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子どもの権利・きもちプロジェクト通信 第14号

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子どもの権利・きもちプロジェクト通信 
第14号
世界子どもの日によせて 2024
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11月20日は、世界子どもの日。そして、子どもの権利条約の誕生日です。
今年は、なんと子どもの権利条約の批准(日本が国際法である子どもの権利条約を自国の法律と同様に重視するという約束をする)から30年がたつという記念の年です。そして、子どもの権利条約が誕生した日(本日11月20日)から35年がたとうとしています。この記念日に、今年も「子どもの権利・きもちプロジェクト」のメンバーそれぞれがメッセージをかきました(五十音順)。受け取って頂けましたら幸いです。

プロジェクトは、今年も様々な場所で子どもの権利のワークショップをおこなってきました。まだまだ「子どもの権利を伝える」アクションをする人たちは数として多いわけではありません。そうしたなか、行動を起こす人の傍に私たちがつくった2冊の絵本(『きかせてあなたのきもち 子どもの権利ってしってる?』(ひだまり舎、2021年)、『ようこそ こどものけんりのほん』(白泉社、2023年)がともにいる風景をみることができ、うれしい気持ちになることがありました。

今年も残すところあと1月ほどとなりますが、新しい年も引き続き、子どもの権利という考え方を生活の言葉にしていくため、一歩ずつ歩んでいきたいと思います。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

★中村真純(出版社 絵本編集者)

私事ですが、先日、我が家の末っ子がハタチになりました。
まだ学生で家にいるとはいえ、子育てが終わったんだなと、ちょっと感慨深い一日でした。

彼の「子ども」時代の最後の数年は、コロナ下、子どもの権利が相当に侵害されていた時期でした。中学校の卒業と同時にコロナ下に突入し、高校は入学式もなく、6月まで自宅でのオンライン授業。新しい友だちとも会えない、中学時代の友だちとも遊ぶことも出来ない、家にこもった時期。学校が始まってからも、分散登校だったり、マスクの着用必須だったり…。みなさんは、覚えているでしょうか。

あれから間もなく、5年がたちます。
2020年に小学校に入学した子どもたちが、来年は5年生になります。小学校でも、いろいろなことがあっただろうと思います。お友だちどうし、なるべくしゃべらない。手もつながない。少しゆっくりの子がいても、これまでは誰かがちょっと手を貸してあげればその子も一緒にできていたことが、できなくなったという話も聞きました。

子ども同士の自然なやりとりの中で培われるべきことが、失われてしまった。過ぎてしまった子どもの「時」は、戻りません。そのときにまもられるべきだった子どもの権利は、どんなものだったのか、「子どもの権利の誕生日」に、いまいちど、考えたいと思います。そして、子どもたちの育ちを、大人は注意深く見守っていかなければと思うのです。

★長瀬正子(大学教員・子どもの福祉)

今年も、いろんなところで子どもの権利のワークとおはなしをしました。

子どもの権利を学ぶとき、楽しいこと、そして、日常にひきつけて活用できること。このふたつを意識して、学びの方法を考えます。一方的にきくだけでなく、体と心をほぐしながら学ぶことができるように。
その時間をとおして、私たち一人ひとりが大切で、尊重される必要があるって感じることができるように。
そんな願いのような思いをもちながら、ワークをしています。
世界は、戦争や暴力や、私の思いとは対極にあるようなことであふれているので、学ぶ人たちが、そこに抗うエネルギーが貯められるように、と思うのです。

残念ながら、人権って、子どもの権利って、ずいぶん難しいもの、ややこしいものって思われています。「あなたは大切な存在」であると、人間の長い、苦しいこともたくさんあった歴史のなかで培ってきた理念のはずなのに、なぜこんなにネガティブに捉えられているのはなぜなのだろう、と悔しく思っています。

そういう社会は変えていきたいと思うので、私なりに策を練って、引き続きプロジェクトの仲間ともたのしく作戦を考えていきたいと思います。

★momo (アーティスト•社会福祉士)

「いまを生きるわたし」 momo


★山縣彩(フリーランス絵本編集者)

コロナ体制にあった時間が終わって、
みんなが、外に向かってのびのび羽ばたいた今年。
でも、世界を見渡すと、
悲しいニュースも多かった年でもありました。

旅行だけでなく外国人の居住者がふえ、
厳しい言葉が飛び交ったり、
国政に排他的な保守がグンと増えた数年……
という側面も感じています。
戦争に向かっていくように思える動きも垣間見え
心がザワザワします。
貧富の差が広がったり、支援の手が少ないことで
苦しい大人や子どももさらに増えたようにも感じます。
それが「生きづらさを抱える」という言葉で
個人の問題とされてしまうこの国の今を残念に思います。

そんな、ちくっと日々心に刺さることの
ぜんぶぜんぶぜんぶ、
掘り下げて考えていくと、
この国の人権意識の足りなさに行き着くのです。

「人権」ってとても観念的で
生活の言葉としてしみこみづらい言葉です。
「ヒューマンライツ」
全ての人が人として尊ばれること。
大人も子どもも、どんな背景を持つ人でも。
自分の存在や現状を「申し訳ない」と思わなくていい。
人は皆、助けられ守られるべき存在。
そのことを、多くの人に知っていただけたらと
ずっと願っています。

大人はもちろん、
できるだけ、小さな子どものころから、
ものの名前を知るくらいの心もちで。
未来へそんな種を蒔きたいのです。
私の周りにあるのは「絵本」だから、
絵本と一緒に、この種を育てていこう。

被災地で未だ不安でいる子どもたち。
大人の起こした戦争で、いとも簡単に
いのちを奪われてしまう子どもたち。
会えないけれど、「権利」から遠ざかっている
子どもたち、そして寄り添う大人たちの存在を忘れずに。

「子どもの権利」の誕生日にあらためて、
「世界の大人が子どもたちにした約束」を
思い出しています。


\世界こどもの日よかったら、ご覧ください/

絵本ナビで「世界子どもの日」にかかわって、子どもの権利をテーマにおすすめの絵本が紹介されています。
プロジェクトが関わった絵本も登場します。

【今週の今日の一冊】子どもの声に耳を傾けよう。11月20日は「世界子どもの日」 | 絵本ナビスタイル
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