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哲学者の威を借る就活生

関東/四年制大学文系/編集(文芸・ライトノベル)志望


 皆さんは自信がなくて不安な時、どのように自分を鼓舞しているのだろうか? 失敗しないようにたくさん準備をする、自分を信じて不安自体を忘れてしまう、誰かに励ましてもらう。きっとたくさんの方法があることだろう。では、第一志望である講談社の面接を前に、窮地に立たされた就活生はどうしたのか? 彼女は緊張ゲージが振り切れた後の妙に達観した頭の中でこう唱え続けていた。「まあ自分には偉大なる哲学者ニーチェとキルケゴールがついているから問題ないだろう!」と……。 

 もうお分かりの通り、その就活生とは「私」のことである。そして緊張で震える私は、大一番を前に偉大な哲学者の精神になりきろうと無謀な努力をしていた。せっかくの機会なので、ここで面接時に実践していた方法を書き留めておこうと思う。是非参考にしてほしい。  

①ニーチェの『ツァラトゥストラ』を読み、山から下りて人間に「神は死んだ!」と叫ぶような超人になる
②面接に挑み撃沈(悲観)する
③キルケゴールの『死に至る病』を読み「まあこんなに絶望している人もいるから大丈夫だろう……」と自分を慰める

と、こんな感じだ。私は面接には常にこの2冊をお守りとして持参していたのだが 、文庫本とはいえそれなりの重さ。肩にずっしりと感じる重みが心強かったことは記憶に新しい。そして講談社のおおらかな面接の雰囲気をいいことに、三次面接では面接会場にまでこの2冊を持ち込み、ずっと抱えていたことも良い思い出である。振り返ると、哲学者たちには本当にお世話になった。時に励まされ、時に喝を入れられ、そして時にはエントリーシートの題材として……。まさに私の就職活動とは、哲学者たちとの伴走であったのである。

 辛い時も孤独な時も、彼らが残した言葉に私は照らされた。大好きなツァラトゥストラは最後に言うのだ。「夜明けが来る! 自分の朝が来る!」と。自分を信じて、どうか思いっきり楽しんでほしい。


自分より絶望している人がいると自分の悩みが小さく見えてくる。
面接前の待機室でいただいたお茶のおみくじ。「大吉」だった!
自分のご機嫌取りには欠かせないスイーツ。桜の季節がすでに懐かしい。


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