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仕事の仮説:内向きへの戦略

流行り言葉は好きではないので、トレンドに関連する著書を読むとき他者がきっかけになることが多いです。
今回も例に漏れず、最近よく”聞きすぎる”知識に触れました。

大抵の企業にはミッション・ビジョン・バリューが整備されています。前職には割としっかりしたブランド体系があり、CIの整備にも相当な労力がかかっていました。今の会社にもミッション・ビジョンはホームページで公開されています。バリューは社外発信されていないものの、評価体系には取り組まれていて、行動姿勢に基づいて業務が出来たかを振り返る必要があります。

「パーパス」について

ミッション・ビジョン・バリュー(さらに企業によってはクレドやプリンシパルが定義されていますよね)を制定しているのに、更にパーパスが必要である理由とは。

「なぜ存在するのか」 パーパスを最もシンプル、かつ純粋に表現すると、この一言になります。(P.27)

パーパス・ブランディング 「何をやるか?」ではなく、「なぜやるか?」から考える

製品や市場を超えて、組織の「存在理由」そのものが社会や個人へダイレクトに働きかけ、ムーブメントをもたらしたーーこれこそがパーパス・ブランディングの目指す在り方です。(P.37)

パーパス・ブランディング 「何をやるか?」ではなく、「なぜやるか?」から考える

パーパスは企業の存在理由であり、すべての行動の拠り所になる言葉・思想であり、社内外に発信すべきもであることが本書では語られます。
おそらく、企業を起点にすればパーパス=企業の存在理由、になりますが、個人の存在理由としても、組織の存在理由としてもパーパスを定義づけることは可能なようです。(やってはいませんが)

広報会議2021年9月号はインターナル広報の特集でしたが、その中に企業の理念と個人の理念が重なる部分を強く認識できるようなインナー広報が求められている、という論考がありました。
パーパスも同じことで、会社のパーパスと個人のパーパスの重なりを意識する必要があり、逆に重なりがない人は採用してはいけないし、「重なりを見いだせない」と感じるのであれば転職を考えなくてはならないのだと、採用や人事にも広がっていきます。

さらに蛇足ですが、ハーバード・ビジネス・レビューでも何度か特集が組まれているようでしたので2019年3月号を読みました。

ネスレのインタビュー記事と佐宗邦威さんの論考だけで価値ありでした。理解が深まると同時に斎藤さんとの著書とは異なるフレームワークもあり、自分の中で選択肢が増えます。

社内広報に活かす

パーパスの設定は経営層の本気度(と時間とお金)がないと、途中で頓挫する、つまりトップダウンで強力に推進するリーダーが必要です。とはいえ、パーパスを設定すればそれで万事うまくいくはずもありません。
「従業員ひとりひとりがいかにパーパスを自分ごと化して、自分なりのストーリーとして伝えることが出来るか」、パーパスの社内への浸透フェーズが最も大切だそうです。

パーパス設定前には、社内の情報を徹底的に調べ上げるインプットのプロセスを踏みます。
このインプットこそ、「社内広報で何を発信するのか」を考える際のポイントになるのではないかと考えました。

時に創業者へのインタビュー等を含めて企業が受け継いできたDNAを明確にする、決してパーパスを設定する目的だけで行う必要はありません。むしろ、存在意義に繋がる”大黒柱”としてのストーリーを社内広報で発信していくことは積極的に行っていくべきことと思われます。

年末年始、年度初めのトップメッセージ、定期的に発信する役員ブログ。
補完できそうなコンテンツは既にありそうにも見えますが、コンテンツに横串一本で繋がる信念が何なのか、という点こそがパーパス発見の土台になると思われるのです。

企業の存在意義をメッセージを受け取った従業員ひとりひとりが考えるきっかけになるような社内広報をしていくことが、パーパス設定前には必要なのではないでしょうか。(ひとたびパーパスが決まったら、今度は徹底してパーパスを中心に据えたコンテンツを作り、発信することになります。)

もちろんコンテンツを作るだけでなく、社内イベントの企画の際にも活かせそうですよね。福利厚生の一環として、最近だと”コロナでコミュニケーションが減ってるからとりあえず全社イベントやろうよ”とかよくあると思いますが、私みたいな捻くれ者としては「なんでそれ参加しないといけないんだ…?その時間で本読みたい」と高確率でなりがちです。

「なぜ」が本質的でないからだと思うのです。コミュニケーションが足りないから、とか孤独を感じている人がいるから、という「確かにそうなんだけど、誰にでも・どこの企業にも当てはまっちゃいそうな理由」だと、人を動かすには弱いと、個人的には思います(その背後には事務局の存在があるので、彼らの仕事に対しては本当に本当にリスペクトの気持ちがあります)。

社内で発信するメッセージ、コンテンツ、イベントも、きっとこれからは「なぜ」を突き詰める必要があり、届けたい従業員像を明確にする必要があり、そして届いた先にどう動いて欲しいのかを想定する必要がありそうです。

情報の棚卸しはいつでも・何度でも

「とりあえず始めた」状態にあるインナーコミュニケーションに携わる身として、今回パーパス関連の書籍や論考をいくつか読み、真っ先に行う必要があると感じたのは情報の棚卸しです。

6年の間にイントラネットで何が発信され、どんなコンテンツが作られ、どのようなアップデートがなされ/なされておらず、どういった発信が可能なのか、を明らかにする(丁寧に情報を集める)

一にも二にもこれをやらないと、現状把握ができないためです。インナー広報に関わってそろそろ半年になりますが、過去に似たような企画をしているのであれば、「今、再度行う理由」を本質的に深掘りする必要が出てきます。

その棚卸しの最中で、もしかしたら歴代の発信者が考えた大切な信念のようなもの(パーパスを設定するのであれば通ずるもの)が見えてくるかもしれません。
見えてきたらそれを現状に合う形に言語化すれば良いですし、何も見えてこなければ新しく編集方針のようなものを作るべき、という結論になるでしょう。

情報の棚卸し後については、きっとこんなだろうなと思っていますが、今回はメモ書き程度に。

イントラネットでのゴールを考える。(目的の設定)
発信の効果測定ができるように、KPIも設定する(KGIが必要なら別途たてる。おそらくイントラネットでのゴールを考えれば自然にKGIも見えるはず)

ターゲットの優先順位を決定する(インナーコミュニケーションは「ターゲットは社員全員です」となりがちで、結局誰にも読まれない・刺さらないコンテンツができあがりがち)

メインコンテンツ/ターゲットにあわせた特集を企画する(コンテンツのリニューアル)

仮説:社内広報も戦略をしっかり立てる

パーパスを作るからどうこうではなく、パーパスを作るために必要な準備にあたる部分は社内広報に常時必要であると確信しています。

つまるところ、社内広報は片手間でやる仕事ではなく(現時点で一番の問題はこの部分だと思っているので、タイミングみて訴えようと思っています)、戦略に基づいて理詰めで行っていくべき重要な仕事で、だからこそやりがいがある仕事ではないかと思っています。

(打ち疲れたので今日はここまで。もしインナー広報の戦略設定について良い本とか論文あれば教えて下さい。結構見つからないんですよね、これが)


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