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Evidence based根拠ある支援を
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今日は、これまで紹介してきたよこはま発達グループの理念PEACEの「E(Evidence basedー根拠のある支援)」について書いていきます。どうぞお付き合いください。
Evidence basedって?
発達障害支援の歴史の中では、原因も治療も根拠のないものが強調されてきました。もちろん、それは現在も続いており、いまだに「発達障害は〇〇で治る」など色々な療法が提唱されています。何を持って「治る」とするのか疑問でもあります。
もちろん、ぼく自身の不勉強もあると思いますから、それぞれの主張自体を否定するわけではありませんが、明確な根拠がないのに、さも根拠があるかのように主張するのは大きな問題です。
何が正解で、何が不正解など0か100で判断できるものではないかもしれません。人を相手にする以上はそうした曖昧さがあるものではあると思います。でも、だからこそ、エビデンス(根拠)のあることを実施していくことが、最低限の礼儀を尽くすことにもなると考えています。
エビデンスのない対応をするというのは、「具材が何かもわからないし、味付けも何でしたかわからないけど、絶対に美味しいから食べてみて!」というくらい怖い対応でもあると思います。
でも、世の中には一見するとエビデンスがありそうに説明をされていることがたくさんあります。どのようにデータを集めたり、解析したりしたのかの方法論や手続きが曖昧な場合も少なくありません。
TEACCH Autism Programや英国自閉症協会の取り組みというのは、さまざまな効果検証もなされており、一定のエビデンスがあるからこそ多くの成果を上げており、だからこそ我々もそこから非常に多くを学ばせてもらっています。
早期診断・早期介入について
「早期介入が大切」と耳にする機会も少なくないかもしれません。確かに、それはそうなのだろうと思います。でも、早期診断・介入研究に関して、約25%のご家庭は参加を辞退したという報告も2014年にはなされています。 このことからも、我々は、それぞれにあったタイミングや支援をその都度考えていくことが必要になってくると言えます。つまり、「早期診断・早期介入"だけ"すればよい」ということはないのです。
早期に支援が始まることで、親御さんを含む周囲の大人が、お子さんのことを理解しやすくなり、子育てにやりようはあるんだと思えることの意義はとても大きいと思います。
早期療育は、時に「〇〇ができるようになる!」と子どものスキルアップに目が向きがちです。
それも大切なことなのかもしれませんが、それよりも、親御さんが支援者と一緒に、「やりよう」を考えることで、「こんな風に伝えると伝わるんだ」「こんな風に関わるとできるんだ」ということを体感し、少しでも前向きになって頂けるように一緒に考えていくことはもっと大切です。
同時に、忘れてはいけないことがもう一つ。早期診断・早期介入は大事だと思いますが、それのみを強調し過ぎてしまうと、その時期に支援を受けられなかった方々、特に、支援してほしいと勇気を持って声を上げたのに「気にしすぎですよ」「大丈夫だと思いますよ」と無責任な声をかけて、その手を掴んでもらえなかった方々に対して、「あの時期に支援を受けられなかったからだ…」と追い詰めることにもなるかもしれません。
もちろん、早期に対応を考えていけることは大切です。それでも、それは「早期介入だけ」が唯一の方法であるというわけでもありません。仕事柄、成人の方々にも多くお会いします。もちろん、難しい状況が続き、多くのご苦労を抱えておられる方々もいます。でも、まったくのやりようがないわけでもありませんし、成人期になってからでも決して遅いということはないように思います。実際に、「今(成人期)が一番いい」と教えてくださる当事者の方やご家族もおられます。
このように、エビデンスのあることを根拠に取り組むことは重要である一方で、それのみだけを主張するのではなく、柔軟に考えていくことは、ぼくが大切にしている考え方の一つです。
今日の記事は以上になりますので、参考になれば幸いです。補足はVoicyで話をしますので、宜しければVoicyの方も応援していただければと思います!それでは!
佐々木康栄
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