荒地 The Waste Land エリオット
翻訳の違い 卒業制作備忘録
The Waste Land by T. S. Eliot
有名なのは出だしの
April is the Cruellest month
だが、あんまり違いが出なかったので中盤から選んだ。
原文
・空虚の都市
ロンドン・ブリッジの橋の上を群衆が
流れたのだ、あの沢山の人が、
死がこれほど沢山の人を破滅させたとは思わなかった。(西脇順三郎)
・本気にすることが出来ない都会、
冬の明け方の茶色をした霧の下を
人群がロンドン・ブリッジを渡って行き、それが余り多勢で、
私は死がそれ程多くのものを台なしにしたとは思わなかった。(吉田健一)
・實體(じってい)のない都市、
冬の夜明けの鳶色の霧に蔽われ、
多くの群衆がロンドン橋の上を流れた、こんなに多くの人々を死が殺していたとは考えたこともなかつた。(中桐雅夫)
・空虚な都市
冬の夜あけのとび色の霧のしたを
たくさんの群衆がロンドン橋のうえを流れた、
死がこれほどたくさんの人を滅ぼしていたとは思いもよらなかった。(上田保)
・虚構の都市
冬の夜明けの褐色の霧のなか
群衆がロンドン橋の上を流れていった。
おびただしい人の数だ。
死が これほど多くの人間をほろぼしたとは 思ってもみなかった。(長尾又衛)
・非有の都市(みやこ)
冬の夜明の褐色の霧の下を
ひとの群がロンドン橋の上を流れて行つた、夥しい(おびただ)人の だ、
こんなに夥しい人 を死が亡したとは夢にも知らなかった。(深瀬基寛)
英語だからか原文でもかなりわかりやすいが、Unrealの認識から違いが生まれるらしい。また、死を直訳するか詩らしく遠回りの表現にするかで変わってきますね。
写真はテート・モダンへ向かう橋から撮った確かにロンドンの橋ではある。あんまり綺麗じゃない川だったのはこれに基づいているのか??笑