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季節のやさいおむすび 京野菜 松ヶ崎浮菜かぶ
「松ヶ崎浮菜かぶ」は京都の伝統野菜。
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近江かぶが京都で栽培される間に、松ヶ崎浮菜かぶになったとも
言われている。
古くより左京区松ヶ崎に栽培された地域固有のかぶの品種。
栽培戸数1戸。北区上賀茂の農家に委託。
自家採種で、主に在来種を栽培している長崎・雲仙市の農家・岩崎さん。
毎月、岩崎さんから届く野菜の箱を開けると、
何種類もの在来野菜とご対面する。
箱の中に入っている野菜便りには
収穫した野菜のことや、その時々で畑で感じたことなどが
レポート用紙に余白なく綴られている。
数少なくなっている在来種の野菜のなかでも、
松ヶ崎浮菜かぶは、ほぼ栽培がなくなりつつある野菜らしい。
縁あって出合った松ヶ崎浮菜かぶ。
今回届いたのはその間引き菜。
この間引き菜の個性を生かす料理とは?
まずはお浸しで食べてみる。
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シャクシャクと歯ごたえのいい食感。
青菜独特のほのかな苦味。味は野沢菜に近い。
ということは漬物に向いているかな。
シンプルに味わったその次は。
おむすび×野菜
おいしくなりそうな組み合わせを考えてみる。
生姜のみそ漬けと湯通しした松ヶ崎浮菜かぶの間引き菜を
細かく刻み、すりごまとゴマ油を合わせてごはんに混ぜ込む。
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生姜まるごと。しっかり漬かっています。
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間引き菜のほろ苦さと味の濃い生姜のみそ漬けが相まって、
もぐもぐと噛むたびに鼻腔に抜ける春先の味。
見学させてもらった畑を思い出す。
流通にのらない野菜を「さりげない野菜たち」と岩崎さんはいう。
ただ食べるだけで終わるのはもったいない。
そう思いながら。
1月末に届いた松ヶ崎浮菜かぶの間引き菜の感想を
やっと言葉にしている2月の後半。
個性豊かな在来種の野菜に出合うたび、
日本各地に「さりげない野菜たち」はどれだけ残っているんだろう。
そんなことに思いがいく。