子どもの主体性を育てる
1.はじめに
今回のテーマは「子どもの主体性をどう育てるか」
序盤は理想論的な話に聞こえてしまうかもしれませんが…できるだけ現場のリアルも語っていくので、あたたかく見守ってください。
まず前提として、子どもは主体性を持って生きている。それが、発揮できる場面がないと失われていくのだと思います。
保育現場において、子どもの主体性を育てる(失わせない)ためには「対話的保育」が必要だと私は思っています。
※対話的保育については加藤繁美先生のお話から学びました。
2.対話的保育とは
子どもの自主性・主体性を大切にした子ども中心主義の保育。
大人が管理する、大人中心主義の保育。
そのどちらでもなく…
大人も子どもも主体となってつくる保育のこと。
※子ども中心主義は一見とても良さそうに見えるけど、保育現場では実際に子どもが好きな時に好きなことだけをやる保育は成り立たないですよね。
子どもの好きなようにやらせてあげられないことが悪!みたいな風潮の中で心を痛めてる保育士さんもいますよね。
保育士(大人)だって主体的になっていいんです!
ただ、ここで大切なのは…「子どもと一緒につくる」ということ。
そのためには、まず子どもの声を聞くことが大切。
自分の声をたくさん聞いてもらった経験のある子は相手(大人)の話も聞けるようになっていきます。
具体的な対話的保育の例として…
子ども「お散歩行きたくない!」
子ども「今日はお部屋で遊びたい!」
保育士「そっか、お散歩行きたくないんだね。お部屋で遊びたいんだね。わたしは、今日は天気がいいからお散歩行きたいと思うんだけど、どうしてお散歩行きたくないの?」
……という風に子どもと対話しながらつくっていくのが対話的保育。
だけど
そうは言っても!そんな理想的にはいかない!っていう保育士の本音…笑
3.主体性とは
主体性とは自分のやりたいことを見つけて達成していくこと
…だとしたら
「みんなは絵本見てるけど、わたしは積み木がやりたいの」
これも主体性ですよね。
私は1歳児担任のときに
「Cちゃんが、読み聞かせのときにフラフラしてしまう」と臨床の先生に相談したところ…
その日はどうしてフラフラしていたの?と聞かれ…
「最近入園した赤ちゃんが気になって見に行っていたんです。」
…と答えたら、それはフラフラしていたんじゃなくて、赤ちゃんを見に行きたかったんだね。
他の子への興味が広がっている時期なんだね。
と言われました。
大人にはフラフラしているように見えても子どもの行動には全て意味があって、それをわかってあげられるのが保育士なのだと気付かされました。
4.協働性とは
主体性が「自分のやりたいことを見つけて達成していくこと」だとしたら
みんなバラバラになっちゃっていいの?と思いますよね。
※ここで、みんなが好きなことをやり続けてバラバラになっていくのが、子ども中心主義保育の限界なのかと思います。
子どもの年齢にもよりますが
「人と関わる喜びを感じる」という項目が、保育所保育指針にもあるように、それを伝えていくのも保育士の役割。
さっきの例でいうと
絵本を見なくなった子同士で繋がって、そこでの共同体(社会)をつくることで、「みんながバラバラ」ではなくなっていく。
または、5歳くらいで協同性が育ってくると一緒にやることが楽しみになってきたりもしますね。(協同性の話もいずれしたい!)
イタリアでは、子ども同士が主体的に繋がれるのは4人までとも言われています。
そう考えると…10人、20人で同じことってそもそも無理がありますね〜
5.管理的保育から対話的保育へ
日本の保育は大人が指示するような形がまだまだ多くて、子どもたちは自分から何かに関わっていく経験が乏しいのが現状。
なので「さぁ、今日は好きなことやってごらん!」と突然言われてもどうしたら良いのかわからなくなってしまう。
今は管理的な保育から対話的保育の過渡期なのだと思います。
まずは、保育士が子どもの声を聞く、ひろう…そこから、今の子どもたちが必要としている(楽しめる)活動を提案していく。
この、子どもの声を丁寧に聞けることが保育士の力(専門性)でもありますし、そこから「ねらい」をもって活動を提案していくのも保育士の力(専門性)なのだと思います。
例えば…
野菜が出てくる絵本が大好きな子どもたちに「野菜の栽培」を提案してみる。
栽培からは子どもの主体的な関わりを生み出せるよう、一緒に調べたり、ルールを決めながら進めていく。
でも……
野菜への興味が広がっていないのに、この時期だから夏野菜を育てる!とか…
本当は花や生き物への興味が広がっているのに、毎年決まったように野菜の栽培をしていると、それは主体性が全く育たない「やらされている活動」になってしまうのよね…
わたしも耳が痛いです。(過去にそういう保育を経験)
子どもの主体性を育てる保育は、教育分野のアクティブラーニングから始まり、保育の世界でもやっと始まったところ。
まだまだ勉強することだらけです。
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