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墓じまい。じつは〝法外な離檀料〟は、払う必要がありません!
さて今日は珍しく、答えのあるお話。
でも、マスメディアでよく話題になる、「墓じまいしようとしたら、何百万円もの離檀料を要求された」という〝まことしやかな噂〟の対極をいくので、沼ではあるかなと。
んじゃ、いってみよう!
離檀料の要求額はふくれあがっている!
私の行政書士事務所では、『いいお坊さん ひどいお坊さん』執筆当初の2011年から常に、「離檀料」がウェブサイトの検索キーワードトップ。
墓じまい(改葬手続き)に伴う法外な離檀料の要求についてのご相談は、平均して月に数回あります。
そんな私の感触からすると、コロナ蔓延防止に入った2020年ごろから、「要求された」という離檀料の金額はどんどん膨れ上がっています。
コロナ前は、300万円くらいが上限でした。
それが近年は、都市部ですと700万円とか千万単位を要求された話まで。
思うに、コロナの影響で法事をしないご家庭が増えたので、最後の悪あがきとばかり「取れるところからは取る!」とでもいうかのような勢いです。
折しも今日、回答者全員が僧侶の人生相談サイトhasunohaにも、離檀料を300万円要求され、「お気持ちでいいはずだ」と考え50万円を持参したら、住職に烈火のごとく怒られたという相談が載っていました。
宗教的観点ならば、価値は金額の多寡であってはならない
こちらのhasunoha回答にもあるとおり、撤去する際の取り決めが契約書等に明示されていないならば、収蔵された遺骨の所有権は使用者にあり、法律的には、その遺骨をとりだすのに一文の費用も発生するものではありません。
問題は、こちらの事例のご住職がおっしゃっている「法律的なことじゃなく、宗教的な話」です。
宗教的な話であるならなおのこと、「一定額以上を収めなければ認めない」などという話になっては、ならないはず。
新約聖書の有名な箇所で、こんな話があります。
そこで、イエスは弟子たちを呼び寄せて言われた、「よく聞きなさい。あの貧しいやもめは、さいせん箱に投げ入れている人たちの中で、だれよりもたくさん入れたのだ。
つまり、生活に余裕のある人が家族旅行を1回ガマンして支払う30万円よりも、生活困窮の方が食べるのを何日もガマンしてさしだす5000円のほうが尊いと思える――それこそが、宗教者のもののみかたであると思います。
墓じまいの話は、時間をかけてする
さて、肝腎の墓じまいに必要な費用の話をしましょう。
まず言えることは、「墓じまいの相談を菩提寺にするときは、いきなりしないこと」です。
新しいお墓を先に契約してしまってから、いまのお墓を「撤去したい」と相談すれば、足元を見られて高額を要求されることも多くなります。
無論、宗教者たるもの足元を見るようなことがあってはならないのですが、現実には、
「撤去しなければ新しい墓に移ることができないのであれば、少しくらい高く言っても出すだろう」
と考えるご住職はいらっしゃると思います。
いきなり持ちかけるのではなく、
娘ばかりなので、ゆくゆくお墓をしまうことを考えなければいけない
というように、半年一年前から、「将来、しまいたい」と切り出しておくのが大事です。
お寺のほうも、いきなり切り出されたらびっくりしてしまいます。心の準備というものが必要なのです。
払うべきなのは、「撤去工事費用+閉眼供養のお布施」
ズバリ、必ず払わなければならないといえるのは、「更地に戻すための撤去工事費用(石材店に払う)+閉眼供養のお布施(お寺に払う)」です。
お墓をたてたときや、その後に誰かの遺骨を収蔵するときには、おそらく親戚が喪服で集って読経をしていただいているのではないでしょうか。
だとすると、墓石には故人の御魂が宿っているということになります。もちろん、ただの石柱を拝んできたはずもないですよね?
御魂がはいって手を合わせる対象となっていた石を、なんの儀礼もないまま産業廃棄物にすることは罰当たりなので、石材店も嫌がるものです。
撤去工事に携わってくださる石屋さんのためにも、たとえ信心のかけらももてないご住職であったとしても、閉眼供養はお願いしたほうがよいでしょう。
閉眼供養のお布施は、それまでのお寺とのご関係にもよりますが、平均的な場合は3万円とか5万円で構わないと思います。
通夜葬儀でいつもまとまった金額をおおさめするご家庭でしたら、長年にわたる読経の感謝の気持として(どんなに気の合わないご住職でも、朝に夕にあなたのご先祖さまのために読経はしてくださっていると思います)、お包みできる金額を包んだらよいと思います。
むろん、海外旅行に家族全員で年に何度も行くような裕福なかたなら、その妥当額が100万円になるのかもしれませんが、さきほどのhasunohaのご相談のように、相手の資力も考えずに50万円を突き返すというのは、非道と思います。
「お墓のリユース」提案も、アリ
とはいえ、コロナの影響で職業を失ってしまったり、光熱費や食料品の値上がりによって生活が苦しかったりで、撤去工事費用(おおむね、90cm四方で10万円〜15万円が相場といわれます)も出すのが厳しいというかたも増えています。
そんなかたのために、「お墓のリユース」という方法も少しずつ普及しはじめています。
すなわち、墓石だけを撤去し、外柵や地下のカロート(骨壺を安置する囲い)については丁寧に清掃を施し、お清めの儀礼もして、つぎの利用者に譲り渡すという方法です。
撤去工事費用の見積もりが思ったよりも高く(坂道にお墓があったり、床材が大理石の一枚岩だったりすると高額になることがあります)、墓じまいが困難になりそうな場合は、リユースという方法をとるお寺も出てきている、ということをご相談されてみてもよいかもしれません。
「うちではやっていない」と断られたとしても、数年後にもう一度話をすれば、その頃にはそれがポピュラーになっていて受け入れてもらえる可能性もあります。
それじゃまた、明日も答えのない蓮沼へ、ハマりに来てね♪
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