mincインタビュー vol.1【eboard】 「やさしい字幕プロジェクト」
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こんにちは!mincチームです。
mincは「みんなでつくる、インクルーシブ社会」の実現を目指して、これまで主に日本人を対象に事業や支援を行ってきた公益団体等が、海外にルーツを持つ青少年や生活者などもその対象としてサポートすることができるよう、必要な合理的配慮やノウハウの獲得をYSCグローバル・スクール(NPO法人青少年自立援助センター)がサポートしていくネットワーク事業です。
これまで約20の教育・福祉分野のNPOや地域団体などと連携しながら、研修や伴走支援を通してその課題解決に取り組んできました。
海外ルーツの子ども支援について、もっと身近なトピックとして感じてもらいたい、との願いから、このたびインタビュー記事の連載を始めます。
minc連携団体との活動取組みや事例、インタビューを公開していきます!
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記念すべき第一弾は、ICT学習教材の提供を行うNPO法人『eboard』(イーボード)さんとの取組みをご紹介します。
代表理事・中村孝一さんにお話をうかがいました。
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「こんにちは~!」と爽やかな笑顔で画面上に登場した中村さん。
eboardは昨年末の第5回「ジャパンSDGsアワード」(主催:SDGs推進本部、本部長:内閣総理大臣)において、SDGs推進副本部長(内閣官房長官)賞を受賞されました!
ーまずはじめに、eboardさんについて教えてください。
私たちeboardは「学びをあきらめない社会」というミッションの実現に向けて、どんな環境にあっても学びのチャンスを届けたいという想いから「いつでも、どこでも、誰でも、無料で」学べるICT教材を提供しています。勉強が苦手な子も、塾に行けない子も、たとえ学校をやめてしまった子でも、ていねいな映像授業とデジタルドリルで基礎から学ぶことができます。
テクノロジー・ICTの力を使って、日本全国どこでも学べる「学びのセーフティネット」を作ることを目指しています。
ーmincへの参加は何がきっかけでしたか?
一番最初は、宝紀さん(当スクール代表)からお声がけいただいたことがきっかけでした。従来からの活動にプラスαで何ができるか?をずっと考えていて、自分のTwitterでもつぶやいていたのですが、課題の一つとして海外ルーツの子となかなか繋がれないことがありました。
また同時期くらいに「ろう学校」からeboard教材に字幕をつけてほしい、という依頼もいただいていました。映像授業の教材は数多くありましたが、ろうの子たちは音声の入った映像だけでは学ぶことが難しいので。
ちょうどその頃2020年は、コロナで全国の学校が一斉休校やオンライン授業に切り替わりICT教材の導入や理解も一気に加速した時期でした。そんなタイミングが重なった時にお話をいただいて、参加することになりました。
ーそしてmincでも協力させていただいた「やさしい字幕プロジェクト」がはじまりました。昨年末には第5回ジャパンSDGsアワードにおいて、SDGs推進副本部長賞を受賞されましたね!
「やさしい字幕」はろう・難聴の子、外国につながる子、学びの困りごとを抱えた子を主な対象に、学習のハードルが下がるよう編集された字幕です。「やさしい日本語」の考えを元にしながら、字幕の表示量の調整、言葉や文章構造の簡素化を行い、その後外国語への自動翻訳精度が上がるよう、編集・作成していきました。
学習の見通しが立てられるよう余計な情報のないシンプルな画面構成にし、発達障害や特性に配慮した「やさしい字幕」が映像授業につけられており、学びやすさへの工夫をしています。
mincではYSCグローバル・スクールの先生方に、実際に「やさしい字幕」をつけた教材でトライアル授業を行っていただいたり、使用してみてのアドバイスをいただいて教材を開発していきました。また、YSCグローバル・スクールの授業現場を実際に見せていただく研修なども行いました。
※eboard「やさしい字幕」第5回ジャパンSDGsアワード受賞
ー海外ルーツの子どもたちの対応で困ったことや、苦労したことはありますか?
特には、ないですね。海外ルーツであっても日本人であっても、同じ「子ども」として見ています。特別扱いはしていない。海外ルーツという感覚はあまりないかもしれません。
一方で、その子が海外ルーツや、ろうであるということを頭で理解はしていても、現場に出るとひとくくりにはできないなと思います。たとえば母語がどのくらい話せるかといった差や、ろうの子だと手話の力、親や周囲の大人の力など、いろいろな要素が複雑に関係してくるのだと感じます。
ーmincに参加してみての率直な感想は?変わったことはありますか?
面白いなと感じました。海外ルーツの子はろうの子と似ているな、とも。例えばろうの子はよく発達障害と勘違いされてしまうのですが、海外ルーツの子も実は発達障害ではなく言葉や文化の壁が原因で誤解されていた、ということも多いと思います。その点では似ている部分もあって支援しやすいのではないかと感じました。
それからあまり構えずに「できることから、まずはやってみることが大切」だと感じます。すぐには海外ルーツの子と接したりつながることはなくても、少しの知識を持っているだけでも違うと思います。
ー今後、コラボや連携したい団体はありますか?mincへの要望は?
すでにminc連携団体のひとつで、eboardの教材を使っていただくことが決まっています。今も全国の学校や企業で徐々に導入が進んでいますが、より多くの団体に活用していただきたいですね。
子どもから大人までいろいろなケースに対応できるよう開発を進めているので、今後も様々な団体と連携しながら「eboard」を使ってもらいたいです!
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明るく気さくに語ってくださった中村さん。「海外ルーツの子であっても、特別扱いをすることなく、みんな同じ『子ども』である」こと。「少しの知識と、まずはできることからやってみることが大切」という言葉がとても印象的でした。相手を理解する気持ちと少しの背景知識があれば、誤解や摩擦を減らすことができます。その心持ちで、これからも接していきたいなと私たちスタッフもあらためて、思わせていただきました。
eboardの活動が気になった方や、応援したいという方は、ぜひHPもご覧ください!
中村さん、ありがとうございました。
次回のmincインタビューも、ご期待ください!
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