嘘をついたのではなく、相談をすることが苦手?
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今日はnoteの連続更新124日目です(と言っても、今日が終わりそうなタイミングでの更新ですが…)。noteのほかに、Voicy(音声配信)もしておりますので、ぜひ併せてご活用ください!
今回のテーマは「嘘をついたのではなく、相談をすることが苦手?」です。
それではどうぞお付き合いください。
事実と真実は違うかもしれない
ぼくは年齢の制限なく色々な方々にお会いさせて頂いています。
ご相談の中で「本当のことを言ってくれない」「嘘をつく」と見聞きすることがあります。確かに、客観的な事実と異なることを言っていること、つまり結果的に嘘に見えてしまうような発言をされる方もおられるかもしれません。
でも、その時にぼくらが考えないといけないのは、「事実と真実は違うかもしれない」ということです。
例えば。
「勉強したの?」と聞かれた時に、お子さんが「したよ」と言ったとします。でも、その時に「勉強した」という基準が違うことがあります。テスト前だったりすると、周囲は1日何時間か勉強したことが「勉強した」という基準だったりします。でも、ご本人からすると「一問でも勉強したら勉強したことになる」んです。
そうですよね。嘘もついていないし、勉強したという真実があります。
ただ、「勉強した」を意味する基準が違うと「嘘をつくな」みたいになってしまったりします。その結果お互いにピリピリしてしまうことも。
こうした時には、「確かにそうだね。でも、こっちが期待しているのは、テスト前なので1時間くらい勉強したかどうかを聞きたかったんだよ」と、一旦はご本人が仰っていることを受け止める。その上で、こちらが本当に伝えたかったことを伝えていくというのが大事になるのかなと思います。
それ以外にも、大学生でも単位が取れていなかったのに「単位は全部取れている」と報告をしてしまう。結果として卒業が危うくなるみたいなこともあったりします。
その時に「どうして嘘をついたの?」と責められることがあります。確かに、そこだけを切り取ると「嘘」になるのかもしれません。
でも、事実としては嘘になっているかもしれないけど、真実はそうじゃないかもしれません。
…..どういうこと?
例えば、自閉症スペクトラム(ASD)の特性があると、相手に相談することが本質的に苦手と言われています。相談するためには、色々な要素が必要になります。
自分が困っていることを自覚して、誰に相談するのがもっとも適任なのか判断しなければいけません。
そして、それをわかりやすく伝えないといけません。
さらに、この問題を放っておく方がもっと大変になるかもしれない、早めに相談しないともっと困るかもしれない、他の人は自分にはない考えや解決策を持っているかもしれないと予想できる必要があるんです。
つまり、「相談する」というのは、社会性、社会的コミュニケーション、社会的イマジネーションというASDの方のもっとも本質的な特徴の領域が求められることになります。
なので、うまく相談できずに困難な状況になり、結果として嘘をついてその場を乗り切る、うまく伝えられなくて嘘と捉えられてしまうということが起きてしまったりします。
じゃあ、どうすれば?
どうしたら嘘をつかないのか?
どうやったら本当のことを言ってくれるのか?
そうではなくて、「もしかすると相談することが苦手なのかもしれない」と思い、だとするならば「どうやったら相談するという力を育んでいけるだろうか」を考えていくことが大切です。
ても、「困ったことがあったら言って」って声をかけているのに….
こんな風に思われる方もいるかもしれません。
でも、実際には「困ったことってなんだろう?」と悩んだり、困っているという状況がよくわからなかったりするとうまく相談できなかったりして、「困ったら相談してって言ったじゃない」みたいに言われてしまうことがあります。
相談にも工夫が必要
「これをしたらうまくいく」というのがあるわけではありませんが、いくつか工夫も考えてみてもいいと思います。
一つは、定期相談を組むことはよくします。相談を続けていくためのサポートがないと相談が継続しにくいこともあるので、定期相談にすることがあります。
もう一つは、ご本人だけではうまく情報をお伝えできないこともあるので、周囲の方々から事前に情報を頂いておくこともあります。
それ以外にも「学校どう?」じゃなくて「1時間目の国語はどうだった?」と具体的に質問すると話してくれることもあります。
何より大事なのは、月並みですけれども信頼関係です。相談したら「助けてもらえた」「役に立った」と実際に事態が好転したという経験があることで、少しずつ信頼関係ができていくのではないでしょうか。
補足はVoicyの配信をお聴き頂ければと思いますので、宜しければVoicyの方も応援していただければと思います!
佐々木康栄
災害時に役立つさまざまな情報
被災地で、発達障害児・者に対応されるみなさんへ(国立障害者リハビリテーションセンター)
防災・支援ハンドブック(日本自閉症協会)
災害時、発達障害の子どもの支援についての医療関係者へのお願い(内山登紀夫先生)
災害時の発達障害児・者支援エッセンス
#障害者を消さない(ヘラルボニー)
寄付型セミナー(TEACCHプログラム研究会東北支部)
代表を務めているTEACCHプログラム研究会東北支部で、「寄付型セミナー」を立ち上げています。ぼくの衝動的な行動であることは自覚しています。それでも、今ぼくらにできることを考え、過去に配信したオンラインセミナーを再度配信させていただき、その売上(配信や販売に関わる手数料を差し引いた全額)を能登半島地震の支援・復興に向けた寄付することに決めました。宜しければ応援してもらえると嬉しいです。
#能登の障害者に届け
能登の障害者の方々に直接支援が届くように、一般社団法人障害攻略課さん
、NPO法人石川バリアフリーツアーセンターさん、一般社団法人Smart Supply Visionさんが「#能登の障害者に届け」というプロジェクトを立ち上げてくださっています。
この短期間でこれだけの状況を整えることは、どれだけ大変だったのだろうかと思います(きっとかなり睡眠時間や休みの時間を削って急ピッチで取り組んでくださったのだと思います)。本当に感謝です。
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その他お知らせ
オンラインサロン「みんなで考える発達障害支援」
クラウドファンディング
▼9月に大阪にて講演会をさせて頂いた「一般社団法人泉大津・発達支援勉強会Lien」さんが、「大阪府泉大津市、及び、泉州地域である近隣市町村一帯が、発達障がいや多様な子どもたちにとってより過ごしやすい地域に」を目指して、クラウドファンディングをされています。特に、4月2日の世界自閉症啓発デーでは、世界中がブルーライトアップされます。これは色々な人に目を向けてもらうための活動でもある一方で、それだけ予算がかかります。
そのため、どの地域でもできるわけではありません。今回、泉大津市内のブルーライトアップをしたい!という想いを叶えるためのクラウドファンディングです。目標金額は220万円です。ちなみに、これは行政と一緒に取り組んでいるものなので、「ふるさと納税」として寄付ができます。
ぼくも応援メッセージを出させて頂いています。どうか皆さんも応援していただけないでしょうか。
皆さんの応援が力になり、その力が地域を進める行動になり、その行動が当事者やご家族の未来になります。
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セミナー情報
▼TEACCHプログラム研究会 第16回実践研究大会 in 東北・東京・熊本・鹿児島 「共に学び 成長する 熱い冬」
ぼくは仙台会場にいって、一丁前にコメンテーターというのをさせて頂きます!翌日にはTEACCHプログラム研究会東北支部主催でイベント「自閉症支援の未来会議 in 仙台」も開催しますので、2月10日(土)、11日(日)はご予定の確保をお願いします!
▼会員限定動画▼
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▼会員限定コンテンツ▼
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▼その他▼
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