【読書記録】そして、バトンは渡された
これは、いい。
何がよかったかって?
それは、じんわりと「幸福感」というやつに浸れるからです。
主人公の優子と、その父親のお話。優子が成長して結婚を迎えるまでに、親子それぞれの想いを長く長く綴った物語。3人の父親たちの娘への愛。育てる覚悟。そういうのがぎゅっと詰まっていました。父親だけでなく、優子を取り囲む同性の協力者たち。そのキャラクターも魅力的です。
物語自体は、ほとんど優子ちゃん目線で語られるけれど、ラスト数ページだけ父親の視点に変わっていくのです。小学生の優子ちゃんに知らされる母親の死。その後も波乱万丈と言えばそうだけど、その生活の中で優子ちゃんは困るというよりも、淡々と順応して大きくなっていきます。それが、時に同級生には「つえー」って見えてしまうことも。
この本を手に取ったきっかけは、ピアノが出てくる本を探していたからです。タイトルを見て、マラソンか何かの本だと勘違いしてなかなか読めなかったのですが、違いました。誰も走っていません(笑)
私が読みたかったピアノはちゃんと出てきてくれました。ただ、それよりもこの物語に引き込まれて、家族愛にじ~んときます。
どうやら、映画にもなっていてそっちはまた雰囲気が少し違うみたいですが、そういう演出の差も見るのもおもしろそうです。
本屋大賞にも選ばれていて、今さら読んだわけですが、たしかによかった。しかも、人におすすめできるやつです。
優子の成長する過程でおこるいろいろな事は、人生で私もこんなことあったな、と追体験できるようなことが散りばめられています。
あなたの人生の伏線回収。それが、できる本。あの体験があったから、今この本を読んで、「うんうん。」ってなる自分を発見できました。
まぁ、小説なのでありえない設定もありました。私だって、あんな風に中学生でお金持ちの家に引っ越して、ピアノ弾きたかったなぁとか(笑)当の優子ちゃんは週2のピアノ教師の指導により、必死でしたけれども。
これは、いい。
読めてよかったです。