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本棚に「好き」を並べて

関東/四年制大学文系/編集(文芸・ライトノベル)志望


世界に「好き」が多すぎて、講談社のESに書く自分像も志望理由も定められなかった。
「もう嫌だ。就活なんてやめてやる!」と思った私の指先は、自然と本棚に向かった。自分の行動に驚きながらも、人生の転機で書籍が原動力だったと気が付いた。
『のだめカンタービレ』を読んで、楽器を手に取ったこと。小説の映像化を観たくて、テレビドラマを見始めたこと。『十角館の殺人』で憧れたミステリ研究会に入り、人と本の話をする喜びを知ったこと。
かけがえのない経験の源が、すべて本棚に詰まっていた。だからこそ、本棚を丸ごと見せるつもりで臨めば、今の私が伝わると確信した。

それからはESを書くため、パソコンの隣に本を重ね「好き」を言葉にしていった。もちろん大変だったけれど、楽しんで取り組むことができた。なぜなら、大好きな物語を振り返る時間だったからだ。

ES通過後の一次面接でも本棚に救われた。編集を志望し書籍企画ばかり考えていたところ、第三志望のライツ・クロスメディアの企画を問われ、パニックに陥った。目が泳いだ先には、漫画『あさきゆめみし』があった。オンライン面接なのをいいことに、願掛けでパソコンの後ろに講談社の書籍をならべていたのだ。そんな自作講談社本棚のおかげで、とっさに『あさきゆめみし』のアニメ化を提案し、何とか言葉を繋げることができた。

一次面接の視界(再現)

二次面接以降は、ドラマ放送週が重なった『十角館の殺人』を、本棚から選抜して本社に向かった。ESに記入していたこともあって、毎回語らせてもらえて笑顔になれた。二次面接では、作品内でひどい目に遭う“ミス研部員”になりたかったエピソードに、生まれて初めて笑ってもらえて嬉しかった。

内々定をいただいた後、面接官を務めた社員さんに「緊張して見えたけれど、好きな本の話をする時楽しそうだった」と伝えてもらった。就職活動で「好き」という気持ちが何より大事だと実感した。

すべての就職活動で使った鞄。リクルートスーツとパンプスも身に着けて、就活生モードに切り替えていた。


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