過疎りゆく町で① くたびれ社会人が見つけた癒しのカフェ
都会での社会人生活にくたびれたアラサー会社員の私が、帰省がてら地元の友人とおでかけしたとき、思いがけず癒しをもらった日の日記です。
今回の行き先は、かわせみ珈琲店という、窓ガラスのステンドグラスが美しい小さなカフェでした。
そのカフェは、栃木県那須郡那珂川町という栃木県東部に位置するちいさな田舎町にありまして、私たちは自然に囲まれたのどかな道を車で走っていきました。
このカフェは廃校になった小学校の校舎を再利用し、地元のNPO法人が週に3日カフェとして営業しつつ、地域の人の相談にのったり、ステンドグラスなどのお教室を開いたりするなど、地域住民の交流の場になっているそうです。
ちなみにカフェに使用されているのは元保健室で、同行した友人は「本当だ、小学校の天井だぁ」とつぶやいていました。目の付け所がさすが小学校教師です。
さて、カフェの店内はほとんど手作りでできていました。ランプやメニューたてはもちろん、座布団やコースターもすべて自作のものだそうです。店内には機織り機が置いてありまして、いくつかの作品はここから生み出されたのだろうと思いました。
注文したピタパンとはちみつレモンティーのパン生地やはちみつまでも自家製だといいます。夏場なら、ピタパンにはさまれた野菜も自家製のものになるそうです。
さて、お店のスタッフの女性はフランクな方で、友人と私と3人でとりとめもない世間話を2時間以上も続けてしまいました。
那珂川町は過疎化が進んでいて学校の統廃合が進んでいること。地域おこし協力隊の若者が頑張っていること。でも仕事がないので過疎化が進んでしまうのも頷けるということ。
あるいは、近くにある馬頭広重美術館のカフェは味噌屋さんが運営しているけれど、今日は手作り味噌の煮炊きの日でクローズであること。ちなみにこの辺りに住む人たちは、それに参加している人も多いということ(昔は家々に味噌小屋があって、自家製の味噌を作り置きしていたそうです)。
いまその美術館で那珂川町の作品展が行われていて、かわせみ珈琲店の絵を描いた小学生の作品が飾られていること。店名・かわせみ珈琲店の由来は、近くを流れる小川をかわせみが飛んでいるから、などなど。
私はふと、その日知り合った誰かと、こんな風にゆったり会話したのはいつぶりだろうかと、考えてしまいました。
私は地元を離れ、都会で会社員生活を送っているのですが、それは忙しなく味気ない日々です。くたびれた顔をした人でいっぱいの電車に乗り、駅に着いたら大量の黒い人の集合体と共に会社へ足早に歩いていく。忙しい部署なので、あまり雑談もなく、気づけば定時をとうに過ぎ、とりあえず仕事に区切りをつけて朝と同様に疲れた空気が漂う電車に揺られて帰宅する。次の日もまた黒い集団の一員として出勤・仕事・退勤を繰り返す……。
そんなドライな生活を送っていた私にとって、ふらっとやってきた来訪者でもいつまでもゆっくりしていられそうな居場所が用意されていることや、田舎を流れるのんびりタイムに浸れることが、心の癒しに感じられたのでした。
カフェを出た私たちは、お店の人に促され、同じNPO法人が運営している「りすの家」というお店に立ち寄ってみることにしました。
(次回に続きます。)
□■お店情報
店名 かわせみ珈琲店
住所 〒324-0602栃木県那須郡那珂川町大山田下郷
営業時間 木曜日・金曜日・土曜日 11:00~15:30
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