優しい言葉で書きかえて
関東/大学院修士課程文系/編集(文芸・ライトノベル)志望
就活中につけていた日記を読み返すと、当時の感覚が自分の中に戻ってくるのを感じます。講談社の選考が始まった最初の頃(私は就活を始めたのが大変遅かったことを後悔していました)、日記には「いつ終わるとも知れない恐怖を感じながらも、自分はよく頑張っている」と書いてあります。Webテストや面接の前夜はとくにそうでしたが、気後れと不安で闇に吸い込まれそうな感覚になりながらも、日記を書くことでなんとか自分を奮い立たせていたのだと思います。
ですが、他社の選考に落ちたり不安になるような言葉を聞いたりしたときには、自分だけでは立ち直れそうになく、ほとんど泣きつきたいような気持ちで家族や友人に会いました。そのときにもらった言葉と、それを聞いて、ああ、本当にありがたい、と思って書いた感謝の言葉が日記の中にあります。本からの抜粋もたくさんあります。本当に辛いときに支えてくれるような言葉を、自分の中に一つずつ溜めていくこと。そうして、諦めてしまわずになんとかやっていました。
就活の後半は、むしろ面接で勇気をもらうようになりました。「受かるかどうかはわからないけれど、せっかくだから目の前にいる面接官との会話を目一杯楽しもう」と書いてから面接に向かう私に対して、講談社の面接官は熱心に話をしてくれました。面接を受ける度にここで働きたいという気持ちが強くなっていきました。
日記には「ここしばらくは、なぜか不思議とうまくできている。いいねいいね」とよく書いてあります。自分は心配性で、これからもずっとそうなのだと思っていましたが、就活のあいだはなぜか心配事を手放して意識しないようにすることができていました。ここしばらくは不思議とうまくできている、という感覚を自分の中に確かめ、日記に書きつける。不安な気持ちを優しい言葉で書きかえて、自分自身も書きかわっていくことで、いい状態でこの時期を過ごせたのではないかなと思っています。