用意があると表明している」という。また、「世論調査によれば、大統領の政党は議会選挙でも敗北し、ザルジニーの仮想政党に敗れるだろう」とも予測している。
この事実を知るゼレンスキーは、すぐにはウクライナ戦争を終わらせたくないのだ。戦争終結は戒厳令解除、大統領選および議会選へとつながり、ゼレンスキーも彼の政党も一敗地に塗(まみ)れるからである。

現代ビジネス「いつまでも戦争止めないゼレンスキー…それは止めたら自分が追放されるから」

 塩原俊彦さんは「戦争」とおっしゃっていますが、一方的にロシアがウクライナという国家を世界地図から消すために武力侵略したというのがウクライナとロシアの戦闘の原因です。しかも、ロシアは戦時国際法を完全に無視して、ウクライナの民間人を殺害する目的で戦闘を続けているだけでなく、ウクライナの女性や男性をレイプした後に殺害するというジェノサイドすらなしており、プーチンロシア大統領はそのようなジェノサイドをなした兵士を褒め称えそのようなジェノサイドがロシアの方針であることを隠そうともしていません。
 そして、かつてのロシアの武力侵略を停戦で終わらせた前回の歴史から見ても、ロシアがウクライナへの領土的野心を押さえ込むことは一切ないと言ってもよいでしょう。つまり、塩原俊彦さんは武力侵略による報酬をロシアに与える停戦を主張しているだけなのです。塩原俊彦さんはロシアにこそ停戦とジェノサイドによって奪ったウクライナの領土を返還するように主張するのが筋であると思うのですが、なぜロシアにそれを言わないのでしょうか。