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【読書】「ふつう」がなくなればいい

読書のアウトプット、9冊目。

珈琲焙煎士の岩野響さんの本です。

岩野さんは2冊出されていて、もう一冊は出版された当時に読んだ記憶があります。

今回はもう一冊の方。

数年前ですが、岩野さんを直接見かけたことがあります。

コーヒーのイベントで丁寧にコーヒーを淹れている姿が印象的でした。

多くの人に囲まれていても淹れることだけに集中していて、遠巻きにですが見入ってしまいました。

この本は、岩野さんご本人と岩野さんの両親の語りで綴られています。

どの立場でもいろんな局面で大変な苦労や辛さがあったのにも関わらず、家族で前向きに生きている姿が語られていて、じんわりと勇気づけられました。

岩野さん家族がひとりひとり魅力的で繋がりを大事にしているからこそ、いろんな人と関わり、それが今に繋がっている。

そんな気がしました。

ひとりで立つ強さをもちつつ、周りにも助けられる。

そんな人生はとても素敵だなと感じました。

半年待ちだった病院の医師の言葉も、すごく響きました。(アスペルガーの岩野さんの状況を端的に分かりやすく両親に伝えています)

とどめを刺したのは、父だった。 

「でもさあ、ひーくん。『なんで子供を学校に行かせないんだ』って言われてさ。
俺たちは俺たちで、すごい努力して、やっとコーヒーをさ、響の『つえ』を見つけたわけでしょ。それをみんなに言うのって、かっこ悪いことなのかな?」  

…たしかに、そうだな。  

いままで焙煎してきた豆たちに、謝らなきゃと思った。もちろん、飲んでくれた人たちにも。  

ぼくは、自分が〝ふつう〟じゃないことを受け入れることにした。
p108

「ふつう」って何なのでしょう?

「ふつう」に苦しめられる人ばかりなら、「ふつう」がなければいいのに。

と、思いつつ「ふつう」であることに安心感を覚えたり「ふつう」で居ようと頑張ったりする自分。

「ふつう」って目に見えなくて空気のようなもの?

「ふつう」って誰もはっきりと説明できないよね。

「ふつう」に縛られたくないなぁ。

「ふつう」「あたりまえ」を押し付けたり空気のように察したりせずに居たい。

岩野さんが語る小学校と中学校生活の違いがとても心を揺さぶられました。

正しくありたいと思っても目に見えない型にはまれなかった、と。

周囲は型が要求する役柄を演じきっていた、と。

ああ自分もそうだったのかも、と振り返りました。

そして、岩野さんのコーヒーが飲んでみたくなった。

岩野さんのご両親のお店、リップル洋品店の本も出ているようなので読んでみようと思います。

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