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【食育】#1 保育園での食育とは?
こんにちは!こどもSHOKUデザイン(@kodomo_shoku)です。
これまで「0からはじめる大量調理」や「献立作成のいろは」をテーマに記事を書いてきましたが、今回から食育と発注業務をテーマにした情報を交互にお伝えしていきます。
このnoteでは、保育園で働いてきた管理栄養士 もりやま・かわぐちがSHOKUデザインとして、保育園栄養士に必要なスキルや実践できるノウハウを書いています。
私たちの熱い想いはこちらに書いてありますので、気になる方は見てもらえたら嬉しいです。
それでは早速本編です。
この記事では、保育園での食育についてお伝えします。
・そもそも食育って何?
・どんなことにもとづいて保育園での食育を進めたらいいの?
このような疑問をお持ちの方や、あらためて食育の意味を振り返りたい方にお役立ていただけます。ぜひ参考になさってください!
そもそも食育とは?
日本では、食育の推進を目指して2005年6月に食育基本法が施行されました。
もうすぐ18年がたちますが、「食育」という言葉も、一般的に認知されるようになったと思います。
食育基本法は、国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性をはぐくむことを目的に施行され、食育については以下のように定義されています。
食育は、生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるものであり 、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実現することができる人間を育てること
食育基本法が施行された翌年の2006年には、食育を推進するための基本方針を定めた「食育推進基本計画」が制定されました。
5年ごとに見直しが行われ、現在は「第4次食育推進基本計画」をもとに食育の推進が求められています。
食育推進基本計画では、具体的な7つの施策を定めており、その一つに学校・保育所等における食育の推進があります。
保育園での食育は、全体的に見ると下記のような位置づけになります。
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保育園での食育
保育園では「保育所保育指針」にもとづき、活動のねらいや内容を考え、日々の保育を行います。食育も保育の一部です。
「保育所における食育に関する指針」には、保育園での食育の意義が以下のように記されています。
食べることは、生きることの源であり、心と体の発達に密接に関係している。乳幼児期から、発達段階に応じて豊かな食の体験を積み重ねていくことにより、生涯にわたって健康でいきいきとした生活を送る基礎となる「食を営む力」を培うことが重要である。
(中略)
子どもが身近な大人からの援助を受けながら、他の子どもとのかかわりを通して、豊かな食の体験を積み重ね、楽しく食べる体験を通して、食への関心を育み、食を営む力の基礎を培う「食育」を実践していくことが重要である。
生涯にわたる「食を営む力」の基礎となる乳幼児期の食習慣から、人とのかかわりや豊かな食体験の機会をできるだけ多く作っていくことが大切です。
栄養士として保育園での食育を進める際には、保育の一環であると意識しながらも、食という観点から子どもたちの心と身体の成長・発達に関わることが重要になってきます。
食育活動を進めるうえで考えたい3つのこと
これまで法令をもとに食育について説明してきましたが、現場で働いていて私が感じたことは、「食育には答えがない」ということ。
「食育」とひとことで言っても色々な意味合いを持ちます。
だからこそ、1人1人が子どもたちにどうなってほしいのかと考えていくことが大切です。
目に見える正解がないからこそ、私が保育園での食育活動を進めるうえで大切にしたいと思ったことを3つお伝えします。
【1】毎日の食事が食育の基本
食育というと、特別なイベントやクッキングをメインとした活動を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、食育の基本は毎日の食事です。
保育園での食事を通して、保育士やお友だちとの関わりや家庭では食べたことのない味付け、食事マナーなど多くの食体験を積むことができます。
基本となる食事を給食室から安心・安全な状態で子どもたちに届けられることが食育の第一歩であると考えます。
しっかりと基本の食事を提供できるようになってから、保育のなかでの食育活動を進めていくとよいでしょう。
【2】目の前の子どもたちと向き合う
保育での食育活動をはじめると、
「せっかく考えたのに思ったより子どもたちの反応が悪かった」
「今月もなにか食育をしなきゃ」など
食育をやること自体が目的になってしまう場合があります。
そもそも、食育とは子どもたちが豊かな食体験を通じて、成長につなげることが目的です。
もし、日々の給食業務を通じて目的がすり変わってしまっていると感じた場合は、一度原点に立ち返り食育の目的を考えてみましょう。
目の前の子どもたちと向き合い、リアルな反応やそこから出た意見をもとに、よりよい活動に改善し、子どもたちの興味や関心を最大限に引き出すことが大切だと考えます。
【3】職員間や保護者との連携を大切にする
保育園で食育を進めていくためには、栄養士だけではなく、保育士、調理師、看護師など全職員の専門性を活かした協力体制が必要です。
食に関することは栄養士が得意とする分野ですが、子どもたちの反応からの声掛けや興味を引き出す力は普段から保育を担当している職員にはかないません。
お互いの仕事や役割に理解をもったうえで、子どもたちの成長を一緒に考えていける関係性を作っていきましょう。
また、保育園で行った食育活動は、保護者の方へ伝えることも大切です。
情報発信をきっかけに保護者の方は家庭では見たことのない子どもの一面を知ることもあります。
さらに、子どもと保護者との対話のきっかけになり、家庭でもやってみたいとの会話から家庭内での食育につながる可能性もあります。
できる範囲で簡単なかたちでよいので、園内だけに情報をとどめずに、ぜひ家庭に向けても子どもたちの食に触れ合った体験をお伝えしてみてください。
まとめ
今回は保育園での食育についてお伝えしました。
私の食育に対する考えも記載しましたが、さまざまな想いや考え方があると思っています。
正解はないものなので、子どもたちの成長を第一に考え、保育園で多くの食に触れ合う機会を増やしていきたいですね。
「食育とはなにか?」を改めて1人1人考えてみるのも良いかもしれません。
今後は実務で使えるような食育計画の作成や食育活動の進め方などについて書いて行く予定です。お楽しみに!
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
▼参考文献
農林水産省:食育の推進
農林水産省:第4次食育推進基本計画
厚生労働省:保育所保育指針解説
厚生労働省:『楽しく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針~』
厚生労働省:保育所における食事の提供ガイドライン
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