【日本語を学ぶ生活者たち:1】海外にもルーツを持つ「生活者」とは?
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YSCグローバル・スクールでは、2010年から東京都福生市を拠点に海外ルーツの子ども・若者たちをサポートしてきました。
2013年より海外ルーツの若者への就労支援も行ってきましたが、コロナ禍で日本語がわからず困っている保護者などへの緊急支援を行ったことをきっかけに、2021年からは若者年代以上の生活者も対象とした自立・定着支援にも力を入れています。
「『外国人の生活者』って?」と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。多様な背景を持つ人々が含まれますが、当スクールでは、在留資格や属性ではなく、「地域で日常生活を営む海外ルーツを持つ人」をこう呼んでいます。
メディア等でも取り上げられる機会が増えた「海外ルーツの子ども」や「技能実習生」などと比べると、まだ日本社会の中で存在や実態が知られていないことも多い「生活者」たち。
この連載では、当スクールの受講生を中心に「生活者」の等身大の姿を伝え、日本語習得や社会包摂にまつわる課題を考えます。 (月1回掲載予定)
第1回は、当スクールの生活者向けプログラムの概要と、どのような人たちが受講しているかをご紹介します。
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当スクールの「若者・生活者向けプログラム」は、日本で生活するために日本語を学びたい、日本で働きたい15才以上の人たちを対象としています。
会話を集中的に学ぶ「初級日本語」、日本の生活に必要な日本語力を伸ばす「定住のための日本語」と「仕事のための日本語」、JLPT(日本語能力試験)につながる学習など計7種類のクラスがあり、全てオンラインでのグループレッスンです。
このプログラムで学ぶ受講生は、
・母国と異なる環境の日本で子育て中のお母さんたち、
・母国の政情不安から避難した難民的背景にある方、
・日本の高校に相当する課程を出身国で既に卒業してから来日したり、難民申請中であるなどの事情で、進学も就職にもつながることができない若者
…など、様々な背景にあります。
「子どもが通う幼稚園や小学校の先生と
うまくコミュニケーションが取れるようになりたい」、
「日本語を上達させ、より良い仕事を見つけ、
生活を少しでも安定させたい」
日本語を学ぶ目的も人によって異なります。
そうした様々な状況にある受講生が、
生活に必要な会話や基礎的な読み書きなどをオンラインで学んでいます。
希望すれば、履歴書の書き方や面接の受け方、仕事の探し方など、日本で働くためのサポートを受けることもできます。
このプログラムの目的の一つは、
日本語ができるようになることで、生活への安心や自信を高め、
より安定した生活を送ってもらいたいということです。
その想いから、生活の困りごとや悩みに耳を傾け、
寄り添うことを大切にしています。
次の一歩を一緒に考える伴走者でありたい、と願ってプログラムを運営しています。
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次回は9月に「生活者」が日本語を学習する際に抱える課題について掲載予定です。どうぞお楽しみに!
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