背後にまつわる七不思議。背中の筋トレメニュー
フロントの筋肉群に比べバックの筋肉群はいささか厄介な特徴を持つ。まず自分で直視ができないゆえうまくコネクションされているのか感覚だより。さらには幾重にも連結して動いているので強い筋肉が弱い筋肉を食ってしまう。
同じ経験、無かろうか?ベンチプレスの翌日になぜか広背筋が筋肉痛になった。足掛け懸垂は軽くなるはずだけど重くなった。ローイングで肘が最後の最後、引ききれない。三角筋後部だけなかなか立体的に出てこない。
背中といえば引き系の種目。
垂直に引く懸垂か水平に引くローイング。種目が違ったとしてもやり方次第で同じ筋肉に刺激が偏る。逆に同じ種目。例えばローイングひとつをとってもこれで同じ筋肉が鍛えられるとは思わないでしょう。
T字の凸凹を狙ったローイング。肩甲骨をダイナミックに動かし肘を引きやすくしている。それに対しV字の広がりを狙ったローイング。引くというよりは円弧上にスライドさせお腹へ向かってかいている。細かな動きは後にしてどちらともに共通して言えるのは、引っ張るのと同じくらい引っ張られる(機械的緊張)がけっこう大事。デカい筋肉なので簡単に引き千切れたりしない。懸垂なら肩甲骨が完全にぶら下がるまで、ローイングなら肩がすくむまでじわりじわりと下げ続ける。真新しいことではありませんが下げ切らずに成功するより下げきった失敗のほうが結局は筋肉痛になりやすい。さらに巨大な筋肉が潰れないまま小さな筋肉を使おうとしても主導権が移らない。
戦略的可動域メニュー開発
フルレンジだけが良いリフティングとは限らない。広背筋が最も活性化する角度は肘が肩の高さから胴体に並ぶまで。それ以上に引ききると、テコの原理が解け力は発揮されなくなる。ウエイトを体に当たるまで引っ張ろうとすると突然力が抜けるのはこのため。異常な収縮状態にある広背筋は胴体の中心へ腕を戻そうと反発をおこす。
この点においてある意味、広背筋はプッシュにも関与している。ベンチのボトムポジションで肘が引かれまくると押し返そうと反発。また二関節筋の反対側では骨盤を引き上げるブリッジ保持が作用しているので①きちんとバーをおろせている。②きちんとブリッジを組めている。ならベンチで広背筋が筋肉痛になってしまったのは良い兆候。
背中で最も巨大な広背筋。
足掛け懸垂をすると自然に背中が反って骨盤側にロックがかかり胸を張った状態が保たれる。さらに逆手でナローに握るのならこれはもう僧帽筋が関与しにくい。あとは肘を下げることだけ集中していれば広背筋が単体で働き軽くなってるはずなのに余計、重く感じるはず。肩幅の順手に握りかえれば僧帽筋が関与してchin up(顎がバーを越える)まで引き上げきれる。
背中の飛車・角こと僧帽+広背筋。
射角のついたTバーローは可動域の狭いミッドレンジに留まるため最大出力を発揮する背中トレの王道とも言える。ウエイトとの距離も近く、持ち上げれば軽くなるので高重量でも安定して背中全体が反応する。
上背部の僧帽+肩は水平引き。
前かがみ+ウエイトとの距離が出やすいのでシーテッドを選択。胴体を限りなく水平に保ちながらも腰の危うさを考えなくていい。手幅はあえてワイドに握りハイローっぽく胸に向かって真上に引きあげる。胸を開いて肘ができるだけ背後に突き出るよう引き上げる。潰れたらシュラッグで僧帽単体をネチネチ潰す。
ラスト。同じ状態で軽いダンベルに切り替え三角筋後部の仕上げに移る。
肩甲骨を動かさず腕だけ引ければ理論的にいいのだがインピンジメントの観点からそれが現実的か疑問が残る。が、ともかく肩甲骨は動かしたくない。ダンベルフェイスプルで腕を水平外転させながら+回旋させると最大限の刺激が生まれ、軽くても段々と上がらなくなる。こっからがボトムの出番。こと切れたとしてもパーシャルでストレッチさせながら外側に開こう開こうと挙げ続ける。さらに優先順位を上げたければライイングリアレイズがおススメ。片腕づつにはなるものの伸長時に最大負荷が訪れるので軽くても良い刺激がリアに入る。